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この作品「写真」は「ヒ腐マイ」「入間銃兎」等のタグがつけられた作品です。
写真/立葉 葵灯の小説

写真

1,294文字2分

ここでは初めまして.色々初めてなのでタグ間違いなどありましたら編集してやってください(_ _)

先輩との思い出の話.
先輩さんは是非銃兎さんを大切に想っていてほしい.そして銃兎さんはその想いを重すぎるぐらい受け止めていてほしい.
※すべて捏造です

Twitterやってます.こっちにしか載せてない話もありますのでよければどうぞ┏○))
https://mobile.twitter.com/tali_aoitto_eb
※一次創作との共用アカウントですのでご注意ください

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 ふと、飾ってある写真に眼が向いた。普段から置いてあるそれからは目を背けていたのに、このときばかりは吸い寄せられたように目が離せなかった。
 酔っ払った空間のワンシーン。居酒屋の黄ばんだ壁を背景に目を閉じた男性が一組、唇を重ねている。いや、あくまでもそう見えるだけだ。
 手前にいる黒髪の男性は奥の男性の首に腕を絡め、奥の男性の手が腰と頬に回されている。一見仲睦まじく絡み合うような雰囲気だが、実情を知っている身としては悪酔いの現場としか言えない。
 王様ゲームをしたのは後にも先にもこの時だけだ。大きな事件が解決し、俺も先輩も含めてみんなテンションがあがっていた。そのままのノリで全員で居酒屋に行って知らないうちに王様ゲームなるものが始まり、「キスをする」なんて命令を誰かが下したのだった。誰だそんなことを言い出しやがった野郎は。
 運が良かったのはそこにいた全員が完全に酔っ払っていたのと、番号を引いたのが俺と彼だったことだ。どうせやるならよく知った相手で、信頼のおける人がいい。その点では一番まともな相手だった。
 ただし、例外なく酔っていた彼は、当事者の立場で楽しそうに笑っている。怖いんだか驚いたんだかで目を見開く俺に、彼の手が伸びた。覚悟を決めた俺は隣の彼の首に腕を回す。ああ、俺も十分酔っ払ってんなという心の声は無視した。
 周りからはヒューヒューとはやし立てる声、ガサゴソとスマホを取り出す音が聞こえる。撮りたいなら撮りやがれ。どうせファーストキスでも何でもない、戯れのキスだ。酒の勢いでいくらでも誤魔化せる。そう思い切って目を閉じ、顔を引き寄せられるままに委ねた。
 しかし、いつまで経っても唇には何の感触も生まれない。不審に思って目をそっと開けると、片目を開けた彼と眼が合った。呆気にとられていると、形の良い唇が動く。
「め、とじろ」
 俺にしか聞こえないほどの声で彼が言った。それだけで俺は、全てを察した。薬物を毛嫌うが故薄っすらと潔癖の気がある俺に、口を触れ合わせる行為が精神的に厳しい事を分かっているのだ。だから何も言えず俺は、再びおとなしく瞼を下ろした。
 少し暗い証明の居酒屋の角で行われた行為は、殆どの人の角度からは本当にキスをしているように見えたはずだ。実際、二人以外の現場に居合わせた全員が、本当に口づけを交わしたと思っていた。


「……バカな奴」
 そこまで思い出したところで、自嘲的な笑いが零れる。
 先輩が死んだのはその数日後だ。あの気遣いは薬物が嫌いな俺の為だった。彼がつけていた日記には、ハッキリとそのことが書かれていた。
 彼の中にあった唯一の理性は、最期まで俺の為だった。どうせあの日もヤッてたんだろう。いっそ本当にキスしてくれれば。或いは俺が無理やり唇を重ねていれば。そうしたら先輩の過ちに気づけたのかもしれないのに。そうしたら先輩は死ななかったかもしれないのに。そうしたらまた、下らない話をして、戯れの口づけを交わして、隣で笑えたのかもしれないのに。
「…………せんぱい」
 鬱積うっせきと後悔が、黒い背中を焚いた。

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