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お邪魔虫キャット - るての小説 - pixiv
お邪魔虫キャット - るての小説 - pixiv
3,628文字
お邪魔虫キャット
※このお話は原作及び制作会社様とは一切の関係はございません。

作者はイデアさんド贔屓勢。

トレイン先生みたいな優秀で厳格な方が動物絡むと途端に馬鹿になるみたいなの大好き。
捏造過多。

なーんにも考えずに書き散らしたよ~ぱ~ぱらぱ~

※R2.10.26修正。
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2020年6月14日 11:03

 魔法史の授業にイデア・シュラウドという生徒が対面出席することはない。
 監督生に請われて稀に出席することはあるが、それがない限りは絶対に教室へは来ない。
 何故なら魔法史は実技を伴わない座学であり、故にタブレット・サテライト受講にて出席日数は足りており、故に提出物にも漏れは無く、故に成績も良い方から数えて早く、故に必要ないからである。
 ……試験でさえなければ。

 流石に試験は教室で受けさせなければならない。
 イデアがカンニング等の不正が出来るタイプの生徒ではないと教師陣は重々解っているのだが(不正を許せないリドルタイプの人物ではなく、単に不正をするだけの度胸がない、の意)、教室で受けさせなければ確実に疑う生徒は出てくる。
 あんなノミの方が心臓が大きいような生徒が、誰が見ていなくとも不正などに手が出せるものか。と教師陣は思う訳だが、流石に試験ともなれば例外を出すわけにもいかないのが、学校、という施設の融通の利かない部分である。
 ……もっとも、イデアはもっと大きな不正……例えばハッキングやクラッキング、ジャミング等というものを前にすると途端に「不正である」という頭のロックが全て消し飛ぶのがまた難点ではあるが。
 伊達にヴィランに生まれ付いていない。
 さて。
 授業は基本、自由席だが試験ともなれば話は別だ。
 均等に離された机には出席番号が書かれたカードが置かれていて、生徒一人一人に席が指定されている。
 このカードは席に着いた生徒が『本物』なら試験開始から終わりまでただのカードだが、席に着いた生徒が魔法薬や魔法、変装等を用いた『偽物』なら激しいアラート音と共に魔法薬の効果、魔法、変装が全て解ける仕様になっている。
 ケイト・ダイヤモンドが二年生の試験の折、固有魔法で出した自身の分身に出席させてけたたましいアラートを発動させ、その場から消えて欠席扱い。試験失格になったのは有名な笑い話だ。
 他にも、試験に使用するペンとインクは学校側が用意し机に置いてあるもの以外は使用禁止。勿論双方にカンニング監視の魔法が掛けてあり、カンニングなどしようものならアラート発動。インクがその生徒の解答用紙を黒塗りにして問答無用で退場。失格である。
 その他教室に浮遊するランプ、使用する机や椅子、教室を出入りをする扉にまで、試験期間中はありとあらゆる場所にありとあらゆるカンニング監視の魔法が掛けてある。
 ナイトレイブンカレッジの長い歴史の間、どれだけ多くの生徒が目を見張る努力で不正を目論見、どれだけ教師陣がその防止に涙ぐましい対策をしてきたかが解るというもの。教師曰く、そこまで不正をする努力をするならその力を授業で発揮してくれその手のヴィラン性は求めていない。まったくもって正論である。だがそれが解れば不正はしない。
 まぁ、成績上位者には関係の無い話だ。
 その関係無い一人であるイデアが出席した魔法史の試験は、その日最後に行われる試験だった。
 カンニング監視魔法がぎっちり詰め込まれた教室で、トレイン先生だけではなく使い魔のルチウスも教室内を巡回し監視に目を光らせる。
 ……あ。ルチウスがとある生徒に唸り声を立てて飛びつき足に噛み付いて悲鳴が響いた。余程痛かったのだろう。しかしどんな不正をしたらこの監視魔法だらけの教室でアラートを回避出来たのやら。兎に角アラートを回避したところでルチウスに見つかれば失格である。
 不正をしていない生徒なら恐るるに足らない。別に何もしていないのだからどんな監視があろうと引っかかることはない。だが不正をしようとしている者にとっては、一人不正が暴かれて失格になったことが途轍もないプレッシャーになる。失格者発生で挙動が変わった者。それが次の要監視対象となる。
 ……ところで使い魔というものは原型の特徴に影響を受ける。
 鳥なら飛べる、犬なら鼻が利く、その程度の特徴だが。
 ルチウスは猫の使い魔だ。トレイン先生は厳格で優秀な魔法士で、そのトレイン先生に調教されたルチウスは非常に能力の高い使い魔だが、いかなトレイン先生と言えど使い魔の特徴まで消すことは出来ない。そして猫の特徴は気紛れ、ということ。
 ……さて言うまでも無いが、イデアは動物が大好きである。特に猫。そして動物は自分が好かれているか、嫌われているかに敏感である。
 ルチウスがイデアの足下で歩を止めた時、トレイン先生はまさかと思った。まさか。イデアはそんな生徒ではない。
 そう思ってルチウスを注視していると、次にルチウスはイデアの足をよじ登って行った。イデアの試験態度に変わりは無く、問題用紙と答案用紙から目を離していない。イデアの蒼い唇が、ルチウスたん痛いよやめて、と動いたのを確認したが、ルチウスも飛びついて攻撃している訳ではない。それが証拠に唸り声一つ立てていない。
 やがてイデアの膝上に登ったルチウスは満足そうに後ろ足で耳を掻き、身体を舐めて毛繕いをし、何度かイデアの膝上を小回りで回ると腹の方へ鼻先を向け足をたたみ丸くなった。イデアもルチウスが背中から落ちないようルチウスの背中に右手を添えて……。
 「……」
 トレイン先生はイデアに近付くと指先でとんとんと軽く机を叩いた。
 途端、可哀想な程肩を跳ねさせてイデアが見上げてくる。
 大きく見開いた鮮やかな黄色い虹彩の目が何を言いたいのか解っている。
 何もしてませんけど!?
 そんなことは解っている。お前が不正なんぞ出来る心臓の持ち合わせがないなんて百も承知だそうではなくて。と、トレイン先生はイデアの膝上を指さした。
 先程のように方向性の違う努力で監視の魔法を潜り抜ける生徒が居るのだ。ルチウスには巡回をして貰わなければ困る。
 あ。
 ようやっと気付いた、という様子で、イデアは左手のペンを置き、両手でルチウスを抱え上げようとして……。
 「痛タタタ……!」
 イデアの足に爪を立ててルチウスは抵抗した。イデアが思わず手を離すとルチウスはその隙にイデアのパーカーの中に潜り込む。
 「きºょ」
 どこから声を出したのか解らないような発音の小さな悲鳴に、ルチウスに気付いていた周りの生徒から小さく押し殺した笑い声が聞こえ、トレイン先生は咳払いでそれを止めた。
 が、その咳払いに最も強く反応したのもイデアで。
 身を縮めて早くも目尻に涙を浮かべたイデアに、トレイン先生は些か慌てて、違うお前を叱ったんじゃないと小声の早口で告げた。
 兎角目立つことを厭う生徒だ。ルチウスがイデアに張り付いたのは制御という点ではトレイン先生の咎でありイデアに責任はない。その点でイデアが静まりかえった試験中に好奇の目に晒されたのもイデアの所為ではないし、第一、教師という立場でありながら咎の無い特定の一人の生徒の試験の手を止めさせてしまっているのは非常に由々しき事態。
 トレイン先生が慌てていることを察したイデアは、なるだけ音を立てないよう、パーカーのファスナーを下ろした。流石オタク空気だけは学園主席ぶっちぎりですらすら読める。
 ……かくてパーカーの前を開けてみれば、イデアの胸から腹に掛けて、服に爪を立てべったりと張り付いたルチウスが現れた。
 それを目の端に捉えた両サイドの生徒が堪えきれずに机に伏せて噴き出す。
 可哀想に、自分が笑われていると思ったらしい……いや実際そうなのだが、目に一杯に涙を浮かべるイデアに、もう手段を選んでいられなかったトレイン先生はルチウスの首ねっこを引っ掴み、爪を服から外してルチウスをイデアから引っぺがした。
 「オ″ア″ー!!」
 抗議をするルチウスに、
 「オ″ア″ーじゃない!」
 と叱りつければ、今度は周りで笑いを堪えていた生徒まで噴き出して、ついにイデアは下を向いてべそをかいた。
 ……あれは流石に可哀想だった、と、後に同じ教室で試験を受けていたトレイは語る。

 後日、トレイン先生の計らいでイデアには再試験が許可された。
 追試ではなく、トレイン先生が試験妨害をしてしまったが為の再試だ。
 別に一人で受けられるならイデアに断る理由は無く、寧ろほっとした様子でイデアは素直に再試を受けた。
 イデアからひっぺがされて以降ずっと機嫌の悪かったルチウスも、再試中ずっとイデアの膝上で寝られたことで機嫌が治った、という。
 「ルチウスた~ん、おねむだったんでしゅか~かわいいでしゅね~!」
 再試後、上機嫌で好きなだけルチウスを捏ねくり回すイデアと、イデアに好きなだけ捏ねくり回されているルチウスに、トレイン先生は次回から試験監督中はルチウスを抱いたまま離さないことを決めた。

 ……因みにあの日魔法史の試験を受けたあのクラスで不正をしたのは三人。全員見つかって教室を放り出されたが、まぁ、蛇足だろう。



お邪魔虫キャット
※このお話は原作及び制作会社様とは一切の関係はございません。

作者はイデアさんド贔屓勢。

トレイン先生みたいな優秀で厳格な方が動物絡むと途端に馬鹿になるみたいなの大好き。
捏造過多。

なーんにも考えずに書き散らしたよ~ぱ~ぱらぱ~

※R2.10.26修正。
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