他の案なら2号は存在しない? もし「仮面ライダー1号バイク事故後」の選択が違ったら…
第14話からの対策でも本郷猛の代役案は根強く残っていた
急場は滝和也登場で乗り切ったものの、第14話以降の主役交代には以下の案が出ました。
A)テロップで配役の変更のみ知らせる。
B)全く新しく、別の場所に仮面ライダー2号として出す。
C)今までと同じ場所に一人の青年が現れる。仮面ライダー2号である。代役にしてしまう。
D)本郷がショッカーに捕まり再手術で別人になる。
最終的にはC案が採用され、2号ライダーの一文字隼人が立花藤兵衛や滝和也の前に現れました。もしB案が通り2号ライダーが全く違う場所に登場していた場合、1975年の『仮面ライダーストロンガー』まで続いた、立花藤兵衛が軸のライダーの世界が、また違う展開を見せていたかもしれません。
またA案D案では、やはり本郷猛が主人公のまま、藤岡さんからほかの俳優に交替させる案が根強く残っていたことが分かります。
一文字隼人を演じた佐々木剛さんは、藤岡さんと劇団NLTの養成所の同期生であり、本郷役に抜擢されたら藤岡さんの役を奪うことになるため、断ったのではないでしょうか。本郷猛はバイクに乗った風圧を変身ベルトに受けて仮面ライダーに変身していましたが、当初バイクの免許がなかった佐々木さんのために変身ポーズが考案されて、「変身ブーム」が巻き起こりました。
バイクの免許を持っているほかの俳優が2代目の本郷猛に選ばれていたら、仮面ライダーは相変わらずバイクに乗ったままで変身しており、ライダーは1号限りで終わっていた可能性も充分にありえます。
原作者の石ノ森章太郎先生も『ウルトラマン対仮面ライダー』(編著:池田憲章、高橋信之/文春文庫)のインタビューで、「僕の気持ちの中では『仮面ライダー』は1号で終わっているんだ、(中略)やはり『スーパーマン』は一人であるのと同じような感覚はある」と語っています。
やはり2号ライダーは、藤岡さんの長期離脱というアクシデントがあったからこそ生まれた存在です。ひとつでも違う善後策が選択されていたとしたら、藤岡さんは復帰できず、2号ライダーも誕生せず、さらに『仮面ライダー』は現在も続くシリーズになっていなかったかもしれません。
(LUIS FIELD)