【幕間】ナンバー4 エマ・ロッドマン
いくつかお知らせがあります。
・憧れの騎士様は悪徳領主!? ~俺は星間国家の悪徳領主! 外伝~ 第一章を投稿しております。
・【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 9巻】が【11月30日】発売!! こちらも応援よろしくお願いいたします。
・乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です――アニメ化します!!
(滅茶苦茶緊張するんですけどぉぉぉ!!)
身を縮めてソファーに座っているのは【エマ・ロッドマン】だった。
場所はバンフィールド家の屋敷にあるラウンジ。
しかし、入室を許されるのはリアムにナンバーを与えられた一部の者たちだけだった。
それ以外で入室できる権限を持つのは、リアム本人と天城、ブライアン――そして、日々の掃除などを行うメイドロボたちだけである。
例外があるとすれば、リアムに一時的に許可を出された者たちだけ。
そんな例外が今回は二人も招かれている。
クリスティアナ・セラ・ローズブレイア。
マリー・セラ・マリアン。
エマとは反対側――といっても、十メートル以上は離れた場所に座っている。
ソファーの配置は円を描いており、向かい合って座るようになっていた。
ガチガチに緊張するエマの隣には、赤毛の女性騎士が座っている。
刀と呼ばれる武器を持つ女性騎士は、今回「3」の数字が与えられた。
エマとは一メートルほど距離を開けて座っており、話しかけるにも微妙な距離だった。
本人も脚を組んで座り、興味なさそうに髪の毛を弄っている。
壁際に目を向ければ、仮面を着けた黒マントの大男が立っていた。
バンフィールド家の暗部を仕切るククリだ。
不気味なその人物が姿を見せているのは、エマにとっては正直意外だった。
姿を見た者は殺す――という噂もあるだけに内心は穏やかではない。
冷や汗をかきつつ待っていると、ラウンジのドアが左右に開いた。
やって来るのは子供を片腕に抱いたリアムと――天城、ブライアンの両名だ。
ブライアンがエマを見ると、一瞬だけ微笑む。
その笑みにエマは緊張が少し緩んだ。
(――お爺ちゃん)
エマにとっては実の祖父ではない。
ただ、以前からの知り合いだ。
その後ろには、ナンバーズ筆頭であるクラウス・セラ・モントの姿がある。
緊張しているエマに視線を向けると、僅かに微笑みを見せる。
かつての上司の登場に安堵した。
(クラウス隊長――じゃなかった。総長が来てくれた)
クリスティアナもマリーも面識はあるのだが、何しろ二人を差し置いてナンバーズ入りを果たしたエマは気が気でなかった。
リアムの登場に全員が立ち上がって膝をつく。
リアムがソファーに腰を下ろすと、ナンバーズを前にして抱きかかえている子供について話をする。
「自由にしろ。――さて、マリーは知っているだろうが、これが俺の子だ」
噂に聞いていたエドワードを前に、エマは冷や汗をかく。
何しろリアムの子となれば、現在は一人っ子。
将来の公爵であるエドワードは、バンフィールド家では王太子のような存在だ。
近付けるのはごく一部の者たちだけ。
その一部に認められてしまったのが、エマが焦る理由だ。
(遠くに来ちゃったなぁ)
どうして自分がこの場にいるのかを考えていると、リアムがナンバーズを集めた理由を話し始める。
「このラウンジはお前たち専用だ。好きに使え」
受け答えをするのは、ナンバーズの筆頭であるクラウスだ。
「あまりに優遇しすぎれば、他の騎士たちから不満が出ます」
「依怙贔屓の何が悪い? 俺はお前たちに期待している。ついでに、俺の子を披露することにした」
映像などではエドワードの姿は出回っているが、生で見るとなれば話が変わってくる。
それだけ信頼されているのだろうが――エマは困っていた。
(どうしよう。エドワード様が、リアム様のほっぺたを)
エドワードが笑いながらリアムの頬を叩いている。
ペチペチと。何度も。
普段と変わらず尊大に振る舞うリアムだが、エドワードは放置して話を続ける。
それが妙におかしくて、笑いたい気持ちを我慢していると――。
「師匠、一つよろしいでしょうか?」
ナンバー3の【エレン・セラ・タイラー】が立ち上がった。
一閃流の継承者にして、リアムの直弟子だ。
バンフィールド家での功績はないが、今回はナンバーズ入りを許されている。
リアムがエドワードの涎で服を汚しながら、不敵な笑みを浮かべていた。
「言ってみろ」
「はい。それでは一つ。周囲を黙らせるためにも、機会を頂きたく思います」
「あん?」
絶対的な支配者であるリアムが不快に思ったのか、片眉を上げる。
「お前を認めたのは俺だ。それに文句を言う奴がいると?」
エレンは恐れることなく話し続ける。
「言わないでしょうが、納得はしません」
「――言うようになったな」
僅かの間、リアムがエレンを睨み付けた後に破顔する。
エドワードは何が面白いのか、リアムに頭突きを繰り返していた。
(あ、リアム様の服で鼻水を拭いてる)
エマがそんなことばかり気にかけていると、リアムが提案をする。
「それなら丁度いい。エマ・ロッドマンと一緒に海賊狩りでもしてもらおうか」
リアムがそう言うと、円上に配置されたソファーの中央に立体映像が表示される。
「俺を裏切った馬鹿共の本拠地が独立を目指している。軍事力に関しては、訓練はともかく、装備に関して言えば正規軍並みだな。放置するのは面倒だ。お前らが叩き潰せ」
覇王国との戦争で裏切った艦隊が出た。
その艦隊の出身惑星では、リアムの不興を買ったと思ったのだろう。
独立の動きが出ていた。
帝国との間で関係が悪化するバンフィールド家だから、今なら独立して帝国側に寝返ることもできるぞ、と。
本拠地を持ち、装備も正規軍並み。
それをリアムは海賊と表現する。
「――やれるな?」
問われたエレンは静かに頷く。
「もちろんです」
そう言って、エマに視線を向けてきた。
立ち上がったエマは、背筋を伸ばすとうわずった声で返事をする。
「は、はい! が、頑張ります!」
その返事に、リアムはムッとする。
「頑張る必要はない。お前たちは結果を出せばいい。手を抜いて俺を満足させるなら、それでも構わない」
頑張りなど評価に値しない。
リアムの言葉に、エマは戸惑ってしまう。
「あ、あの」
弱気な態度を見せるエマだが、彼女もナンバーズ入りを果たす実力者だ。
だが、どうして戸惑っているのか?
(あ、あたし今――リアム様と会話してるよぉぉぉ!!)
――エマはリアムのファンだった。
二点、お伝えしたいことがあって幕間を用意しました。
活動報告よりも、こちらの方が読んでもらえますからね(^_^;)
その1
11月30日に最新9巻が発売の【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です】が【アニメ化】となりました。
これまで応援してくださった読者の皆さん、本当にありがとうございます。
詳細については活動報告をご覧ください。
まだ詳しい内容は語れませんけどね。
その2
続いて【俺は星間国家の悪徳領主!】が【キミラノ】さんで開催している
【次にくるライトノベル大賞2021】にノミネート!!!
【一日一回投票可能】ですので、是非とも投票をよろしくお願いいたします。
毎日投票してくれる読者さんもいるようで、本当に感謝しております。
ここで目立てばこの作品にも可能性が?
盛り上げるためにも、自作以外でも構いませんのでドンドン投票をお願いいたします。
できればこの作品も忘れないでね。
さて、以前からお知らせしておりましたが、俺は星間国家の悪徳領主! 【外伝】の投稿を開始しました。
【別作品】としての投稿ですね。
宣伝作品の宣伝作品として書きましたが、この作品を【エマ・ロッドマン】から見た別視点で楽しめるようにしております。
そちらもお楽しみいただければ幸いです。
宣伝もするよ!
以上、お知らせでした。
――お知らせが3つになりましたね。