2024.04.27
# ジェンダー

“焚書”とさえ話題になった『トランスジェンダーになりたい少女たち』を性同一性障害治療の第一人者が解説

週刊現代 プロフィール

1年間の「ネット断ち」は一線を超えている

まず1の内容から検証していきたい。「SNSの影響でトランスジェンダーが増えている」との指摘はどうなのだろうか。針間氏が解説する。

「欧米諸国でトランスジェンダーが増えていることは、専門家としては常識ですし、SNSの影響も否定しません。私がこの1~2年に経験した日本の事例ですが、YouTubeで人気の歌い手が、性別不合(性同一性障害)を公表したことにより、一時期その影響と見られる子が増えました。この例に限らず、インターネットやYouTubeがきっかけで、性別違和を感じるお子さんは多いと思います」

 

一時的にトランスジェンダーに「感染」した少女を救うためには「ホルモン治療や手術ではなく、親が積極的に介入することが重要」との主張についてはどうだろうか。

「親の役割も重要なのは当然です。ただし、私が最も賛同できない点は『母親がネット環境のない馬牧場で1年間生活させたことで、少女はトランスジェンダー・アイデンティティから抜け出せた』と紹介されていますが、一線を超えています。うまくいったからいいとはいえ、かなり珍しい事例。現代のネット社会で、いきなり子どもからスマホを取り上げてコミュニティから引き離されることになれば、メンタル悪化は必然であり、最悪のケースもあり得ます」

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