展開遅い、投稿遅いの遅い遅いがゲシュタルト崩壊しておりそろそろ遅さの化身となりつつありますが、そろそろ伏線も張りきったはず・・・。(ほんとにござるかぁ?
~いろはside~
期末テストも一切手が抜けないのが受験生の辛いところですが、何とか乗り切りました。理系の勉強手伝ってくれた水波には今度スイーツでもご馳走しなきゃいけないですね。
いくら総武中学が魔法師教育の先取りを行っている実験校でも成績は基本的な中学と同じ評価方法なので普通に義務教育の範囲。内容もレベルの差こそあれど一般的な中学校の範囲に準じるものなので、勉強するのも普通の内容。それに加えて私達受験生は受験勉強があるのですが、うちのクラスの志望先は基本的に魔法科高校なので、それとは別に魔法用の特殊な勉強が必要なのです。
それによって普段の勉強があまり受験に活用できない悲しい受験生が完成します。
学校の成績も魔法関係で出して欲しいなぁ。
まぁ、叶わぬ願いはさておいて、期末テストが終われば後はもう消化試合。あの、待ちに待った夏休みがはじまる。
「まずは期末試験お疲れ様。結果は各自しっかりと見つめて受験に役立てるように。
とまあ、堅苦しい話はここまでにしておこう。
明日から待ちに待った夏休みが始まる。」
教室内が喚起の声で包まれます。
「そして夏休みということは、ここ魔法特進クラスは毎年恒例、九校戦見学合宿がある。」
九校戦見学合宿。
日本の魔法特進の先取り教育を推進するに当たって”魔法師の資質を学ぶ上での能力向上には上級魔法技能保持者を見学する事が近道である”という考えの元に魔法技能を見る事に適した祭典でもある九校戦を見学する特別合宿の事。
この考え方自体、当初は魔法技能にあまり明るくない国がとりあえずで決めた概念だったのですが、思いの外理にかなった内容だったためにそのままにされている指針です。
と言うのも、魔法とは魔法師のイメージを魔法という技術によって再現すること。それをうまくコントロールしてイメージを形にする術や、効率を上げることで規模や出来ることを増やしたりするために、呪文や道具を使って魔法を使うのが魔法師の原点です。CADもその流れに逆らったものではなく、科学を魔法に利用するという流れを汲んだだけでしかなく、魔法においての計算処理や術を汲み上げる為の行動をコンピューターで補おうとした結果産まれた、例えるなら”近代文明の魔法の杖”と言ったところでしょうか。実際CADの事を魔法を使う機械として”法機”と言われることもあるそうです。
となると、重要なのはイメージなのでイメージを養う為には出来る人の魔法行使を見るのが近道ということが提唱されて今の体系になったとか。
堅苦しく言ってはいるものの魔法を学ぶには使える人のことを見て学んで欲しいと言う国の方針で、九校戦見学旅行に行けるということです。受験生としてはこういうイベントがあるだけでも嬉しいですし。
「詳しいことは後で資料を配布するが、滞在用の用意を調え前日にこの学校に集合、そのままバスで現地入りする。」
魔法に関わる生徒なので、うちのクラスの九校戦への関心度は高い。当日の予定などを今から相談し始めている子もちらほらいる。
「平塚せんせー。当日どこに見に行くかって自由ですか?」
「新人戦、本戦のモノリスコードとミラージバッドは全員分の席が押さえられているから全員参加だが、それ以外は単独での行動は禁止するが各自見たいところを見に行くと良い。
もちろん言わなくともわかっていると思うがどの競技を見に行くのかを”選ぶのが”自由だ。部屋に籠もって惰眠を貪る自由がある訳ではない。」
・・・異様に実感がこもった補足ですね。しかもすごーく顔が浮かんでくるんですが。
「先生、それってもしかして・・・。」
「あぁ、比企谷だ。
合宿への参加拒否、当日の行動拒否、単独行動。あまりの問題児っぷりに驚きを通り越して笑うしかなったよ。もちろん悪い意味でだが。」
やっぱりですか・・・。小町も「あのごみいちゃんはまったく・・・。」とか言って頭抱えていますね。それにしても、去年いくら探しても見つからなかったのはそれが原因ですか。
この九校戦見学合宿は3年生は全員参加で、下級生の成績優秀者が希望参加ということになっています。去年は私も参加しましたが先輩を捜しても見つけられず、もしかしたら不参加だったのかと思ってたのですがまさか合宿先でも引きこもってたなんて・・・。
「比企谷先輩って小町ちゃんのお兄さんだよね?あの。」
「え、あ、うん。私のお兄ちゃんだけど、こんなところで聞きたい名前じゃなかったなぁ・・・。」
あの比企谷先輩。そう呼ばれるほどに先輩は有名だ。この総武中学校全体ではとある生徒の広めたせいで蔓延した悪評として。魔法関係者や魔法特進クラスならば雪ノ下家、一色家の抗争の中心人物として。
魔法関係の確執にも多少明るい人が多いこの環境で一色家と雪ノ下家が揃っている。触らぬ神の様に放置され、特に音沙汰無く1年を超えていたのに、とある男子生徒を中心に抗争が激化。あらゆる方面でも妄想や噂で昼休みのゴシップに事欠かない状況となりました。おまけに、何かと先輩の周りには女子生徒が居ることからもそれがエスカレート。
結局それが学校全体に流れ、脚色され、学校全体の認識は女性関係がだらしない人といった風潮で定着しています。
ですが、魔法特進クラスに関しては少し評価が変わります。
なまじ魔法師社会に詳しいだけに魔法関係の派閥抗争が如何に面倒な側面を持つかよく分かってるため、先輩に対しても被害者なのだろうという印象があります。
それに加え、小町は学内でも影響力の大きい間違いなくトップカーストの人間。基本的に誰にでも好かれやすい明るい性格に加え"怒らせたらとんでもない事が起きる”というのは過去の事例が証明しています。その兄である先輩を悪意的に語る人間は相当に偏った思考の持ち主か自殺願望者でしょう。
「でも、一校の受験で次席だったって聞いたよ?サボってるのにそれって本当に凄いよね・・・。」
「サボってるから評価は結局マイナスなんだけどね。はぁ、ほんとごみいちゃんは・・・。」
魔法社会は実力主義。実力さえ見せれば評価は逆転してしまう。
手のひらの薄っぺらさは苦笑い物ですけど、これも現実なので仕方ないですね。蔑まれるより数倍マシですし。
「さて、あの問題児の話は脇に置くとして、連絡は以上だ。皆、充実した夏を過ごすように。」
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~???side~
「ねぇ、一校の事件聞いたかしら?」
「一校?なんかテロリストが暴れたって話なら聞いたけど。
それがどうかしたし?」
唐突にふられた話の真意がいまいち分からない。
「もうすぐ九校戦だからライバルに何かあったら消化不良じゃない?
・・・と言うのは建て前で、関係者におもしろい名前があったからちょっと意見交換会でもしようかと思って。」
おもしろい名前?隼人とかが討伐軍に参加してたのかな。
「テロリスト討伐は十文字家が主導でやったんじゃないの?
てか誰だし。名前は?」
「比企谷八幡。」
ヒキオ!?あ、そういえば一校行くって結衣が言ってたっけ。てかテロリスト討伐とか何やってるし。
「ヒキオが関わってるとは思わなかったけど、ヒキオって実践できるし?
あいつ結構ヘタレだったと思うんだけど。」
「それがね、彼学年次席で入学してるらしいのよ。」
「はぁ!?なにそれあり得ないし。」
あいつの血筋は噂で聞いているけど、学年次席はそんな程度で簡単に取れるものではない。今年の学年が特別レベルが低いと考えるのは楽観的が過ぎる。まさか実力を隠してるとは思わなかったし。
「先のテロリスト討伐も十文字家主導ってことにしているけれど、実質メインで動いて部隊を率いたのは1年生だったらしいわね。そのうち一人が比企谷君よ。」
「・・・やけに詳しいじゃん。どこ情報?」
「・・・実はうちの妹が事件に巻き込まれたみたいでね。八幡君とも行動を共にしてたみたいだし。なんでも彼、擬似的な飛行魔法の真似事が出来るらしいわ。つくづく驚きね。」
・・・なんか私の知ってるヒキオじゃないみたい。どこのスーパーマンだし。
「てか、いろは大丈夫・・・か。あの子あーしより実践強いし。」
「そんじょそこらのテロリストじゃ遊び相手にもならないでしょうね。才能だけなら私より上ですから私もうかうかしてられないわ。」
数年前私が年上なのを良いことに本気を出しても大丈夫だと思って模擬戦で酷い目に会わされたのは記憶に新しい。正直ほぼ全力で対処して紙一重の差だったし、次戦ったらどうなるか分かったものじゃない。
「まぁ、いろはの事は良いとして、その感じだとヒキオは九校戦で会いそうだね。
一言文句言ってやるし。」
「謝罪もした方が良いかもしれないわよ?貴女の思い人、どうやら一校でもちょっかいかけてるらしいから。」
・・・・・・隼人。
「・・・とりあえず挨拶には行くし。」
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夏休み。それは夏期に訪れる長期休暇であり、学生全てに平等に甘受を許された休む権利だ。
だが、学生の本分は勉強にある。毎日の様に勉学に励み疲れた体を癒した後、また勉学へと励むそのための充電期間とも言えるこの休日はもはや休息を行う義務と言っても差し支えないのではないだろうか?
人間、休めるときに休んでおかなければならない。
誰かの格言だったか忘れたが、この言葉には人生の真理が浮き彫りになってるのではないだろうか。
なればこそ、休息をもっとも効率的に行う睡眠はこの夏休み期間に十全に行うことは義務だと断言できるのは確定的に明らかであり、このまま睡眠を続行することこそが我々の正義である。
さぁ、働かない全ての者達に告ぐ。我々のせーいぎのためにー!!
「なーにぶつぶつ言ってるのお兄ちゃん。
ほらさっさと起きて準備しなよ。九校戦の会場入り明日なんでしょう?ほら、水波ちゃんがほとんど準備してくれたんだよ?最終確認ぐらい自分でしないと愛想尽かされちゃうよ?」
水波に愛想尽かされるとか朝っぱらからなんて脅しを掛けてくるんだマイシスター。
「朝じゃなくてもうお昼だよ。ごみいちゃん。
なんでこう上がった好感度を容赦なく下げにくるのかな・・・。
私達も準備あるんだからお兄ちゃんにいつまでも付き合ってられないんだからね?」
朝から容赦のない罵倒で俺のライフは致命傷である。・・・今度水波にプリンでも買って帰るか。
だが、俺にも言い分はあるのだ。ただだらけてると思ったら大間違いである。
「そうは言うがな、妹よ。今は何月だ?」
「今日から8月かな?今日も暑くなりそうだね。」
「夏休みの開始はいつだった?」
「七月の半ばだったと思うけど?」
「俺がその間に学校に行った日数は?」
「普段よりも行ってたんじゃない?というか昨日まで土日含めて皆勤賞じゃないかな?お兄ちゃんとは思えないよ。」
そう、そうなのだ。俺はこの2週間ほど夏休みにも関わらず学校に出突っ張りだった。そりゃあもう練習付き合ったり練習付き合ったりCAD作ったり調整したり作戦練るの手伝ったり殺す気か!!てか最後の1年の仕事じゃなくね!?
とまあ、お陰で夏休みの最高に怠惰な生活の予定はおじゃんである。八幡激おこ。
「だからこそ俺はこのまま惰n「はいはい頑張ったね格好良かったよお兄ちゃん。じゃあ荷物の確認お願いね?」
八幡そろそろ泣くからね?
「はぁ、わかったよ。
てか、小町。準備って何?」
「総武中の九校戦見学合宿。去年お兄ちゃんも行ったじゃん。部屋に籠もってろくに競技見なかったみたいだけど。」
・・・・・・あー。そんなんあったなー。完全に忘れてたわ。
「私達もお兄ちゃんと同日に現地入りするから用意しないといけないの。だからお兄ちゃんの用意まで面倒見切れないんだから。」
そう言って部屋を出て行く小町。ああは言いつつも俺のスーツケースの中はこのまま出ても問題なさそうな状態に見える。俺の妹はツンデレだったか。
「お兄ちゃん、私を勝手にツンデレにしないでよ。気持ち悪いなぁ。」
お願いだから心の声にまで罵倒しないで、小町ちゃん。
役者はこれで揃ったはず・・・。
やっと本格的に九校戦に入れます。
本格的に競技が始まると登場キャラクターが一気に増えます。
分かりにくかったり疑問があったりしたときは是非とも感想欄にてコメントをお願いします。
普通に感想をいただいても作者が泣いて喜びますので、よしなによしなに。