東京都北区十条台の図書館、北区立中央図書館を歩いてきました。
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いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
本日をもちまして、2014年に開設したこのブログ「帝都を歩く」も開設10周年を迎えました。
このブログはもともと「戦争遺跡や歴史的建造物、地下壕・洞窟やB級スポット」等を探訪して見聞を広めるという目的で始めたんですが、最近はブログ開設時に生まれ、大きくなってきた子供たちの要望に応えて博物館や科学館のような公共施設に行くことが多くなり、記事も自然とそういう展示施設が多くなってきた感じです。
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とはいえ、せっかくの休日を全部子供にあわせて外出するというのも疲れてしまうので、うまく自分の趣味とつなぎ合わせて自分も楽しむようにしています。
そんなわけで、図書館に行って宿題に活用する本を探すぞと子供たちに言われた今回は、戦争遺跡「東京第一陸軍造兵廠275号棟」を利用して造られた東京都北区の図書館「北区立中央図書館」にやってきました。
ここならば私の戦争遺跡に対する興味・趣味と子供たちの学習・研究意欲をうまく調和させることができるように思います。
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ここ十条台にあった東京第一陸軍造兵廠は、小石川にあった東京砲兵工廠銃砲製造所が1905(明治38)年に移転してきたことに端を発する陸軍の軍需工場でした。
アジア・太平洋戦争の敗戦によって陸軍が解体されると、この軍需工場は米軍に接収されるものの後返還され、現在この付近一帯は陸上自衛隊十条駐屯地をはじめ公的機関等が建ち並ぶ区域になっています。
そうした歴史の中で、取り壊されることなく図書館という形で今日まで残ったこの275号棟は、建築当時優秀な技術者を抱えていた陸軍省の設計により弾丸鉛身場として1919(大正8)年に建設された煉瓦造りの建物でした。
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赤レンガ棟の外壁には、かつて工場内に張り巡らされていたシャフトの軸受け固定金具を今も見ることができます。
赤レンガ棟が軍需工場だった頃、工場内の器械は個々に動力(エンジン)が付いていたわけではなく、一つのエンジンの動きを、シャフトやベルトによってそれぞれの器械に伝えて動かしていたそうです。
したがってこのシャフトの軸受け固定金具は、かつての工場内にシャフトやベルトが張り巡らされていたことを示すものです。
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赤レンガ棟のレンガ積みは、一段ごとにタテ向きのレンガとヨコ向きのレンガを積み重ねる「オランダ積み」となっています。
最初、この積み方は「イギリス積み」だろうと思っていたのですが、端部の調整の仕方がオランダ積みとイギリス積みでは違うのだという。
イギリス積みに対しオランダ積みは、角に小口より長く、長手より短い「七五分」という小口・長手以外の煉瓦が使われています。
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また、土台部分のレンガは、普通の赤レンガに対し少し濃い色(茶褐色)になっています。
この茶褐色のレンガは「焼き過ぎレンガ」であり、焼き過ぎレンガは良質の粘土を高温で、それこそ「焼き過ぎ」になるくらい焼いて作るのだという。
焼き過ぎレンガは磨減が少なく、吸水性が低く出来上がるために、建物の土台部分に用いられることが多かったそうです。
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こちらは、工場内部の柱の数を少なくするためのトラス構造の屋根です。
このような三角形の形をしたトラス構造の骨組みは非常に強度が高く、また、力の向きを分散させることができるために、少ない数の柱で屋根を支えることを可能とするという。
トラス構造は橋や東京スカイツリーといった現代の建造物にも多く利用されています。
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最近、子供と理科について勉強する中で、トラス構造は段ボールの中しんなどにも活用されていると知りました。
激しい衝撃に直面したとき、その力を正面から受け止めることなく分散させて持ちこたえるって、生きていく上でも大事なことですね。
10周年を迎えた当ブログ「帝都を歩く」の管理人も、色々な物事を我慢強く支えなければならない人生を送っておりますが、100年以上もこの建物を支え続けているトラス屋根を見習って、今後も頑張っていきます。
(訪問月2024年1月)