法律の知識を身につけた瞬間
──伊東選手の件も松本氏の件も双方主張が真っ向から対立しているので、これ以上踏み込まないが、あなたは普段どのようなことをしているのか。
「多いのは何らかの問題のある人物に対して被害者から依頼を受けて、事案を解決する。まあ誰かのトラブルを仲裁に入って解決して、その結果として報酬を得ているので事件屋みたいなもんですかね。相手は詐欺師だったり、悪徳ホストだったり、基本的には悪い奴らが多い。
相手が悪いことをしていると十分確認できたら、こっちもある程度手荒なこともします。ある時は女性を騙して多額の売掛を作らせていた悪徳ホストを捕まえて、真冬に道路上に真っ裸で放置してきたこともあります。そいつらは自分が悪いことをしていると自覚しているので、まず被害届は出さない。
それに詐欺師などから債権を回収するのは弁護士法違反の非弁行為に当たるので、あくまでも当事者間で金銭的な問題は解消させるようにして、報酬は別の形で受け取るとか戦略的にやっています。実際、これまで強要未遂とかで逮捕歴は多いですが、起訴されたことは一度もありません」
──法律の知識が豊富だが、どこかで身につけたのか。
「中央大法学部に通っていたので。僕は東京都立の偏差値40台の高校に通ってたんですが、高2で喫煙がばれて停学になった。その停学明けに喫煙を学校にチクった同級生に暴行して今度は退学になってしまった。それで高校2年生で通信制高校に転校しました。大検を取得後に、思い立って予備校に通い、中央大法学部に合格しました。ただ、うちは学費も出してもらえなかったため、すぐに学費の安い同じ中央大法学部の通信制に入り直しました」
「法律を学ぼうと思った大きな理由の一つは、いろいろ世の中の理不尽を感じたからです。たとえば、高校時代にアルバイトしていたコンビニでレジ打ちをしていたら売り上げと実際にレジにある現金の計算が合わないことがあった。店長は店に損害を与えるわけにいかないので、アルバイトの責任だと言って不足分を僕らアルバイトに補填させるという明らかにおかしい運用をしていた。
郵便局のアルバイトでは、配達用の原付バイクに乗っていて飛んできたハトをひいてしまったことがあった。僕はその場で郵便局の上司に電話して確認したら、『そのまま配達していいよ』と言われた。でも、その後に郵便物にハトの血がついていたらしく、届け先からクレームが来た。そしたら、配達していいと言っていた上司に『お前の責任だ』と叱責された。そういうことが積み重なって、なんだ、この理不尽な世の中はと怒りを感じた」