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東京都調布市深大寺の茶屋、鬼太郎茶屋を歩いてきました。
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子供たちを連れ、調布市の深大寺元町にある仏教寺院、深大寺にやってきました。
写真は深大寺の境内で見かけた日露戦争の忠魂碑(左)と戦捷紀念碑(右)です。
神社仏閣において、辛勝とはいえ戦いに勝った日露戦争の石碑はよく見かけますが、人を肉挽き機にかけるがごとき惨戦となってしまったアジア・太平洋戦争の石碑はほとんど見かけないという印象です。亡くなった人間の数でいえば、はるかにアジア・太平洋戦争の方が多いんですけどね。
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調布市深大寺で戦争といえば、かつて旧日本兵としてニューブリテン島で連合軍と戦い、戦後は調布市に家を買った「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげるさんが連想されます。
「ゲゲゲの鬼太郎」の中でも調布市は登場しており、調布ではバキュームカーのホースが暴れだし町中にうんこがまき散らされたりしていました。
そのため、深大寺の門前には「ゲゲゲの鬼太郎」のショップ兼甘味処の「鬼太郎茶屋」があり、訪問時はファンと思われる多くの人で賑わっていました。
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「鬼太郎茶屋」甘味処のメニュー表は、ゲゲゲの鬼太郎の漫画と組み合わさった味のあるものとなっていました。
コマ割りにまったく意味はなさそうですが、それでもなんか意味がありそうに見えるのは水木しげる漫画の怖いところです。
「ははははは」という吹き出し外の笑い声が、いかにも水木しげるの作品らしいですね。
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こちらは甘味処の簾の横から、吹き出し付きで顔を覗かせている西洋妖怪の大将、バックベアード様。
バックベアードはアメリカの妖怪とされていますが、まわしをつけて相撲をとることもできます。
というのはこのバックベアード、水木作品の中にしか出典がなく、水木しげるの創作の可能性が高いと言われる妖怪だからです。
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鬼太郎茶屋の2階は、妖怪ギャラリーという水木しげるの妖怪画や妖怪フィギュアを展示したミニギャラリーになっています。
私は出会ったことのない妖怪ですが、妖怪は元来森に棲むものとして人間とは一線を画す存在であるところ、たまたま人里に降りてきた妖怪と人が接触することがあって、その時の話が今日に伝承されているのだという。
しかし自然が失われてきた都会では、妖怪に出会える機会に恵まれる人は少なくなっている、と水木しげるさんが書いていました。
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こちらは、いかにも森に棲む妖怪であると思われる妖怪・小豆洗い、別名小豆とぎ。
しょきしょきと音を立てて川で小豆を洗う妖怪とのことですが、ほとんどの人には音だけが聞こえるだけで、その姿は見えないといわれています。
「水木しげるの妖怪絵本」の表紙を飾っていたし、「水木しげる漫画大全集」でもその姿をよく見かけることから、お気に入りの妖怪だったのかもしれません。
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こちらは人里に降りてきた妖怪と思われる妖怪・垢嘗め。
人家の風呂場に侵入し、風呂桶や風呂にたまった垢を嘗め食うとされる妖怪で、垢を嘗める以外には何もしないものの、妖怪が現れるだけで気味が悪いことから、人々は垢嘗めが来ないよう、平素から風呂場や風呂桶をきれいに洗い、清潔にするよう心掛けていたそうです。
垢嘗めと関係ありませんが水木しげるさんは、軍隊生活における内務班において、上官から自分の枕に魚を描かれたといい、それは魚が泳ぐ=水が必要ということから、枕を洗ってきれいにしろという意味だったという。
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こうした妖怪は、近くにいたとしても、感受性や想像力のない人間には決して見つけることはできないという。
私も子供の頃は、いろいろと空想するのが好きでしたが、社会に出てそれに染まるにしたがって、いつしか、そんな無駄なことはするな、そんな暇があったら現実的な努力をしろ、そうすれば苦しい人生から脱出できるのだ、と思うような人間になってしまいましたね。
私たちの、日々追い立てられているような生活や、目に見えるものだけに価値を置く生き方が、妖怪と出会える感受性や想像力を失わせているのだとしたら、そうした生き方、考え方が変えることが、妖怪と出会える近道であるのかもしれない。
(訪問月2022年8月)