2024.04.27
# ジェンダー

「性別違和の背景にはいろいろな悩みがある」...“議論紛糾の書”では語られなかった「日本のトランスジェンダー事情」

週刊現代 プロフィール

英国の研究結果で「ジェンダー治療は科学的根拠が乏しい」

BBCによると4月10日、イングランドの国民保健サービス(NHS)は、18歳未満に提供するジェンダー(性自認)関連治療についての報告書(小児科医のヒラリー・キャス医師が2020年、NHSイングランドから委託され、調査して取りまとめたもの。通称「キャス報告書」)が発表された。

388ページにわたる詳細な報告書であり、NHSがこれまで科学的根拠が非常に乏しいケアを行なっており、子どもの要望に「十分応えてこなかった」と指摘している。

 

本書の思春期ブロッカーをめぐる主張は、キャス報告書によってより説得力が増したように思える。

一方、「スマホを取り上げて1年間田舎で生活させる」といった対処法は、成功例として挙げられているが、針間氏が指摘したようにかえって損害を受けるケースも考えられる。当事者やその親にとっても適切なアドバイスとは言い難い。

とはいえ、米国の「トランスジェンダー問題」の実状は、多くの日本人にとってほぼ知られておらず、これまで日本で類書はなかった。発売中止を求めるのではなく、出版された上で議論が繰り広げられる社会が健全ではないだろうか。

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