pixivは2023年6月13日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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——その日、彼らは思い出した。
「ひとつ疑問に思ってたんですけど、」
放たれた
「バスタード・ミュンヘンって、何でそんなに仲悪いんです??」
眼前には聳え立つ高い壁も、赤い肉の毀たれた恐ろしき巨人もいない。あるのはニコリと微笑みを浮かべる喜安と、ソファーに座る人影ふたつだけ。一人はワインレッドの猫毛ごと身体を引き攣らせ、もう一人は首元に彫られた青薔薇のタトゥーに指を滑らせてそっぽを向いている。まずい。何がとは言わないが、まずい。アレクシス・ネスは小さく嘆息した。そうしないと現状を乗り切れそうになかったからである。
そもそもネスがミヒャエル・カイザーと共に取材を受けているのは、己がカイザーを信奉しているからという理由だけではない。頼まれたからだ。それも、監督とマスター直々に。
「何の用です、ノア?」
「ああ、ネス。このインタビューを受けてくれないか」
今から数ヶ月前。合同練習後に呼び出され、頭を捻りつつ伺った先。無表情ながら険しい顔をした彼らが差し出した書類には、安っぽいゴシック体で《突撃☆エゴイスト》と印字されている。ネスはますます意味が分からずに首を傾げた。
「嫌ですよ、何で僕が。そんな中身のない話に付き合うくらいなら自主練していた方がよっぽど有意義です」
「…まあ、お前ならそう答えるだろうな」
「分かっているなら結構。というか、わざわざこんなまだるっこしいことしなくても、いつものように断ればいいじゃないですか」
「そうだな。しかし、そうもいかない事情ができた」
重々しく溜息を吐いた監督は、自分のスマートフォンの画面をネスに向けた。四角くくり抜かれた枠の中では、三人の青年が激しく言い争っている。
「お前たちの
『ハッ、今日の試合もちょこまか動き回って見苦しかったなぁ世一〜? いい加減負けを認めたらどうだ?』
『クソ世一の分際で、カイザーの手を煩わせないでもらえます? こちらの邪魔ばかりして、目障りなんですよ』
『うるせぇな口だけ一級品主従。
その場に流れる空気はまさに一触即発。手が出ていないのが不思議なくらいだ。
1分にも満たない短い動画だったが、与える影響は計り知れないほどに大きい。現に下のコメント欄には数え切れない量のメッセージが。
『サッカーってこんな殺伐としたスポーツでしたっけ??』
『味方とは思えない会話内容で笑う』
『規制音が来い』
などなど。愉快犯的なものから非難、果ては心配するものまで。興味深げにスクロールするネスに「元となった動画は今は削除されているが」と監督が口を開いた。
「これで世界中に周知されただろう。『バスタード・ミュンヘンのチームメイトは仲が悪い』と」
「えっ、逆に聞きますけど今まで隠し通せてると思ってたんですか?」
ネスのある意味裏切ったような感想に、監督とマスターは二人揃って苦虫を噛み潰した顔をした。背景に文字を付け加えるとしたら『お前が言うな』だろうか。
だが、ネスの感想も間違ってはいない。なんせブルーロック時代では各方面から『いいか? サッカーは11人でするスポーツだ』と再三釘を刺されていたのだ。試合外での口喧嘩はもはや名物芸。味方のパスカットはもちろんのこと、体当たりやシュート妨害まで網羅する始末である。敵より敵らしい味方とは一体。
「…とにかく! この動画が拡散されてしまった以上、クラブチームのイメージダウンは避けられない。そこで、少しでも印象を回復させるため、この番組の依頼を受けてもらいたいんだ」
「それこそ愚問ですね。僕がする必要性を感じません。適当にクソ世一でも出しておけばいいじゃありませんか」
「潔世一は数週前に出演したばかりだから番組側に利益がない。それに、発端はお前たちの動画だからな、自分の責任は自分で負え」
「ちなみにカイザーは強制参加だ」と軽々しく告げられる。知らぬうちに予定に組み込まれるカイザーに涙が止まらない。ネスはキュッと眉根を寄せ、渋々、本当にしぶっしぶ頷いた。カイザーが行くなら仕方ない。べ、別に喜んでなんていないですからね!? カイザーのペア相手に選ばれて嬉しいとか、このまま取材放り出して二人旅してやろうなんてこれっぽっちも思っていないんですからね!?
心の中で誰にともなくツンデレを発動させるネス。浮かれる彼は気づかなかった。ずっと黙っていたノアが呟いた、「…その番組、サッカー選手の間では『処刑台』と呼ばれるらしいがな」という不穏な言葉に……
はてさて、舞台は冒頭に戻る。
開始数分で禁忌とも言える内容を軽薄に口に出す喜安。今日も今日とて御影イヤホンは優秀だが、この時ばかりは間違っていて欲しいという気持ちが拭えない。と、ここでカイザーが動く。
「そんなことも分からないのかキヤス〜」
試合中では見慣れたこちらを小馬鹿にした笑みを見せながら、ゆらゆらと身体を揺らすカイザー。ハッ、まさか! カイザーは自分の身を犠牲にして先ほどの質問を有耶無耶にしようと…!? ネスは感動すると同時に何もできなかった自分を恥じた。が、全くそんなことはない。カイザーは新しい
「(よし、カイザーの機転で質問はなかったことに…)」
「わあ、後ろ髪がロバの尻尾みたい」
「(話聞けよ!!!!)」
しかし、そんな小手先の技術で喜安が止められるなら犠牲者なぞ端から出ていないのである。カイザーの挑発を華麗に無視した彼女は後ろでメトロノームのように振れる青いグラデーションに夢中だった。
「カイザー選手と言えば、やはりその皇帝のような支配的なプレースタイルが特徴ですよね」
「まあな。でも最近はクソ傲慢なプレイヤーが多くて困る」
「自己紹介ですか?」
余裕に満ちたカイザーの台詞をスパッと切り捨てる喜安。早くも雲行きが怪しくなってきた。
「(どういうことですか日本人は大人しくて消極的で自分の意見を言わないヤマトナデシコじゃなかったんですかおのれクソ世一ぃぃぃぃぃぃ!!!)」
いや、
「何と言うか、カイザー選手は多分、リアルで『おもしれー女』とか口走っちゃう系ですよね。どこまでも不遜で上から目線だけど、人気は高い。あ、あとネス選手はメンヘラ拗らせた挙句ナイフ握り締めてぶつかりに行くタイプです」
おい今サラッと聞き捨てならないこと言ったな?? しかも断定形。
物言いたげに唇をへの字型に曲げるネス。ほう? と片眉を上げるカイザー。対照的な雰囲気のふたりに当たるライトが眩しい。
「少年漫画で言うところのライバル役ですね。同世代の中でも飛び抜けて上手くて、態度はクソガキだけど実力はあるから舐めてると痛い目見る感じの。で、それにお供するポジションがひとり。うーんこれはまた、一段と芳しく面倒そうな波動を察知しますねぇ。相手に唐突にシャンパンかけたりとか、頭ミシミシ押さえ込んだりとか…いやいや、流石に考えすぎですよね、そんなサンドバッグみたいな扱い。あったら大問題ですもん。そのうちされた相手の方も歪みまくって『彼に気に入られてるアイツ絶許』的思考になってもおかしくないですよ。どこの深夜ドラマの設定です??」
固まるドイツ主従。
それはそうだろう。身に覚えがありすぎるのだから。
「けど、正直これだけなら内ゲバする理由にはなりませんよね…だって、バスタード・ミュンヘンですよ? 魔の巣窟ですよ?? うっかり倫理観取り落としてきちゃった奴らのバラエティーパックみたいなチームですよ??? この程度の所業で内ゲバするわけないというか……一周回って村焼いた過去があるとかの方がまだ理解できます。純粋に相性悪いだけなら、単純に馬が合わないという理由だけでここまでチーム分裂が進むなら、それはもう才能の域です。誇りましょう。お赤飯炊いてお菓子持ち寄って、虹色のミラーボール輝かせながらみんなでパーリナイトしましょう。大丈夫、世界は明るいです」
何やらいい話風に取りまとめているが事態はむしろ悪化している。にこにこと笑う喜安に状況が噛み砕き切れていないネス。このままいつものように、安定の喜安節にネスが呑まれていく、かのように思えた。
「フッ、言いたいことはそれだけか?」
その空気感を颯爽とぶった斬った者。
——そう、ミヒャエル・カイザーである。
「さっきから黙って聞いていれば、仲が悪いだの内ゲバだの、何が言いたいんだ? みんなで仲良くサッカーしましょうとでも言うつもりか? 世界一のエゴイストこそが世界一のストライカーという、
喜安の言葉などまるで意に介してもいないとは、
「内に持つエゴは人によって違う。そしてそのエゴを曲げることは、自分を殺すことと同義だ。俺たちは命懸けでサッカーをしていると言い換えてもいい。争い、勝った者こそを正義とする。そうしなければ生き残れない世界で、ぶつかり合うことを必然とする世界で、他人に遠慮して死ぬなんて間違っていると思わないか?」
玉座から尊大に見下ろす一国の城主のように。雲の上から地上の瑣末事を眺める天使のように。ゆるやかにゆるやかに相手を押し潰す口調はまさに詐欺師のそれだ。
ああ、どうして忘れていたのだろう。ネスは深い湖に身を沈めるようにゆっくりと呼吸をした。僕にはカイザーがいるじゃないですか。僕はカイザーの命令に従ってさえいればいい……
「勝者は俺だ。俺がルールだ。俺が勝ち続ける限り、チームはこのままで構わない…そうだろう?」
頬杖をついてマリンブルーの瞳を眇めるカイザー。首に刃を当てられたような緊張感の中で、しかし、喜安はきょとんと瞬いた。
「いえ全然」
——その唇が滑らかに言葉を紡ぎ出す。
「だって、ダサいじゃないですか」
「は?」
「1より10の方が強いように、10より100の方が強いように、ひとりでサッカーするより複数人でサッカーする方ができることは増えます。学ぶことも増えます。ひとりが好きなら、それで結構。思う存分ひとりで戦って、エゴを貫き通してプレーすればいい。そうですよね、今の状況がそれなんですもんね。確かに少数精鋭で攻め込む楽しさはあるだろうし、いつもの数段スリルたっぷりな試合が味わえると思えます。なるほど、カイザー選手が求めているのはこういうマッチアップだったんですね」
ぽんぽんと考察しながらしきりに頷いている喜安。だが次の瞬間、彼女の顔からスコンと表情が抜け落ちる。
「でもそれって、負けたらすごくダサいですよね」
ダサいですよね。
ダサいですよね…
ダサいですよね……
「『ひとりでも勝てる』って、それすなわち相手チーム11人くらい楽勝ってことでしょう? あいつらの相手なんざ赤子の手を捻るより簡単だってことでしょう? 私は勝ち負け云々はよく分からないし、それぞれのエゴに関しても知りませんけど、きっと負けたら相当痛い目にあいますよ。あれだけ大口叩いていたのに敗北したってことは、相手のことを嘗めてたってことですもんね? 誰にも命令されてないのにセルフ縛りプレイして、散々煽ったくせに負けたってことですもんね?? えぇダサっ。相手はこっちのことしっかり分析して対策して全力で挑んできたのに、勝手に加減して勝手に爆死してるって…ダッサ!!! 弁明の余地すらありませんよ。どうするんです? 『俺手ぇ抜いてただけだから〜』とかほざくようならカッコ悪さ天元突破です。そのビジュアルでギリ許されないレベルです」
「俺がそこらの雑魚どもに——」
「負けるはずない、ですか? この世に絶対なんてありませんよ。最悪を想定してこそプロだと思いますが」
喜安から繰り出された正論マシンガントークに反論を封じられるカイザー。そこで、いくらか険しい表情をしていた喜安がふっと眦を下げる。
「『絶対勝てる』『誰かに任せておけばいい』といった考えは思考の停止ですよ。どんな出来事が起きても乗り切れるよう最善を尽くさないと。突然メンバーが怪我したり、隕石が降ってきたり、天高く飛び上がって白い台風が発生したり…」
「いや後半おかしくないですか!?」
とうとう我慢できずにネスがツッコむ。しかし喜安は全く気にしない。
「どこにでも理解できない事象は転がっているものです。それに気づき、受けとめて自らの中で消化することが大切なんです。もちろん、最初は難しいでしょう。初めは意識して実行して、やがて自然とできるようになれば、それはあなたにとって得がたい成長となります。頑張ってください、実践あるのみですよ。例えば、今のように……」
目が合ったカイザーの肩が僅かに跳ねる。まだ続きがありそうな喜安の言葉に、何か兆しを嗅ぎ取ったネスが動こうとするも、一歩遅かった。
するりと彼女がカイザーに近づく。覗き込むように身体を前に傾け、もう少しで額がぶつかりそうな距離感。カイザーが咄嗟に目を瞑り、ネスが頬を抑えて叫びの体勢を整える。そのままカイザーの側頭部に喜安の白い手が伸ばされて——
「芋けんぴ、髪についてましたよ」
I☆MO☆KE☆N☆PI!
なぜそこにある、芋けんぴ!!
目を見開き呆気に取られたカイザーに、喜安がにこにこと笑う。指先には
パタパタと軽い靴音が遠ざかっていくのが聞こえて、ネスはホッと安堵の息を漏らした。
「はぁ、大丈夫ですかカイザー? ひどい災難でしたね」
ドストレートの長文をくらい、おまけに訳の分からない状況に放り込まれてさぞ大変だっただろう。
マイクに拾われないくらいの音量で、こそりと隣のカイザーに呼びかける。が、返事がない。訝しく思ったネスは顔を上げ——思わず絶句した。
ぎゅっと握り締められた拳。髪のあちこちが跳ね、口は珍しく半開きになっている。白磁の肌は薔薇色に染まり、マリンブルーの瞳はぐるぐると熱に浮かされたように潤んでいて…
「はわわ…!」
おい嘘だろ!?!?
────────────────────────
ちゃ〜らちゃらららっちゃら〜♪
「こんにちは! 今日も始まりました、《突撃☆エゴイスト》! 司会の喜安田亜子です!」
フレッシュな色味で統一されたスタジオに、存在感MAXなタイトルロゴ。画面中央では華奢な女性がいつも通り、いやいつもの5割増しでニコニコと微笑んでいる。
「今回は特別編! 来週に控えた全話一挙放送を記念して、リクエストの多かった『ブルーロックスと喜安の対話回』を厳選してお送りいたします!」
喜安の後ろのモニターには、恐らく過去回を編集したのだろう、短い動画が繰り返し流れている。ほのぼのと笑う水色の髪の青年、緊張したように手を振る大柄なオレンジ髪の青年、ソファーに腰掛ける本物そっくりな熊の着ぐるみ…ん? なんか変なの混ざってたな??
到底スポーツ番組とは思えないループ映像に困惑する視聴者。当の喜安は「ゲストさんへの質問や感想は『#突撃☆エゴイスト』をつけて呟いてくださいね!」と素知らぬ様子でテロップを指差している。それでいいのか総合司会。
「そして、気になるゲストはこちら! 烏旅人選手です!」
「この番組にだけは出演したくなかったわ…」
カメラが切り替わる。膝に肘を立て頭を抱えているのは、黒髪をワックスで整えた男性。黙っていれば格好いい部類に入りそうな容姿にも関わらず、げっそりと窶れた様子からは苦労人の印象が拭えない。
「俺は前からマネージャーにこの番組だけは無理言うとったんや。なのに、なのに今日インタビューって聞いてスタジオ入って、騙し打ちって気づいた俺の気持ち…分かるか?」
「大変ですねぇ」
悲壮な表情で独りごちる烏。そう、彼は非常に危機管理能力の高い男だった。だからこそ初回である凛のインタビューですでにこの番組の非凡さを理解していたし、可能な限り番組から遠ざかろうとあれこれ策を練っていた。さりげなく予定を入れたり、マネージャーに相談したり。その甲斐あって、今の今まで烏は犠牲者にならずに済んでいたのだ。
だがしかし、そこを逆手に取られた結果がこれである。烏という男は有能であったが、同時に運が悪い男でもあった。
「というわけで、早速! VTRの方再生していきましょう! では、どうぞ!!」
喜安がパッとモニターの方へ手を向ける。どうやらマイクの近くにいるらしい、弾けるような声が聞こえた。
『およ? これもう始まってる??』
軽やかなBGM。主張の強いタイトルロゴが消えた先に現れたのは、いつものブルーとレモンイエローの爽やかなスタジオ——ではない。黒だ。真っ黒。その中に向日葵のような黄色を視認した瞬間、画面が明るくなる。
『ヤッホー! 今日も始まりました、《突撃☆エゴイスト》! 司会の蜂楽廻だよ♪』
「何で
烏、渾身の大絶叫である。
『そして、今回のゲストはこちら! 喜安田亜子さんだよー!!』
『はい、こんにちは。いつもは総合司会を担当してます、喜安田亜子です』
「ほんでアンタ司会やろ!? 何でソファー座っとるねん!?!?」
「いやー、実は蜂楽選手から『喜安っちも一回ゲスト側を体験すれば、もーっと良いインタビューできそうじゃない?』と提案されまして。番組をもっと楽しんでもらえるなら、と思って了承しました」
「ちゃんと考えてはった…いやでも司会進行役放り出すのはさすがに」
「あと面白そうだったので」
「理由の9割それやろ」
頭を抱える烏。通り名が『殺し屋』というだけのことはある。どんな小ボケも見逃さない。本人の心情的には見逃した方が楽なのはさておき。
「全部見てると時間がなくなっちゃうのでドンドン行きますよー!」
「あ、あぁ…そうやな」
「ちなみにさっきの回は、最終的に蜂楽選手がソファーで仁王立ちしながら『らぞクラブ』の宣伝をしたところで終了です」
「何て???」
いやホントに何て????
「続いての回はー…」
『知っているかい? 神とは人智を越えて優れた存在、人間の知恵では計り知れない不思議な力を持つ者を指すんだ。つまり、潔に関しても同じことが言える。彼は未来を視たかのように戦況を把握し、チェスの駒を操るように人を動かす。その姿はまさに、神! いや、悪魔! その青い瞳がエゴで燃え、情を削ぎ落とした声で「泥舟」と呼ばれることのなんと尊きことか…! さあ、全員潔教に入信するのです。今ならはちみつきんかんのど飴一袋、伊勢海老ぬいぐるみ、プラス「潔世一凄技プレー集」をプレゼント! …フフッ、これで新たな集員が見込まれる。モデルの地位を活かしSNSで流布し、さらに勢力を拡大……そう、これが、全人類潔信者化計画…ッ!!』
「あ、すみません。画面が乱れました」
「ちょ待て待て待て待て」
ツッコみどころが多すぎる。
まず雪宮、『つまり』から文章が繋がってない。その接続詞は前の記述を要約する言葉や。ドヤ顔で『同じことが言える』とか惚けたことを抜かすな。そんでもって潔教って何や。そんなふざけた宗教があるか。ほんでお前、その神相手に『泥舟』とか名づけられてていいんか? おまけにモノで釣ろうとすんなや。モデルのスペックは宗教勧誘で使うものじゃないねん。そして最後、そんなおっそろしい計画を作るな、やるな、巻き込むな!!
「よし、これで大丈夫。では、再生しますね」
「ホンマに大丈夫かいな…」
果たしてその予感は当たる。
次にモニターが復旧した時、最初に映ったのはさらさらと靡く黒百合の運河のごとき長髪。ばさりと手のひらで掻き上げるその様は、まるでシャンプーのCMのようだ。
『慌てて誤魔化そうとその場凌ぎの虚飾を施すのはノットオシャ。何気ない日常、日々の一挙手一投足にこそ、真のオシャが現れる…』
『あなたこそが美の伝道師……人呼んで「オシャ髪様」!』
「オシャ髪様!?」
烏、渾身の大絶叫である。(2回目)
「え、烏選手知らないんですか? オシャ髪様」
「逆に何で知ってる方が常識みたいな聞き方しとんねん。普通知らんわ」
「『OSHA』を世界共通言語にしたお方ですよ。現在はサッカーしながらハリウッドでオシャの魅力を語っています」
「何してんねん蟻生」
かつて死戦を共に掻い潜ってきた仲間の劇的ビフォーアフター(?)に驚きを隠せない烏。混乱しすぎて『オシャって何だよ』という根本的なツッコミすら忘れてしまっている。
烏は少々思案した。このペースでツッコみ続けて、俺番組終了まで持つか? と。
ふと喜安の方へ視線を向けると、彼女は一点の曇りもない笑顔でモニターを指差した。烏の切実な助けは届かなかったらしい。もうどうにでもなーれ。烏は匙を投げた。現実逃避とも言う。
ということで、ここからはテンポ良く行ってみよう。題して『烏の胃痛クライシス〜ダイジェスト〜』!
CASE①:斬鉄回
『(好きな動物がカブトムシと聞いて)カブトムシですか、いいですね〜! 私も昔よく虫取りしたんですよ。クワガタとかダンゴムシとか』
『ダンゴムシは虫じゃなくないか? クモは虫だけど』
『えっ、クモの方こそ虫じゃないのでは?』
『???』
『???』
「足が6本ある生き物が虫や。よう覚えとき」
「なるほど。ということは人間にもう2本腕を追加したら虫ってことですね!」
「なんでそうなる???」
CASE②:氷織回
『氷織選手って体格いいですよね! サッカー以外にも何かスポーツとかやってたんですか?』
『柔道を。 親がプロ選手やったんで…』
『あっ…(察し)スゥッ、にしてもすごいですよね! 一見すると儚げに見えるので、ギャップ萌えというか』
『母似やからね』
『アッ、アッ……』
「アッ、アッ……」
「何でスタジオのアンタまで同じ反応しとんねん!」
CASE③:國神回
『(國神闇堕ち話を聞いて)あー、ありますよそういうこと。國神選手より過酷ではないんですけど、定時退社出来なかったり、仕事頑張ったのに成果だけ横取りされたり……』
『それは…』
『まあ私もソイツのカツラを燃やしてやったわけなんですが』
『もや……え?』
「極めてどうでもいい情報ですが、燃やしたカツラの名前はしげるくんです」
「名前つけてんのかい!?」
「私が勝手につけました」
「ネーミングの悪意!!」
以上。
烏の胃に確実にダメージを与えること請け合いな内容の濃さである。喜安は司会台にて相変わらず満足気に微笑んでいた。後ろのモニターには、和やかに談笑する双葉髪の青年、神への信仰を高らかに謳い上げる青年、森で野宿する熊の毛皮…あれ? これもしかして、まともな奴らの方が少ない??
「そろそろお時間が迫ってまいりました。烏選手は今回初めて番組に出てみていかがでしたか?」
「…もう二度と出演しない」
ずり落ちないようソファーの背を掴み、肩でぜいぜいと息をする烏。疲れすぎたせいか、ご自慢の関西弁は見る影もない。気力は疲労困憊、きあいのタスキでギリギリ持ち堪えてるくらいのHPである。
「あーしっかし、ホンマ酷い目に遭うたわ」
終わりの音楽が流れ始める。コキコキと身体を伸ばしてた烏の頭に、ふと『あること』が思い浮かんだ。都市伝説的な噂話でしかない、しかし確かに存在しているらしいそれ。
多大な好奇心と幾分かの期待感を抱いて、烏は口を開いた。
「そういやあれは入ってへんのか? 凡がアホみたく暴れ散らかした回」
「潔選手の……あぁ、アレですか」
《突撃☆エゴイスト》の中でも幻と呼ばれる特別な回。
しばらく考えて、心当たりを見つけたらしい喜安が微かに手を打つ。そして、へにゃりと眉を下げた。
「あの回は放送できませんよ」
ゆるく首を振った彼女は、過去へ遠ざかるように目を伏せる。
「——あれは、
────────────────────────
おまけ
【こやつ】《突撃☆エゴイスト》特別編【無敵か?】
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・
・
14:名無しのストライカー
公式より
「全話一挙放送を前に、《突撃☆エゴイスト》特別編として、喜安とブルーロックスの会話集をお送りいたします! 皆さんのお気に入りのエピソードは何ですか? 『#突撃☆エゴイスト』をつけて呟こう!
出演:喜安田亜子、烏旅人(ゲスト)※敬称略」
15:名無しのストライカー
≫≫14
助かる
16:名無しのストライカー
≫≫14
ついにきたか…
17:名無しのストライカー
全話一挙放送だけでも神かと思ってたのに、サプライズでこんな企画持ってくるって…運営マジ運営
18:名無しのストライカー
ゲストが烏ってだけで一生笑ってられる
19:名無しのストライカー
≫≫18
一家にこれ一台! みたいな頻度で使い回される烏選手だもんね
20:名無しのストライカー
≫≫18
薬局の店員さんに顔覚えられてる烏選手だもんね?
21:名無しのストライカー
≫≫18
「ご注文は胃薬(1ダース)ですか?」
22:名無しのストライカー
≫≫19 ≫≫20 ≫≫21
一連の流れが綺麗すぎて草
23:名無しのストライカー
特別編はブルーロックスだけなんだね。ドイツ主従回とか好きだったから残念。ぜひとも烏選手に突っ込んでほしかった
24:名無しのストライカー
≫≫23
ああ、かの有名なとろけるカイザー回
25:名無しのストライカー
≫≫24
とろけるチーズみたいに言うなし
26:名無しのストライカー
あの時のトレンドの荒れようはひどかったですね
27:名無しのストライカー
言ってることは間違ってないしな。いいお灸になったんじゃないか? ただし全てのちの芋けんぴ騒動で消え去る
28:名無しのストライカー
喜安「芋けんぴ、髪についてましたよ」
ついてましたよ、じゃねーんだわ
29:名無しのストライカー
あれホントにどこから取ってきたんだろう? 喜安さんが持ってたにしても謎だし、日本に芋けんぴの自生地はないよ?
30:名無しのストライカー
≫≫29
日本どころか海外にもねえよ
31:名無しのストライカー
ミヒャエル・芋けんぴ・カイザー
32:名無しのストライカー
あれ結局カイザー選手は喜安さんのことどう思ってるの? 惚れたの??
33:名無しのストライカー
≫≫32
知らん
34:名無しのストライカー
≫≫32
分からん
35:名無しのストライカー
≫≫32
特別な思いを抱いていることは確か。ただそれを向けている先が、喜安さんなのか芋けんぴなのかイマイチ判断がつかない
36:名無しのストライカー
まあカイザー選手は気になる子への対応が小学2年生ですから
37:名無しのストライカー
日本帰国前にスーパーで芋けんぴ買い占めてたし、ネットで喜安さんが別のお菓子褒めるたびに「でもそれより芋けんぴのほうがいいだろう?」ってどこに向けてか分からないマウント取ってくるし
何がしたいの皇帝。一回油で揚げられたほうがいいよ
38:名無しのストライカー
≫≫37
容赦ない殺意の高さで笑う
39:名無しのストライカー
ふむふむ、つまりカイザーは芋けんぴに愛を囁いてる…っと
40:名無しのストライカー
≫≫39
カイザー「喜べ、俺の女にしてやる」
芋けんぴ「(トゥンク……!)」
↑こういうこと?
41:名無しのストライカー
≫≫40
ひっでぇ偏向報道
42:名無しのストライカー
敬愛するカイザーがこんなになっちゃって、ネスはショック受けてないの??
43:名無しのストライカー
ネス「カイザーが幸せならOKです(死んだ目)」
44:名無しのストライカー
≫≫43
節子、それ全然OKやない。諦念や
45:名無しのストライカー
まあ好評だったらまた特別編出すらしいし、その時にドイツ主従が来るかもしれないじゃない? 今は気長に待ちましょ、ね?
46:名無しのストライカー
まず続編が出る前に、今回烏選手が生きて帰って来れるかが問題なんだけどね…
47:名無しのストライカー
≫≫46
あーあ
48:名無しのストライカー
≫≫46
せっかくみんなが目を逸らしていたことを
49:名無しのストライカー
やめて! 喜安のトーク力でカオス空間に引き込まれたら、過労死枠で有名な烏の精神まで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないで烏!
あんたが今ここで倒れたら、ブルーロックスとの約束はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、番組から生き延びられるんだから!
次回「烏死す」デュエルスタンバイ!
50:名無しのストライカー
≫≫49
死んでんじゃねえか!!!!!!
・
・
・
255:名無しのストライカー
喜安「最初に烏選手が出演すると決まった時は、凛選手と士道選手も呼んでフランス組特集として組むつもりでした」
烏「そんなに俺を殺したいんか?」
256:名無しのストライカー
≫≫255
草
257:名無しのストライカー
≫≫255
真顔で言ってるあたり真剣さが伝わってくる
258:名無しのストライカー
≫≫255
よかったね烏選手。共演回避できて
259:名無しのストライカー
≫≫258
※ただし呪縛から逃れられるとは言っていない
260:名無しのストライカー
でもまあ、思ってたより楽しそうだったね烏選手
261:名無しのストライカー
喜安「乙夜選手は前にうちのテレビ局の前でナンパしてたので出禁です」
烏「でwwwきwwwんwww」
262:名無しのストライカー
≫≫261
ここの烏、男子高校生みあってすこ
263:名無しのストライカー
≫≫261
あんなに大笑いしてる烏選手、久々に見たよ…
264:名無しのストライカー
烏「雪宮はもし宗教勧誘来ても『潔が神ですよ?』とか言って断りそうやな」
喜安「はは、まさか。雪宮選手はそんなことしませんよ」
烏「…やよなぁ、俺の考えすぎか」
喜安「雪宮選手なら宗教勧誘に来た人ごと信者にします」
烏「悪化しとるやんけ!!」
265:名無しのストライカー
≫≫264
キレッキレのツッコミ、さすが大阪出身
266:名無しのストライカー
≫≫264
喜安「雪宮選手はそんな(生ぬるい)ことしませんよ」ってことね
267:名無しのストライカー
≫≫264
ユッキーマジおもしれー男すぎる
268:名無しのストライカー
何だろう、普段ツッコミなしのノンストップスピードで駆けていくスタイルだからこういうのすごい新鮮。もっとやって欲しい
烏の精神的疲労は保証しないけど
269:名無しのストライカー
≫≫268
そこは保証してやれよ
270:名無しのストライカー
というか、ラストで烏選手が言ってた「凡が暴れ散らかす回」って何?
271:名無しのストライカー
≫≫270
バッ、お前軽々しくその話題を出すな!!
272:名無しのストライカー
≫≫270
消されたいのか!?
273:名無しのストライカー
≫≫270
見つかったらタダじゃ済まされねえぞ!?
274:名無しのストライカー
全力で名前を出してはいけないあの方扱いされててワロタ
275:名無しのストライカー
そちが噂の「ぼるでもん」かえ?
276:名無しのストライカー
≫≫275
誰だよ薩摩ホグワーツ召喚した奴…
277:名無しのストライカー
≫≫276
治安的にはそこまで変わらないからセーフ
278:名無しのストライカー
≫≫277
仮にも白菜やら刀やら死の呪文やらが飛び交う魔法学園とサッカー監獄を一緒にするなよ
279:名無しのストライカー
≫≫278
でもでもぉ、言葉の致死性を加味すれば同レベルだしぃ…
280:名無しのストライカー
はーいそこ、脱線してるよー!
多分≫≫270が知りたがってる回は3度目の潔回だな。比較的平和な潔選手の唯一平和じゃない回
281:名無しのストライカー
別名、フラワーシャワー世一回
282:名無しのストライカー
≫≫281
何だそのメルヘンハッピーワンダーランドみたいな字面
283:名無しのストライカー
≫≫281
フラワーシャワーとレスバ界最強のコラボレーションとか、控えめに言っても結びつく気がしないのですが
284:名無しのストライカー
まあまあ、おまいら落ち着け
一言で表すなら、あれは潔選手の地雷だ
285:名無しのストライカー
ヒュッ
286:名無しのストライカー
冗談抜きで背筋凍った
287:名無しのストライカー
試合外は(対カイザー選手除いて)温厚な潔選手の地雷…?? 何やらかしたのソレ
288:名無しのストライカー
さあ? でも生放送で見てたトッモの話「ミ=ゴの大群に手間取ってたらヨグ=ソトースが現れて、おまけにニャル様まで来ちゃった感じ」だってさ
289:名無しのストライカー
み…よぐ……ごめん何て???
290:名無しのストライカー
ちなみに今のをクトゥルフ分からん人に向けて説明すると、「夏休み最終日なのに宿題が何ひとつ終わってない」くらいのヤバさ
291:名無しのストライカー
≫≫290
それはヤバいだろ!!!!
292:名無しのストライカー
≫≫290
だからヤバいって言うとるやん!!!!!!
293:名無しのストライカー
潔「主従共々蹴落とし合いしかできないのか? 髪型ワカメのくせに」
ネス「おやぁ? フラワーシャワーが何か言ってますねぇ??」
数秒後、過去一ひどいレスバに発展する
294:名無しのストライカー
レスバで済んでるあたり、まだ潔選手のなけなしの理性を感じる
295:名無しのストライカー
潔「カイザーだったら殴ってた」
296:名無しのストライカー
≫≫295
絶妙に言ってそうなセリフで草生えた
297:名無しのストライカー
≫≫295
そんな「長男だから我慢できた」みたいにさぁ…
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登場人物紹介
喜安田亜子
モットーが「ガンガン行こうぜ!」になってきた中堅キャスター。
ニコっとした笑顔は仕事用。タメ語が混ざる時は素に近かったりする。芋けんぴは本当に髪についてたのをとっただけ。スタッフさんにも自慢してきた。番組の司会進行役を押しつけてきた先輩に対して、何か思うところが…?
ミヒャエル・カイザー
即堕ち2コマを決めた洗脳成功例。
この度めでたく芋けんぴ過激派へと転身した。自宅の一室が埋まるくらいにはストックしてある。最近新たに芋けんぴの宣伝大使に任命された。この症状を、喜安さん被害者の会の中で軽度と見るか、末期と見るかはあなた次第。
アレクシス・ネス
「尊敬する僕のストライカーが知らぬ間に芋けんぴにされてた件について」の圧倒的被害者。
監督とノアにチームのイメージアップを命じられて参加したが、喜安のペースに呑まれた。でも最終的にイメージは別のものに塗り替えられたので目標は達成していると言えなくもない。
烏旅人
今作では一番の被害者。
ツッコミすぎて翌日は喉が枯れた。お魚凛ちゃんやキュア士道、狂信者雪宮など闇鍋みたいな悪夢を見た。泣いていい。ツッコミ要員として視聴者から絶大な支持を得たため、今後定期的に騙し打ちされて呼ばれることになる。
蜂楽廻
「らぞクラブ」第一人者。喜安への提案は半分くらい愉快犯としての行動だった。結果的に上手くいって満足。喜安さんを喜安っちと呼んでいる。
なお、らぞクラブの宣伝を続けて1年以上経ったが、未だに誰も来てくれないらしい。
雪宮剣優
潔教のリーダー。
無敵のメンタルを持つ男。磨いた武器全てを用いて全人類潔信者化計画を遂行している。止められるのは潔のみだが「サッカーに支障がないならいい」と放置気味。唯一止められる人物が傍観しているため、外野は震えている。
蟻生十兵衛
またの名を、オシャ髪様。
当初はオシャ神様と呼ばれていたが、他でもない本人に「俺自身まだオシャを極めていないのに、神呼びされるのはノットオシャ」と言われた結果、文字を変えオシャ髪様となった。現在はハリウッドにてオシャを布教中。
剣城斬鉄
バカ。ひたすらにバカ。
しかし何をやるにも全力投球、覚えたての言葉を積極的に使う様子から、お茶の間で人気を博している。斬鉄回は癒しとして有名。この回のコメントは何故か、後方おじいちゃん・おばあちゃん面してくる輩が多い。
氷織羊
家庭環境激重っ子。
ここでは「家族と和解はしたのか分からないけど、少なくとも氷織の中では笑い話として語れるようになった」世界線としている。質問でちいかわみたいになる喜安を、面白いなぁという目で見ていた。多分Sの才能がある。
國神錬介
おかえりヒーロー。
ちゃんと光堕ちしてる世界線。闇堕ち時代は黒歴史。ブルロメンバーで酒飲みに行くたびにイジられて「その話はもういいだろ!」ってキレてる。番組出演は「ファンの人が喜んでくれたら…」と引き受けてくれた。いいやつ。
我牙丸吟
日本が誇る野生児。
さすがにスタジオに熊の毛皮は持ち込みNGなので、本物そっくりな着ぐるみで妥協してもらった。その代わり、取材中の映像で着ているのは正真正銘手作りの毛皮。初見のインパクトがすごい。喜安は師匠と呼び慕っている。
潔世一
比較的平和…じゃない回があるらしい。
先輩
次回登場予定。
※補足
《突撃☆エゴイスト》に関して
基本的に、有名だったり人気だったりするスポーツマンを呼んでその人のエゴや内面を深掘りしていく番組。視聴率が高かった人、リクエストが多かった人は、組み合わせやテーマを変えて複数回呼ばれることがある。