振り込め詐欺「キング」に懲役20年 地裁判決
交通事故などを装い39人から計約1億4600万円をだまし取るなどした振り込め詐欺グループの主犯格として、仲間内から「キング」と呼ばれ、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などの罪に問われた無職、戸田雅樹被告(31)の判決公判で、東京地裁(菱田泰信裁判長)は24日、懲役20年(求刑懲役23年)の実刑を言い渡した。
菱田裁判長は判決理由で、戸田被告が組織の頂点となり、複数のグループが収益を競い合う仕組みだったとし「職業的に振り込め詐欺を繰り返しており、犯罪組織による継続的かつ大規模な犯行といえる」と認定した。
そのうえで、被害者の中で家族からだまされたことを非難され家庭不和が生じたり、極度の人間不信に陥ったりするなどの影響が出ていると指摘。「振り込め詐欺被害の多発が社会問題となっている。この種の犯罪を防ぐために、厳しい処罰を科す必要がある」と述べた。
判決によると、戸田被告は部下の共犯者らと共謀。2006~07年、被害者の家族になりすまし、電話やメールで「車で交通事故を起こした。ばれたら会社をクビになるので修理代を出してほしい」「私用で会社のパソコンを使ったら、ウイルスに感染させてしまった」などとうそを言い、計39人から約1億4600万円をだまし取るなどした。
戸田被告らに対しては被害者が損害賠償を求めて提訴。約1億1200万円の支払いを命じた判決が確定している。