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俺は星間国家の悪徳領主! 作者:三嶋 与夢
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一緒に突撃!

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12月巻が全て発売されました!


是非とも年末年始にお楽しみ下さい!

『アマリリス一番機と二番機、着艦しました!』

『すぐにハンガーに移動させて補給と整備にかかれ』

『続いてガーベラが着艦します』


 アルゴスの機動騎士運用格納庫では、アヴィドの量産機であるアマリリスとガーベラが着艦した。


 その様子を見ていた整備兵たちが、並んだ四機のアヴィドタイプに見惚れていた。


 バンフィールド家を――リアムの躍進を支えた名機である。


 アヴィドと違って白い装甲を持つアマリリスの一番機と二番機は、凜鳳と風華の乗機だ。


 ガーベラは深紅の機体であり、エレンの乗機となっている。


 ハンガーに固定されたガーベラのコックピットが開くと、そこから機体色と同じ深紅をメインカラーにしたパイロットスーツ姿の女性が降りてくる。


 エレン・セラ・タイラー。


 リアムにより三というナイトナンバーを与えられた騎士は、一個艦隊を指揮する提督でもあった。


 そんなエレンをパイロットとして招集させられるのは、バンフィールド家のトップであるリアムだけである。


 エレンは呼び出された理由を知らされておらず、今回の命令を疑問に思っていた。


「この状況でパイロットとして呼び出すなんて、師匠は何を考えているのかしら?」


 凜鳳と風華だけなら理解も出来るが、艦隊を率いている自分まで呼び出す理由がわからない。


 提督不在となったエレンの艦隊は、ティアの指揮下に入るらしいが――鍛えてきた自分の艦隊を預けるというのは抵抗もある。


 不満に思っていると、エレンの端末にリアムから通信が入った。


『到着したようだな』


「師匠!? 今回は何が――」


『理由は俺の部屋で話す。お前は凜鳳と風華を連れて俺の部屋に来い』


 言うだけ言って通信が切られてしまうと、エレンは小さくため息を吐く。


「教えてくれてもいいのに」


 僅かに甘えを吹くんだ愚痴をこぼすと、エレンは凜鳳と風華を視線で捜した。


 すると、何やら二人が話をしている。


「いい加減に覚悟を決めなよ!」


「で、でもさ。俺って、兄弟子に怒られているし」


 いじけている風華に、凜鳳が苛立っているようだ。


 エレンは無重力状態の格納庫内で、近くの設備を蹴り二人のもとに向かった。


「何をしているんですか?」


 尋ねると、凜鳳は肩をすくめる。


「こいつ、戦争前に兄弟子に怒られたのを気にしているんだよ。こんなことくらいで、グジグジするとか気が小さいよね」


 エレンが風華に視線を向けると、落ち込みつつ答える。


「一閃流の剣士が暗殺者気取りか、って怒られたんだよ。兄弟子、絶対にまだ俺のことを怒っているだろ? それに、でかい機動騎士も壊したし――また怒られる」


 量産型グリフィンを破壊してしまった事もあり、リアムと顔を合わせるのが億劫になっているらしい。


 エレンは、以外と繊細な風華に呆れてしまう。


「ここでグズグズしている方が、師匠は怒りますよ。さっさと師匠の部屋に向かいますよ」


 エレンが風華の腕を掴むと、強引にリアムのもとへ連れて行くのだった。



 アルゴスの艦内にある自室で、出撃の準備をしているとエレンたちがやって来た。


「師匠、私たちを呼び出すなんて何事ですか?」


 状況が理解できていないエレン、凜鳳、風華の三人を見て、俺は僅かに落胆する。


 敵艦隊から放たれる邪悪な気配を感じ取れていないからだ。


「俺は師匠に劣ると自覚しているが、お前たちは俺にも劣るのか」


 ため息を吐くと、エレンは困惑していた。


 風華は俺と目を合わそうとしないので、何かやらかしたのだろうか?


 ただし、一人だけ――凜鳳だけは俺を睨んでくる。


「確かに兄弟子にはまだ勝てないけど、劣っているとか酷くない?」


 剣呑な雰囲気を出す凜鳳に、横に立っていたエレンが冷たい視線を向けていた。


「――師匠に殺気を飛ばすな、殺すわよ」


 エレンに殺すと言われた凜鳳は、鼻で笑っていた。


「やれるものならやってご覧よ。今ここで、どっちが上なのか教えてあげようか?」


 凜鳳の挑発する笑み見て、エレンが無表情のまま殺気を放ったところで止めに入る。


「二人とも止めろ」


 軽く睨んでやると、エレンも凜鳳も俺から距離を取った。


 壁際まで飛び退いた二人は、冷や汗を流している。


 その姿を見て不安になるが、いつまでも甘やかしてもいられないからな。


 三人にも一閃流の剣士として自覚を持たせなければ、師匠に申し訳が立たない。


「敵艦隊に一閃流の敵がいる」


 端的に呼び出した理由を述べると、三人がピクリと反応を示した。


 一閃流の敵――それは人に徒なす人外だ。


 人を超える力を持った化け物たちを屠るため、一閃流は今の時代まで受け継がれてきた。


 魔を絶つのが、俺たち一閃流の剣士の務めである。


 普段は悪徳領主を目指している俺だが、一閃流に関しては真摯(しんし)に向き合うと決めている。


 師匠への恩返しという意味が大きいが、それに――俺の知らないところで化け物たちが暴れ回っているなど許せない。


 俺は、俺に害を為す存在を絶対に許容しない。


「本来なら俺一人で片付ける予定だったが、お前たちも一閃流の剣士だ。今回は同行させる」


 一閃流は化け物たちを屠る剣だが、残念なことに師匠と俺以外の三人は実力不足だ。


 エレンと凜鳳が緊張した様子で頷く。


「師匠の戦いを拝見させていただきます」


「化け物退治は久しぶりだね。――ワクワクするよ」


 口ではワクワクすると言っているが、凜鳳は恐怖を感じているようだ。


 人を超えた化け物たちと戦いともなれば、恐怖しても仕方がない。


 ただ――。


「風華、俺の話を聞いていたか?」


「え!? あ、あぁ、聞いていたけど」


 ――風華は心ここにあらず、という印象だった。


 エレンと凜鳳の二人に比べて、何と頼りないのだろうか。


「風華、嫌なら着いてこなくていいぞ。今のお前は、一閃流の剣士として相応しくない」


 気概が足りないと言えば、風華が慌てて俺にすがってくる。


「や、やる! 俺もやるから! だ、だから、置いていかないでくれよ」


 普段よりも弱々しい風華の姿に不安を覚える。


 化け物たちとの戦いとなれば、当然だが俺にも余裕がない。


 下手をすれば風華は命を落とすが――それも一閃流の剣士の運命か。


「好きにしろ。だが、今のままだとお前は死ぬぞ」


 お気に入りの刀を左手に持って、三人を連れて部屋を出る。


 すると、廊下にはユリーシアたちが待っていた。


 アルゴスの艦長たちも待っており、見送りにでも来たのだろうか?


「見送りご苦労。俺たちが出撃した後は、ティアの命令に従って――」


 さっさと逃げろと言う前に、口を開いたのはユリーシアだ。


「敵艦隊に突撃するつもりですよね?」


「それが俺たちの定めだからな」


 一閃流の剣士は、化け物たちと戦うのが運命だ。


 そこから逃げることは出来ない。


「それであれば、アルゴスがリアム様たちを送り届けますよ」


「は?」


 俺が訝しんでいると、艦長が一歩前に出て発言する。


「他の艦艇ならば無理でしょうが、アルゴスの性能であればリアム様たちを敵艦隊まで送り届けられます」


「意味がわかっているのか? 俺たちが戦う相手は、敵艦隊の中央にいるぞ。俺たちが乗り込めば、アルゴスは孤立無援になる」


 いくらアルゴスでも沈む可能性があると言うと、ユリーシアが俺を見て呆れている。


「最期まで付き合うと言っているんです。アヴィド四機を見送るなんて、私もごめんですから」


「――何でお前がそこまでするの?」


 ユリーシアに疑った視線を向けると、本人が心外だという顔をする。


「これでも私は側室候補ですよ!? ここで逃げたら、それこそ大問題でしょうが!!」


「別に問題に何てしないから逃げろよ」


「あんたが良くても、こっちは駄目なんだよ!」


「てめぇ、こら! 俺に“あんた”とか言いやがって! お前じゃなかったら、この場で首を切り落としていたからな!」


 ユリーシアと騒がしく言い合っていると、艦長たちが俺に言う。


「リアム様、我ら一同、お供いたします」


 敬礼する艦長に、俺は頭をかいてから渋々答える。


「どいつもこいつも――降りたい奴は降ろしてからにしろ」


「はっ!」


 敵陣の中央に乗り込むとか、こいつら正気じゃない。


 俺は呆れるしかなかった。


「全く、何を考えているんだか」


 俺が歩き出すと、エレンたちがついてくる。


 そして、エレンがクスクスと笑っていた。


「相変わらず、師匠は慕われていますね」


「俺は献身なんて求めていないけどな」


 人間は自分の命が何よりも大事である。


 命がけ、など俺は信じていない。


 ただ、エレンからは違ったように見えるらしい。


「それだけの価値が師匠にはあると思いますよ。私も――」


「止めろ。俺は言葉だけの人間なんて信じない」


「――失礼しました」


 エレンが何か言う前に遮ったのは、そんな台詞を聞きたくなかったからだ。


「そもそも、お前が俺のために命をかける必要はない。何しろ、俺の方がお前よりも強いからな」


「――そうですね、師匠」


 納得したエレンだったが、その表情は少しだけ悲しそうに見えた。



 アルゴスの甲板に立つアヴィドのコックピット内。


 俺はパイロットスーツに着替えて、シートに座りながら通信をラジオ代わりに聞いていた。


『我が艦隊も同行する! 我らは旗艦の護衛を担っている艦隊だぞ!』

『一隻だけで何が出来る! 最低限、護衛艦も随伴させるべきだ!』


 俺の艦隊に所属する数百隻を束ねる提督たちの言葉に、アルゴスの艦長が怒鳴るように答えている。


『貴官らの艦艇では耐えきれないと判断した。リアム様の命令だ。黙って従え!』


 それに対して、他の軍人たちが抗議している。


『ならば、超弩級戦艦を護衛に配置するべきだ!』


『それらは数千隻を束ねる職務がある! いい加減に諦めろ!』


 自分たちも参加させろと言う軍人たちの声を聞きつつ、俺は愚痴をこぼす。


「どいつもこいつも血の気が多いな。こういうのは、普通はラッキーと思って後ろに下がるものだろうに」


 何を考えて、敵陣に突撃したいと志願するのか?


 俺には全く理解できなかった。


 あれかな? 激務過ぎて、もう死んだ方が楽になれると思っているのか?


 ――酷使しすぎたか? それなら、しばらく軍人たちを休ませた方がいいな。


 この戦いが終わったら、精鋭艦隊にも休暇を与えよう。


 前世でブラック企業に勤めていた後輩が言っていたな。


 疲れすぎて思考力が落ちて、死んだ方が楽になれると思った時期があるとかないとか。


 ――それは俺が困る。


 考え込んでいると、騒がしい奴らの声が聞こえてくる。


『てめぇら、リアム様を突撃させるとか正気か!? ぶっ殺しますわよ!!』


 慌てすぎて口調が乱れているマリーの声に、俺はため息がこぼれる。


 続いて、聞こえてくるのはティアの声だ。


『止めなさい! 今すぐ、リアム様を止めるのよ!』


 血走った目で、正常な状態とは思えないティアのどアップの顔を見て艦長もタジタジだ。


『いや、しかし、これは命令でして――』


『止めるのがお前の仕事でしょうが! あぁぁああぁぁぁあぁ!! リアム様ぁぁぁ!!』


 ティアの絶叫を聞いた俺は、艦長に命令を出す。


「もういいだろ? そろそろ出撃するぞ」


『はっ! アルゴス、最大出力!』


 アルゴスの機関が出力を上げていくと、僅かな振動をアヴィドが感知する。


 速度が上がっていくと、目の前の敵艦隊へと向かうのだが――肉眼では見えない距離だ。


 操縦桿に手を置いて、俺はアルゴスのクルーたちに告げる。


「突撃だ」


ブライアン(´;ω;`) 「いやぁぁぁ! 誰かリアム様を止めてぇぇぇ! リアム様の突撃癖が酷くて辛いですぅぅぅ!」


若木ちゃん( ゜∀゜) 「それよりも、12月発売の四作品が全て揃ったわよ! モブせかからはアニメ二期が決定した【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11巻】と、アンケート特典から書籍化したまさかの異色作【あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 1巻】が好評発売中よ! 【モブせか】はWeb版で書かれなかったラーシェル神聖王国との戦いがメインで、ミレーヌとの関係に変化が起きそう! 【あのせか】は、アンケート特典から大幅加筆して、マリエちゃんとの王道ラブコメ展開かも!?」


ブライアン( *¯ ꒳¯*) 「【俺は星間国家の悪徳領主! 6巻】と【あたしは星間国家の英雄騎士! 1巻】も発売中でございます。悪徳領主はついに一閃流の剣士同士がぶつかり合い、英雄騎士ではエマ・ロッドマンの視点から王道的な物語がお楽しみ頂けますぞ」


若木ちゃん(*´艸`) 「これだけの大ボリュームなら、年末年始の暇つぶしには困らないわよ。だからみんな、ちゃんと買ってね♪」

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