商業登記規則の改正により、登記簿から代表取締役の住所を一部非公開にできる「代表取締役等住所非表示措置」が10月1日に始まる。個人情報保護や起業促進の必要性を踏まえ、希望に応じて住所を一部非公開にできるようにする。
法務省による4月16日の発表によれば、10月1日以降は登記申請の際に所定の書面を添付の上で申し出をすれば、非表示化の措置を受けられる。措置を受けた場合、これまで住所が全て公開されていたところ、市町村(東京都においては特別区、指定都市においては区)までの記載となる。ネット上で登記情報を確認できる「登記情報提供サービス」でも同様の表示となる。
ただし、登記簿によって会社代表者の住所を証明できなくなることから、法務省は「金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引などに当たって必要な書類(会社の印鑑証明書など)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定される。そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な御検討をお願いする」と呼び掛けている。
法務省は2022年や23年末に、非表示措置についてパブリックコメントを募るなど検討を進めていた。小泉龍司法務相は4月16日の会見で「自宅の住所がオープンになってしまうということに対する抵抗感や、個人情報保護の観点からの問題提起もあり、起業する人にとって一つのハードルになっているという指摘があり、法務省において検討を進めていた。新たな起業の促進に繋がることを期待したい」とした。