もう20年近く前の話。
(仮にジャイアントでも呼ぶことにしよう)
ジャイアンはその名の通り、体が大きく乱暴者だった。
下級生を追い掛け回して殴り、上級生にケンカをふっかけ暴れまわっていた。
授業中もフラフラ廊下を歩き、グランドに出て、そのうち外に出て行ってしまう。
先生たちも手を焼いていたようで、親を呼び出したりしたようだがその効果は無かった。
正義とか、理屈とか、ルールとか、そういうのは一切無視でとにかく感情のままに行動するような奴。
今思えばADHD(注意欠如・多動性)だったのかもしれない。
だけど誰も怖くて言えない。
休み時間、学校の行き帰り、学校の外で遊ぶ時。いつもジャイアンが来ないか注意を払わなくちゃいけない。
本当に嫌いだった。
けど腕力のあるジャイアンにかなう奴はいないし、大人もあてにならない。
みんなで警察に通報したこともあったが、結局大人の話し合いになり何の進展もなかった。
このまま中学まで我慢しながら、過ごすのかと思うと激しく憂鬱だった。
けど話によれば、大きな事故だったらしい。
生死は分からない。
死んでてほしい。
ジャイアンは死んでいた。
次の日の全校集会で校長は泣いていた。
しかし生徒も教員も含めその場にいたすべての人間がジャイアンの死を歓迎しただろう。
目が輝いていた。
ジャイアンが死んで嬉しいという者までいた。
本当に誰もが喜んだ。
ただ、