【幕間】ナンバー1 クラウス・セラ・モント
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【俺は星間国家の悪徳領主!】もノミネートされております。
一日一回投票可能ですので、是非とも応援よろしくお願いいたします。
バンフィールド家の本星。
領主であるリアムの巨大な屋敷は、一つの都市という規模である。
敷地の中に暮らす人々も存在する。
その中に、立派な屋敷を与えられている一人の騎士がいた。
名前をクラウス。
バンフィールド家の筆頭騎士であり、アルグランド帝国ばかりか外国にまでその名を知られた帝国最強の騎士である。
リアムが認めた騎士に与えられるナイトナンバー。
その「1」というナンバーを持つ騎士は、立派すぎる家に戻ってきた。
「ただいま」
自身の能力に対して、釣り合わない地位に悩む男性騎士。
疲れた顔で巨大な玄関の前に立てば、扉が開く。
中で待っていたのは、整列した使用人たちだ。
クラウスに対して一斉にお辞儀をする。
「お帰りなさいませ、旦那様」
屋敷――城とも呼べそうな自宅は、クラウスのためにリアムが用意した物だ。
本人は「クラウスに相応しい屋敷を用意しろ」と命令しただけだが、命令を受けた人物が「バンフィールド家の筆頭騎士なら、これくらい普通だろ!」と気合いを入れて建造した結果である。
クラウス自身は、過分な待遇に恐縮していた。
(家が広すぎるし、使用人の数も多い。――どうにも落ち着かないな)
バンフィールド家に仕官してからは、ずっと出世し続けていた。
以前は屋敷の外に家を持っており、家族だけで暮らすには広すぎるため使用人を雇っていた。
それでも、バンフィールド家に仕官する前と比べれば、贅沢だと思える暮らしだった。
家族も喜んでくれたのが嬉しく、多少同僚たちの血の気が多いのも我慢しようと思っていた時代である。
それなのに、何を間違ったのか筆頭騎士にまで上り詰めてしまった。
血の気の多い同僚たちからは命を狙われ、いつの間にか巨大派閥のトップに押し上げられ、そして今では上司の厚い信頼まで獲得してしまった。
問題なのはリアムの信頼である。
クラウスが戻ってきたと知ると、広間の奥にある幅のある階段から一人の女性が足早にやって来る。
クラウスの妻だった。
「あなた、お帰りなさい!」
嬉しそうに出迎えてくれる妻の周りには、メイドたちが付き従っている。
妻のはしたない行動に少し戸惑っているが、クラウスが戻ってきたならば仕方がないかと見なかったことにするつもりらしい。
「ただいま。元気そうで安心したよ。子供たちは?」
妻の元気そうな姿に顔をほころばせると、次に子供たちの様子を尋ねる。
妻は呆れた顔を見せる。
「もう独立したじゃない」
「そ、そうだったな」
(二人とも家を出たのか。寂しいな)
単身赴任が続いてばかりのクラウスは、子供たちの成長を近くで見守れなかったのが心残りだった。
妻はそんなクラウスの気持ちを察してか、子供たちの様子を伝えてくる。
「あなたが戻ってくると伝えたら、数日後には顔を出すって言ってくれたわ。職場の人たちが、休むように言ってくれたらしいのよ」
ニコニコしている妻の顔を見て、クラウスは内心で頬を引きつらせる。
(それはつまり、私との時間を作るために職場が無理をしたと!? いや、もしかしたら、もっと上から命令が出たのか!?)
傍若無人なリアムではあるが、部下に対して優しさを見せることがある。
また、ロゼッタが領内の仕事に口を出せるようになってからは、部下たちのフォローも気にかけるようになっていた。
クラウスのために気を回したのかもしれない。
しかし、二人がわざわざ自分のためにそこまでするだろうか?
あり得なくはない。
もう一つの可能性としては、バンフィールド家でリアムやロゼッタに続いて権力を持つクラウスへのご機嫌取りだ。
どちらにしても気を遣わせてしまったのが、クラウスにとっては申し訳なかった。
「それは楽しみだな。みんなで一緒に食事をしよう。――うん」
後で子供たちの職場にお土産でも届けるかと考えていると、妻が人を呼ぶ。
使用人が、成人前の子供を連れて来た。
「あなた、少し前から預かっている子よ。知っているとは思うけど」
連れて来られた子供を見て、クラウスは内心で冷や汗が流れていた。
「――安幸殿か」
「お、お世話になります! クラウス・セラ・モント様!」
ガチガチに緊張した子供を前に、クラウスも緊張していた。
何故なら、クラウスの屋敷で預かることになったのは【安幸】である。
リアムから直々に面倒を見て欲しいと頼まれ子供だ。
剣神と呼ばれる安士の実子である。
(そうか。もう預かる時期になっていたのか)
忙しい日々が続いて忘れていたが、安幸君も親元を離れてクラウスのもとで修行を開始する時期に来ていた。
クラウスは覚悟を決める。
「今日からは騎士見習いとして、当家で教育する」
「――はい」
緊張しながらも決意をした安幸君の瞳を見ながら、クラウスはどうしようかと焦っていた。
(困ったぞ。私は騎士として一流ではないからな。色々と教えようとは思うが、立派に育つかどうか)
二流の自分に、一流の騎士は育てられないのではないか?
そんな不安があった。
しかし、クラウスは知っている。
リアムが安幸君を騎士としてではなく、官僚に従っていたということを。
剣神である安士から、安幸君は剣士としての才能がないと言われた。
それを受けて、リアムは安幸君を騎士にしたくないと考えていた。
(失敗すれば、リアム様も私に過度な期待はしなくなるだろう。そもそも、私が頑張ったところで空回りするだけだ。出来る事を教えればいい。それに、リアム様も安幸君を騎士の道に進ませたいとは思っておられないからな)
こうして、クラウスのもとで安幸君の修行が始まった。
◇
数ヶ月後。
クラウスは一つの事実に気付いてしまった。
(あれ? この子、滅茶苦茶凄いんですけど!?)
屋敷の庭。
大人の騎士を相手に剣を振るう安幸君は、とても才能がないと言われた人物には見えなかった。
大人の騎士を圧倒する実力ではないが、実戦を経験した一流の腕を持つ騎士を相手に何とか食らいついている。
年齢を考えれば、十分に才能がある部類だろう。
クラウスの近くで様子を見ていた部下の一人が、安幸君を褒める。
「さすがはクラウス様ですね。安幸殿を文武両道の素晴らしい騎士に育てられている」
「いや、これは本人の才能だろう」
(武術だけじゃなくて、普通に勉強もできるじゃないか!? これで才能がないとか信じられないぞ)
――安幸君は優秀だった。
9巻で活躍した若木ちゃん( ゜∀゜)「――母親に似たのね」
ブライアン(´;ω;`)「胃痛仲間のクラウス殿が大変そうで辛いです。それはそれとして――」
ブライアン(`・ω・´)「【次にくるライトノベル大賞2021】に ノミネート された 【俺は星間国家の悪徳領主!】 の投票期限の終わりが迫っております。【12月15日】まで【一日一回投票可能】でございますので、是非とも応援をよろしくお願いいたしますぞ」
若木ちゃん( ゜д゜)「【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 9巻】も応援よろしくね。それよりも聞いてよ。私の宣伝のおかげでここまで有名になれたのに、誰も私のことを褒めてくれないの」
若木ちゃん( ゜∀゜)「心優しい読者さんが、私を褒めてくれるって信じているからね」