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俺は星間国家の悪徳領主! 作者:三嶋 与夢
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7+3

モブせかがアニメになったのに、コミカライズが原作と思われている三嶋です。


……辛いです。


だから、小説が原作だと宣伝してきます( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

「ふざけんじゃないわよぉぉぉ!!」


 バンフィールド領に引っ越ししてきた第七兵器工場。


 その内部で今後の方針を話し合っていた俺は、目を血走らせたニアスに怒声を浴びせられていた。


 公爵様である俺に対して失礼千万の態度だ。


 ――てめぇじゃなかったら、細切れにしていたからな!


 ニアスをはじめとする第七兵器工場の代表やら幹部たちが、苦々しい表情をしながら俺を見ていたのに――今はニアスの態度を見て、青い顔をして震えている。


 敵に対して容赦ない俺が激怒すれば、自分たちがどうなるか容易に想像ができたのだろう。


 それなのに、アヴィドの専属整備士であるニアスは空気を読まなかった。


「第七兵器工場と合併するなんて死んでも嫌です!」


 ニアスが俺に対して抗議してくる理由だが、俺が引き取った第三兵器工場と第七兵器工場を合併する案を出したためだ。


 バンフィールド家で二つの兵器工場を抱えるのも面倒だから、合併してやろうとしたら抵抗しやがった。


「誰がお前の意見を聞いた? これは決定事項だ」


 決まったことだと伝えると、ニアスが机を何度も叩いて抗議してくる。


 その姿はまるで、駄々っ子のようだった。


「横暴です!」


「それがどうした? スポンサーは俺だ」


「何も言い返せないよぉぉぉ!!」


 世の中、金を出す奴が偉いのだ。


 ニアスも資本主義には抗えず、第三兵器工場との合併に文句を言えなくなる。


 代表者や幹部たちも俺から顔を背けるばかりで、何も言ってこない。


「決まりだな。第三兵器工場と合併して、今後はバンフィールド家の工廠として運用する。早速だが、お前らには仕事を――」


 引っ越ししてきたばかりの連中に仕事を与えようとすると、俺のそばに控えていたユリーシアが端末を操作していた。


 操作が終わると、小さくため息を吐いて顔を向けてくる。


「リアム様」


「何だ?」


 緊急の用件かと思って話を聞く。


「第三兵器工場の幹部会にて、第七兵器工場との合併は断固として拒否すると決定しました」


「――お前の古巣は、誰がスポンサーか理解していないらしいな」


 どいつもこいつも逆らいやがって!


 いっそ領外へと放り出そうかと考えると、ユリーシアが居並ぶ第七兵器工場の幹部たちに視線を巡らせる。


 そんなユリーシアが最後に視線を止めた先には、ニアスがいた。


「第七兵器工場だけは嫌だ、と。それ以外であれば無理な注文以外は受け入れるとのことです」


 ユリーシアに否定されたニアスが、席を立って指をさす。


 お前たちだけは嫌だと言われ、ムキになっているようだ。


「失礼ね! 私たちだって、第三兵器工場との合併なんて認められないわよ。そもそも、うちに何のメリットがあるの?」


 第三兵器工場と合併したところで、何のメリットもないというのが第七兵器工場の認識らしい。


 ユリーシアが頬を引きつらせている。


「それはこちらの台詞ですよ。技術偏重の第七兵器工場と合併しても、第三兵器工場にとってはむしろデメリットが勝りますからね」


 お荷物扱いを受けた第七兵器工場の幹部たちが、一斉に憤慨して声を荒げる。


「対した技術もない癖に偉そうに!」

「独自技術もない連中に言われたくない!」

「見た目ばかり重視して、何も知らない客に売りつけるだけが得意の連中が!」


 言いたい放題にさせていたユリーシアが、笑顔のまま端末を操作する。すると、ユリーシアの周囲にスクリーンが何枚も浮かび上がり、そこには第三兵器工場の幹部たちの顔が表示されていた。


『好き勝手に言わせておけば!』

『ニーズも理解しない技術馬鹿共が!』

『技術自慢が何になる! 兵器は戦場で活躍してこそだ!』


 ユリーシアを通じて会議の様子を聞いていたのだろう。


 我慢できずに文句を言ってくる第三兵器工場の面々に、第七兵器工場の幹部たちも日頃の不満をぶちまけていく。


 両者が一歩も引かない様子を見て、俺は思ったね。


 ――こいつらをまとめた方が面倒になるな、って。


 俺は深いため息を吐く。


「もういい!」


 声を荒げると、場が静かになった。


 流石に俺を無視する程、こいつらも馬鹿ではなかったらしい。


「そこまで言うなら今後も別々に扱ってやる。だが、俺にここまで言ったからに、自分たちが有能であると示せよ」


 文句ばかり言う無能はいらない。


 言外の意図に気付いた面々が、緊張した様子で頷くなり返事をする。


 ユリーシアが安堵のため息を吐くと、俺に今後について尋ねてくる。確認する必要はないが、この場の空気を入れ換えるためだろう。


「合併の話が流れたところで、今後について話をしましょうか。リアム様、両兵器工場がフル稼働した場合、兵器の建造などについてまとめた資料です」


 俺の目の前に投影されたスクリーンに、第三、第七、二つの兵器工場がフル稼働して兵器の増産を行った場合の数字が表示される。


「思っていたよりも少ないな」


 俺が呟くと、机に突っ伏すニアスが文句を言う。


 俺に対してではない。


「引っ越しの際に帝国に接収されたんですよ」


 微妙な嫌がらせか?――いや、それでも敵に塩を送る行為だな。


 帝国は俺たちに本気で戦えと、二つの兵器工場を寄越してきたようなものだ。多少、性能が落ちたところでプラスに変わりはない。


「まぁ、いい。お前らには今後も働いてもらう。その前に――ニアス」


 指名すると、ニアスが背筋を伸ばして眼鏡の位置を正した。


 いかにも仕事にできる女です! という態度が苛々する。


「何でしょうか?」


「第七には最優先で建造してもらう物がある。すぐに必要な物のリストをまとめろ」


「艦艇や機動騎士ではないのですか? あ、もしかしてエース専用機や特機でしょうか!」


 少し嬉しそうにするニアスに、俺は頭を振って否定する。


 露骨に嫌そうな顔をするニアスに向かって、俺は何を建造するか教えてやる。


「量産機を建造してもらう」



 バンフィールド家の本星にある安士の屋敷。


 立派な屋敷に住む安士だが、大慌てで逃げる準備をしていた。


「こんな星にいられるか! 俺は逃げるぞ!」


 魔法の風呂敷に自分の荷物を押し込み、それを背負って逃げ支度をしていた。


 そんな様子を見ていた妻のニナは呆れ顔だ。


「ほとんどのワープ装置が破壊されて、領外に出るのは難しいわよ。それこそ、専用の宇宙船でもない限り無理よ」


 逃げられないと聞いて、安士はその場に膝から崩れ落ちる。


「せっかく穏やかで幸せな暮らしが送れると思ったのに、リアムの馬鹿野郎!! 帝国に喧嘩を売るとか、あいつは馬鹿なのか!? そういえば馬鹿だった!!」


 安士が泣きながら床を叩き始めると、屋敷の玄関が開いた。


 そこにいたのは、クラウスの屋敷で世話になっていた安幸だ。


 少しばかり身長が高くなった安幸を見て、ニナが飛び付く。


「安幸!」


「――えっと、クラウス様が忙しくなったので、自分は家に戻るようにと言われました」


 安士が戻ってきた安幸に顔を向けると、そこには弟子たちの姿もあった。


「師匠!!」


 風華が大声を出すと、凜鳳の方は五月蠅そうな顔をする。


「風華、あんた五月蠅いよ。そう思うよね、安幸~」


 普段殺伐としている二人だが、安幸に対しては甘やかすような態度を取る。


 これがリアムなら、二人は甘えるのだが――二人にとって、安幸は実の弟のように可愛い存在だ。


 立派な姉であろうと見栄を張ってしまう二人を見て、安士は思う。


(こいつらがいても、戦争には勝てないだろうし)


 いくら化け物を屠ったリアムだろうと、六百万という大軍勢には勝てないだろう。


 安士は自分の運もここまでか、と半ば諦めて天を仰ぐ。


 あぐらをかいて座り、天井の模様を眺めていた。


 その姿に凜鳳が気付き――。


「師匠ってばこんな時なのに凄い余裕だね」


 風華も安士の姿を見て何度も頷いて感心する。


「俺ですらちょっと不安なのに、やっぱり師匠は違うよな。俺も師匠みたいな心の余裕ってのが欲しいぜ」


 小さな勘違いを生んでいるが、今の安士にはどうでもよかった。


(あ~あ、死ぬならせめて痛くない方がいいな)



 バンフィールド家の屋敷。


 ブライアンがロゼッタと話をしている。


「やはり、戦争は避けられそうにありませんね」


 意気消沈するブライアンに、ロゼッタは気丈に振る舞っていた。


「――戦争のことはダーリンに全て任せましょう。わたくしたちは、自分の仕事をしましょう」


 屋敷やバンフィールド家の本星を管理するのはロゼッタの仕事である。


 戦時ともなれば、リアムが担ってきた他の仕事も引き継ぐことになる。


 代行ではあるが、今はロゼッタがバンフィールド家の当主である。


 そんなロゼッタの態度を見て、ブライアンが背筋を伸ばす。


「はっ」


(ロゼッタ様も立派になられました。屋敷に来たばかりの頃はどこか弱々しく、心配したものです)


 随分と苦しい生活をしていたロゼッタだが、今は公爵夫人として立派に屋敷を差配していた。


 ただ、ロゼッタも今回の戦争がとても厳しい物であるのは知っていた。


 視線を落として、ブライアンにもしもの時を頼む。


「ブライアン――いざという時には、エドワードだけでも逃がします。そのための準備をお願いしますね」


 それを聞いたブライアンも、最初は「何を弱気なことを!」と言ってロゼッタを安心させてやりたかった。


 バンフィールド家は負けないと言ってやりたかったのに、現実的に厳しいという判断から言葉を飲み込む。


「このブライアンのひ孫に任せております。何の心配もございません」


「――頼みます。わたくしが死んだとしても、あの子だけは生き抜いて欲しい。この家に生まれた者として責任はありますが、あの子はあまりにも幼いわ」


 ロゼッタは自分の左腕を右手で掴み、俯いて悩ましい表情をしていた。


 バンフィールド公爵家に生まれてしまったのは、エドワードにとってある意味で不幸だ。


 謀反人扱いを受けた今となっては、幼さを理由に極刑から逃れることはできない。


 本来ならば責任を取る立場だが、それでもロゼッタはエドワードに生きて欲しかった。


 ブライアンもそれを受け入れる。


「はい。いざという時は、エドワード様がお二人の血を残して下さいます。リアム様は間違っていなかったと、後世に伝えて下さるはずです」


 裏切られ、貶められたバンフィールド家。


 二人の血と一緒に、真実を伝えて欲しいと願うブライアンだった。


ブライアン(´;ω;`)「他称剣神が勝負もしない内に全てを諦めて辛いです」


若木ちゃん(;゜Д゜)「勘違い系の主人公みたいね」


ブライアン(`・ω・´)「俺は星間国家の悪徳領主! は【原作小説5巻】と【コミカライズ版2巻】が【4月25日】に発売予定ですぞ。――もうお店に並んでいたとしても、発売日は25日でございます!」


若木ちゃん( ゜∀゜)「25日に全国で販売できるって意味での発売日なのよね。でも離島は別!」

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