荒川区南千住の軍事遺跡、千住製絨所跡を歩いてきました。
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家族がやっている運動の行事のために、都電荒川線に乗って荒川総合スポーツセンターにやってきました。
来るたびに思うのですが、このスポーツセンターはとても大きい体育施設ですね。
この辺りは、荒川総合スポーツセンターのほか、警視庁南千住警察署、都営住宅、都立荒川工業高等学校、野球のグラウンドなど大きな敷地を要する施設ばかりで、ごみごみした住宅地とは一線を画した地域です。
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その理由は、この一帯にかつて、大日本帝国陸軍が所轄する陸軍向け毛織物生地を作る「千住製絨所」という巨大な工場があったことに由来します。
千住製絨所は1879(明治12)年、当時はただ葦が茂り人家がぽつりとあるだけだった広い荒地に完成して操業を開始し、国内繊維・被服産業の発展に大いに貢献したという。
荒川総合スポーツセンターの近くには、ドイツで長年毛織物産業について学び、千住製絨所の初代所長となった井上省三の胸像と記念碑等が建立されています。
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ちなみに約5年前、まだ2歳だった息子と二人、ここ千住製絨所跡地を歩いています。
その時はライフ南千住店のすぐそばにある千住製絨所の東側の煉瓦塀を見学して帰ったのですが、西側の若宮八幡通り沿いにも煉瓦塀が残存しているという。
荒川ふるさと文化館を訪問した際にそれを知り、未就学児連れだったとはいえ全くもってうかつでした。
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というわけで、荒川総合スポーツセンターに来たことを機会に、5年半の歳月を経て成長した息子と二人、千住製絨所西側煉瓦塀を見に若宮八幡通りにやってきたのですが、なにか様子が変です。
手前には、きれいに修復したものと思われる煉瓦塀があるのですが、その奥、古い煉瓦塀が並んでいるとされているところに工事用の白いフェンスが立てられています。
…これはまさか、撤去のための工事?
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嫌な予感がして、フェンスが一箇所だけ隙間を空けているところがあったので、失礼して中を覗かせてもらいました。
フェンスの内側には、手前のきれいな煉瓦塀とは明らかに違うぼろい煉瓦塀が残っていました。
青いテープが塀に貼られていますが、これは、補修のための目印ですかね?
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千住製絨所煉瓦塀は荒川区登録有形文化財(歴史資料)になっているというし、この状況からも撤去という感じではなさそうに見えますが…。
背の高い煉瓦塀なので、もし倒壊した場合は重大事故になるため、耐震補強工事かなと思いました。
当時の面影を失わせてしまう補修や撤去は残念なことですが、以前、ブロック塀が倒壊して学生さんが亡くなる事故があったし、人命には代えられないので、補修又は撤去はやむを得ないことかもしれません。
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なお以前訪問したライフ南千住店前の千住製絨所煉瓦塀は、こちらも同時代のものと思われますが、こちらは変わりないようでした。
耐震のことをいうなら、自転車でたくさんのお客がやってくるこっちの方が危なそうですが。
西側煉瓦塀は予想が外れて撤去の可能性もあるので、見学したい方はお早めに。
(訪問月2023年11月)

[以下は、2024年3月17日追記]
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この日、煉瓦塀を見に行ったらフェンスが取り外されていました。
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点検・補修工事だったようです。
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一部、補修されたと思われる箇所がありました。
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古い煉瓦塀から一部煉瓦をくり抜き、新しい煉瓦をはめ込んだようです。
すごい技術ですね。
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通用門跡。
かつてはコンクリートブロックで塞がれていたようですが、真新しい煉瓦塀になっていました。
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通用扉はコンクリートブロックのママ。
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どうせなら、この「千住製絨所跡」の案内板も新しくしてほしいところですね。
読めるには読めますが。