プロ野球(NPB)の打低の原因は飛ばないボールではない。打者層のレベル低下だ
結論サマリ
2019→2023の打低は打者層のレベル低下が原因。
2019,2023両方規定だった打者のOPSは.805→.807と変化なし
2019から消えた打者と2023に増えた打者のOPSは.790→.721と全体の打者層が低下
全体の打者層低下の原因は2019年上位の好打者が 32.1歳(2019年)→37.1歳(2023年)と加齢およびMLB移籍(筒香、鈴木誠也、吉田正尚)が要因である。
打低
プロ野球は現在投高打低が叫ばれている。
事実2019年以降平均OPSは年々下がり続けている。これは正しいと思われる。2019→2023ではOPSが.060も低下。明らかに打低になっている。
2023 .668 .664
2022 .678 .668
2021 .720 .684
2020 .738 .703
2019 .738 .719
原因
2019→2023で明らかな打低が起きている。
2019 規定60人 規定平均OPS.795 リーグ平均OPS.730
2023 規定48人 規定平均OPS.748 リーグ平均OPS.670
規定打者についてもOPSが低下している。
2019,2023共に規定打席の打者は打低になっていない
では2019年、2023年共に規定に立った打者はどうか?(宮崎、西川、大島、大山、坂本、近本、岡本、秋山、菊池、村上、近藤、森、浅村、外崎、中村奨)
2019,2023共に規定打席に立った打者(15人)の平均OPS
2019 .807
↓
2023 .809
なんと両年とも規定に立った打者のOPSは低下していない!
これでは2019→2023でボールなどの環境の変化が大きくあったとは考えにくい。
大きな環境の変化が起きたのに同一の打者同士で比較して全く影響が出ないとは考えにくいからだ。
2019→2023で打者層に変化有り
また、次のデータを見てほしい
2019規定→2023非規定の打者45人(居なくなった人)の平均OPS
2019 .790
2019非規定→2023規定の打者33人(入ってきた人)の平均OPS
2023 .721
これらより打てる打者が消え、代わりに打てない打者が増えたことが2019→2023のOPS低下の要因だと考えられる。
打者層変化詳細
打者層の変化の詳細を見るため、上位10人と下位10人の傾向を見る。
2019規定→2023非規定の打者(居なくなった)
上位10人平均OPS.927
下位10人平均OPS.662
2019非規定→2023規定の打者(入ってきた)
上位10人平均OPS.805
下位10人平均 OPS.646
これらの傾向では下位10人はOPSを大きく落としておらず、打てない層について傾向の変化があったとは言えない。
大きく変化があったのは上位10人だ。居なくなった上位10人と入ってきた上位10人のOPSの差が著しい。これが2019→2023のOPS低下の要因だと考えられる。その10人をピックアップすると見事な”打者層の地盤沈下”読み取れる。まさしくこの「打てる」消えた10人がいなくなったことが2019→2023の打低を説明している。
消えた上位10人:
鈴木誠也1.018、山田哲人.961、吉田正尚.956 ブラッシュ.937 バレンティン.917 山川.912 ソト.902 筒香.899 中村剛.887 丸佳浩.883 デスパイネ.875
増えた上位10人:
牧.867 頓宮.862 柳田.862 サンタナ.844 佐藤輝.837 万波.788 大城.787 細川.780 マルティネス.763 ポランコ.762
消えた打てる打者の理由とは?
では2019年規定の打てる打者が2023年に規定でなくなった理由はなにか。
ボールを低反発にしたから、打てなくなって出番が減ったではないのか?という意見もあるだろう。
そこでOPS.800以上の2019年に規定だった”消えた打者”一覧を下に示す。
鈴木誠也1.018、山田哲人.961、吉田正尚.956 ブラッシュ.937 バレンティン.917 山川.912 ソト.902 筒香.899 中村剛.887 丸佳浩.883 デスパイネ.875 ビシエド.870 荻野.841 青木.827 鈴木大地.827 會澤.826 井上.824 糸井.819 レアード.816
これらの打者が2023に規定じゃなくなった理由はなにか。
まさしくそれはMLB移籍及び加齢である。
MLB移籍:鈴木 吉田 筒香
諸事情: 山川
平均年齢(上記4人を抜いた平均):32.1歳(2019年)→37.1歳(2023年)
平均32歳だった打者が2023には37歳になってしまっている。それならば打席に立たない、立っても成績が残せないということは自然だ。
つまり、2019→2023打低の原因として、2019年にいた打てるバッターの多くが加齢した。ということが根本にある。
また2023に新しく打てるバッターが出てきていないとも推測できる。
ボール変更が原因でないと考える理由
巷では飛ばないボールをNPBが導入したことが原因だ、などと言われている。
某社のコラムではHR/FBが年々低下していることから、ボールが変わったとしか考えられないという結論を出している。
しかしこれには疑問点も多い
疑問点 1 )徐々にHR/FBが下がっているならNPBが毎年徐々に低反発に変えているという結論になり、不自然
→元データやコラムを見てもらえればわかるが、まさしくOPSやHR/FBは”年々”低下している。これをボールの変化由来とするならばNPBは毎年徐々にボールをすり替えていることになる。これは少しやり方として考えにくいと感じる。
またNPBとボール開発者は違反球騒動後より厳格に反発係数の管理をしており、反発係数は規定内である。との声明を何回か出している。この声明を出しながらも年々反発係数を下げているとは明らかに考えられない。
疑問点 2)打者層の変化を考慮にいれていない。打者層が変化したことによる全体のHR/FBの変化を考えていない。まさしく本ページで説明してることを考慮に入れていない。
結論
2019移行の徐々な打低は打者層のレベル低下が主な要因だと考えられる。
ボールの低反発球は要因ではないと考えられる。
もしくはボールの微変更(包装変更など)、投手のレベルアップが多少なりとも打低に影響を与えている可能性はある。しかしそれならば同じ打者で比較した時にOPSが大きく低下するはずである。それが起きていないことから打者層のレベル低下よりも影響が少ないと考えられる。
つまりは
NPBに「ボールを戻せ」、「低反発球に変えたことを公表してほしい」、などと言っても無意味だ。
実際ボールはずっと規定の数値のものを使用している可能性が高く、NPBとしても対応のしようがない。
打低環境を嫌うならば「打低がひどすぎるので反発係数の規定を見直してほしい」こう主張するべきである。
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