【幕間】ナンバー3 エレン・セラ・タイラー
本日【12月15日】は
キミラノさんで開催している
【次にくるライトノベル大賞2021】
の
【投票最終日】となっております。
是非とも【俺は星間国家の悪徳領主!】の応援をよろしくお願いします。
ナイトナンバー「3」。
エレン・セラ・タイラーは、エリートの中のエリートである。
剣の師は、一閃流の継承者であるリアム。
バンフィールド家で騎士として育てるために、最高の環境も用意された。
平民出身でありながら、リアムの推薦を受けて幼年学校にも入学している。
そのまま士官学校や帝国大学も卒業し、帝国の騎士資格を得ていた。
帝国軍ではリアムの友であるクルト・セラ・エクスナーが指揮する艦隊に配属され、そこで数々の戦いを経験して勲章も得ている。
普通の騎士であれば、理想とする出世と活躍を果たしていた。
見た目は可憐に育ち、美少女から美女と呼ばれるようになりつつある。
ある意味、全てを手に入れた女性騎士である。
エレンは平民出身でありながら、当時伯爵のリアムに見出され騎士となった。
そして、リアムが信頼する証として「3」の数字と、通常ではあり得ない権限を与えられている。
騎士であり、将軍。
エレンのためだけに用意された艦隊が、一万五千隻も用意されることになった。
巨大な権力をその手にするリアムのもとで、エレンは大貴族並の力を手に入れていた。
一閃流の剣士。
リアムの弟子。
ナンバースリー。
見た目は可憐でありながら、周囲が畏怖する存在――それが今のエレンだ。
「し、師匠。恥ずかしいです」
「お前も随分と大きくなったな」
そんなエレンだが、今は風呂場――温泉で大事な部分を隠すように背中を丸めていた。
後ろにいるリアムが、エレンの髪を洗っていた。
顔を真っ赤にするエレンの体だが、リアムと対峙して際につけられた生々しい傷跡が残っている。
傷口は透明な液体が塗られていた。
液体が傷口を守っているため、風呂に入ってもしみることはない。
しみじみとエレンの背中を見るリアムの目には、性的に欲情する感情が一切なかった。
エレンは、それはそれで悲しいと思い拗ねてしまう。
「もう子供ではありません」
「俺にとってはいつまでも子供に見えるけどな。懐かしいな。お前が裸で風呂場を走り回ったのもつい最近のことのように思い出す」
「わ、忘れてください」
子供時代の恥ずかしいエピソードを語られ、エレンは耳まで赤くする。
だが、リアムはそれが面白いのか、エレンの恥ずかしいエピソードを次々に語り始める。
「風呂の中で泳ぐから叱ったこともあるな。それでも止めずに、のぼせたから抱きかかえて連れ出したんだ」
「――そんなこともありましたね」
頬を引きつらせ、視線をさまよわせながらエレンはあの頃の自分を恥じた。
リアムが笑っている。
「クロールが駄目なら平泳ぎ、と言っていたな」
どうして風呂場で泳ぎたかったのか? 子供の頃の自分に説教をしてやりたくなるが、過去を変えることはできない。
「もう許してください!」
「何だ? 雰囲気だけは大人になったと思っていたが、背伸びをしていただけか?」
「からかわないでくださいよ。ちょっとは成長したところを見せようと、私なりに頑張ったのに」
エレンがふてくされると、リアムはからかうのを止めた。
リアムがエレンの髪を洗い流す。
エレンは風呂場が好きだった。
(師匠は相変わらず入浴方法にこだわるわね。私も嫌いじゃないけど)
その気になれば、数分で全身の洗浄が完了する装置もある。
風呂に入るよりも綺麗になるし、時短にもなるため温泉に入るというのは趣味の領域になっていた。
リアムはこれが好きで、弟子であるエレンも何度も一緒に入浴していた。
リアムが風呂に入ると、エレンはその姿を見てムッとする。
女らしく成長した自分に対して、リアムは我が子のように接していた。
エレンでは欲情しないらしい。
近くに置かれたバスタオルを手に取り、体に巻いてから風呂に入る。
(師匠の中で、私はまだ子供のままか)
天井を見上げているリアムに、エレンは会話がしたくて話題を振る。
「師匠」
「何だ?」
「エドワード様についてお話があります。やはり、弟子として一閃流を教えるのでしょうか?」
リアムが顔をエレンに向ける。
「気になるか?」
「はじめての姉弟弟子ですから」
リアムの弟子は自分一人でいい、などとエレンも考えたことはある。
しかし、一閃流の決まりで、免許皆伝を得た者は弟子を三人育成する決まりだ。
リアムもあと二人は弟子を育てなければならない。
それに、エレンは免許皆伝を得てしまった。
もう独り立ちの時である。
リアムは少し考えてから、何か思い付いたのかエレンの顔を凝視して――微笑んだ。
「お前ももう一人前だ。エドワードはお前が弟子に取れ」
「へ? で、ですが」
エレンに任せると言って、リアムは再び天井を見上げる。
「俺は忙しい。それから、エドワードに才能がないとお前が判断したら、一閃流を教えるのは諦める」
「――安士様に確認されないのですか? あの方は、一閃流の才があるか見抜けたはずです」
エレンは、いまいち信用できない安士の名前を出す。
すると、リアムは右手で顔を押さえた。
「師匠曰く、これも修行だそうだ。才を見抜く目を鍛えろ、とさ。俺も驚いているが――どうにも親の贔屓目があるような気がする。だから、お前に任せる」
自分では判断出来ないとして、リアムはエドワードを愛弟子のエレンに託すことにした。
「私が師匠ですか?」
エレンは急な話に困惑するのだった。
若木ちゃん( ゜∀゜)「エドワード君の剣の師匠はエレンちゃんに決まりました! ならば、宣伝は私が教えるわ。これぞ英才教育よ」
ブライアン(´;ω;`)「辛いです。エドワード様に変な植物が絡んで辛いです。除草剤をまかなくっちゃ。それはそうと――」
ブライアン(`・ω・´)「本日【12月15日】は、【次にくるライトノベル大賞2021】の投票最終日となっております。皆様、是非とも【俺は星間国家の悪徳領主!】への投票をお願いいたしますぞ」
ブライアン(*´ω`*)「俺は星間国家の悪徳領主! 外伝の 【あたしの悪徳領主様!】 も投稿中でございます。こちらも応援よろしくお願いしますぞ」