出口ナオ | 異次元から

異次元から

日々の事、思い、時々起こる不思議系の事お会いしたユタ、神人の事などを書いていきます

テーマ:
ノートブログの「いつか」さんの記事から抜粋し貼り付けました。


2021年12月7日 20:58

ある日、革命思想家になった女性、出口なお

革命とは、「社会の根本的な変革が、当の社会メンバーによって意図的に引き起こされること」と定義したのは、社会学者の大澤真幸氏です。

これをめざす人が革命家というわけですね。

明治25年、出口なお(53才)の口から、神のコトバが溢れだした。

出口なお


「外国はケモノの世、強いもの勝ちの悪魔ばかりの国であるぞよ」
「日本もケモノの世になりているぞよ」
「外国人にばかにされて、尻の毛までぬかれておりても、いまだ眼が覚めん暗がりの世になりているぞよ」
「これでは国はなちてはいかんから、神が表にあらわれて、三千世界の大洗濯・大掃除をいたして、天下泰平に治めるぞよ」

彼女の革命宣言です!

なおは1837年、天保の大飢饉のただなかに生まれ、人生を閉じるまでのほとんどの期間、極貧状態ですごします。

11才で奉公デビューすると、熱心な親への孝行と忠実なはたらきがみとめられ、福知山藩のお殿さまから表彰されました。

なおの生きた世は、江戸から明治への大転換の時代。
舞台が暗転するように、常識や価値観が「ガラガラ」と組み換えられるなか、なおは大工の政五郎と結婚し、11人の子どもをさずかります。

幼くして3人が亡くなり、娘のひさとよねは発狂。
長男は自殺未遂のすえ行方不明。
次男は戦死。
次女は駆け落ち。
五女・すみは、のちの大本教おおもときょうをひきいる出口王仁三郎でぐちおにさぶろうと結婚します。

ひさの嫁いだ何鹿郡(いかるがぐん)でも28人が発狂。なおの奉公先の村でも、5人が自殺し、強盗、殺人、ニセ札づくりと、まともな家は2~3軒しかなかったそうです。
すさまじい時代でした。

遊び人の夫が亡くなると、なお更に日本の底辺へと追いやられ、ボロ買いをはじめます。

政治家とは正反対に、民衆に支持される宗教の教祖には、女性がおおく登場しました。如来教のきの、天理教の中山みき、蓮門教の島村みつ、霊友会の小谷みき……。いずれも、貧乏と女性ゆえの苦難を味わい、閉ざされた生活を強いられた人たちでした。

明治25年、ボロ買いを終えたなおに、「艮の金神うしとらのこんじん」が、いきなりのり移ります。
日本国は「悪の世」「ケモノの世」、「強いもの勝ちの世」「利己主義の世」になりさがったぞよ! と、なおの神は威厳をもって断罪します。

時ところおかまいなく、大声で神のコトバを語りだすなおは、狂人あつかいされ座敷牢に閉じこめられるのでした。

「大声でわめかないでほしい」と、なおは神に懇願。
「ふでをとって書け!」と、神
「自分は字が書けない……」
「神が書かせるのだから、かける」
座敷牢で釘を手にし、柱などに書きつけたのが、「お筆先」のはじまりでした。

お筆先

「お筆先」は、冒頭にあげたように、ケモノの国=外国に、魂を売りわたした日本人を断罪します。
更になおの神は、地主や資本家も、国家権力の手さきとみなし、民衆から利潤や労働力をむさぼり、税や罰金をとりたてる収奪者として、あからさまに批判します。

こんなぐあいです
「下の人民は、今日働いて今日食わなならん人民、たつぴつたくさん日本にはあるぞよ。それでも上に立ちて日本の番頭、それだけの難渋していること分わかろまいがな」
「法律も変へんと、弱い者たおれ、強いもの勝ちの世と申すは、上にあがりている人民が弱いものを、赤子の手を捩(ねじ)るやりかたしているが、これからあらためにかかるから……」

さらに、なおの「お筆先」は、日清・日露戦争を予言。
戦争突入を選択する日本国の破局を警告します。
戦争と天災で、世界が「泥海」になり、「人口が三分」になるぞよ。この試練は、神が人間にあたえたものであるから、改心を急がねばならぬ、と。

なおの神は、この世界の全体を絶対的な「悪」ととらえ、その終末観を説き、ちゃぶ台返しの変革をせまるのです。

家父長制を引きずったこの時代、女性は、ささやかな欲望や希望さえも奪われ、夫や子ども、イエにつかえ、家庭生活でうまれる格差や不平、不満を全身にうけて生きるほかありませんでした。
とくに、貧しい女性、なかでもだらしのない夫をもつ、なおのような女性は、イエへの完璧な献身と自己犠牲の圧力が、強制的にくわえられたはずです。

とりわけなおは、幼いころから質素、倹約、孝行、正直という、江戸時代からリレーされた民衆道徳を、真に身にまとって生きた女性でした。

この時代に限らず、女性たちは偏見や差別という、密閉されたイエ制度の犠牲者でしたから、完璧な苦難にまみれ、心に鬱屈(うっくつ)と葛藤を膨らませるのです。

底辺を這うように生きる女性が、ガマンぎりぎりのところで、怒りに身を焦がし、やがてある日、爆発的に神がかる。

なおにしても、発狂するか自分自身を殺して生きるか国をひっくりかえす<革命家>をめざすか逃れることのできない選択肢を突きつけられた時代だったと、わたしには見えてきます。
こうして、精神の深い場所から届く「声」にしたがって、革命家への道を選んだ女性。それが、出口なおでした。

女性革命家

では、革命思想家・出口なおがデザインする理想の世界を見ていきましょう。

まずなおは、日本は「見苦しき国となり果てたぞよ!」と語りかけます。
欧米列強の外圧に屈し、日本の近代化・文明開化は、西欧の「モノ」と「文化」の輸入、その「制度」のモノマネからはじめました。

日本中に、「文明開化」「富国強兵」という病がひろがり、外国に魂を売りわたす支配者たちが、日本国をやみ雲に近代化へと押しすすめた。そのことへの、やむにやまれぬ「怒り」と「否定」が、なおの革命思想のダイナマイトとなっています。

したがって、なおとなおの神が説く革命後の理想世界は、
1.金銀の支配のない五穀中心の世界
2.洋服や肉食の習慣がなく
3.学問や知識が幅をきかせない社会

イメージとしてはこんな感じになります
1.「天地は本源的な存在」。そうした存在(神)からさずかった恵を、人間はいただいてきた。捨てることがないよう、節約することが大切です。
2.そうすれば、人間の寿命は長くなり、病もはびこらなくなる。
3.世界は平等になり、誰ひとりうち捨てられ踏みにじられることがなくなります。
4.国家や国王、戦争もなくなり、世界中の人びとは仲よく暮らすようになる。
5.天も地上の人間に近くなる。
6.それは水晶のように浄化された世界であり、その世界は常緑の松のように変わることがない。

じつは、「お筆先」が描く世界は、なおが生活のなかで育んできた価値観に基づいているのです。それは勤勉、倹約、正直、憐みです(これらを総称して<通俗道徳>と、民衆思想史家の安丸良夫氏は述べています)。

安丸氏は、近世中期以降に醸成された民衆の意識、つまり<通俗道徳>は、
家族を単位とし勤勉で人情にあつく誠実な人びとが労働(おもに農耕)をとおして
涵養(かんよう)されてきたものだと捉えています。

農耕でえられた果実は、天地自然という神からさずけられた恵であります。
この天恵は、なおや民衆が生活のなかで育んできた<通俗道徳>を実直に守りとおして、享受できた思想なのです。

そこに、幸福がある。極楽である。という、なおの<天地自然>と<通俗道徳>の世界観(庶民の世界観でもありますが)は、幕藩制国家とも天皇制国家とも資本主義国家とも異なったものです。
つまり、なおの革命思想は<勤勉、倹約、正直、憐み>という庶民の道徳と天地自然への尊崇(そんすう)を、その内部で丁寧に発酵させ、実を結んできたものなのです。

生活者としてのなおは、苦難を黙ってひきうけ、不平不満をいとわず、自らの欲求や願いをおし殺すという生きかたをしてきました。安丸氏も指摘するように、だから、なお(のように貧しく忍従にんじゅうを強いられた女性たち)こそ、神の意志を代弁する資格を得られたのではないでしょうか。

なおとなおの神は、生涯に半紙20万枚という、厖大(ぼうだい)な「革命思想」をのこしました。
晩年のなおの佇たたずまいに感化され、その場で入信したひとたちもいたほどです。

偉大な革命思想家・出口なおは1918年、83才で、異なる世界へ移られました。
AD

アサヒさんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります