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職種を限定する合意をした労働者を別の職種に配置転換できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は26日、「職種や業務内容を限定する合意がある場合、使用者は労働者の同意なく配転を命じることはできない」とする初判断を示した。裁判官4人全員一致の結論。
訴訟の原告は、滋賀県社会福祉協議会(草津市)が運営する施設で2001年に働き始めた男性。判決によると、男性と同協議会には、職種を福祉用具の製作などを行う技術職に限定するとの合意があったが、19年に事前の打診がないまま、男性は施設管理を行う総務課への配転を命じられた。
1審・京都地裁と2審・大阪高裁は合意の存在を認定した上で、業務上の必要性があったとして配転命令を適法と判断。「配転は違法だ」と主張して損害賠償などを求めた男性側の請求の大部分を棄却した。
これに対し、同小法廷は、技術職に限定するとの合意がある以上、同協議会には男性の同意なしに総務課に配転を命じる権限はないと指摘した。その上で、2審判決を破棄し、配転命令に伴う賠償責任の有無などを判断させるため、審理を大阪高裁に差し戻した。