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俺は星間国家の悪徳領主! 作者:三嶋 与夢
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【幕間】 ニアス頑張る

 リアムが経済制裁を受けたときの話だ。


 リアムが懇意にしている第七兵器工場では、取引に際して帝国から色々と注文をつけられていた。


 バンフィールド家から注文を受けたら、税を上げろ。

 バンフィールド家からレアメタルを買うな。

 バンフィールド家からの注文は後回しにしろ――とにかく、細かい指示が来た。


 これに対してニアスは冷めた顔をする。


「うちの上客はバンフィールド伯爵家だけよ! 注文なんて後回しにするほどこないのよ」


 性能を突き詰めた兵器を製造する第七兵器工場は、帝国内では人気がない。


 リアムの機動騎士であるアヴィドの開発元だからこそ、リアムがこれまで取引を行ってきたのだ。


 今更、帝国に言われたので冷たくします! なんて言えば、第七兵器工場の経済的な損失は計り知れない。


「そもそもレアメタルとかこっちに回してくれないじゃない! お金があれば、すぐに人気の兵器工場に注文する癖に!」


 腹立たしいことこの上ない。


 そんなニアスを見ていた後輩が、これからについて尋ねた。


「どうします? バンフィールド家に要塞級を年内に三隻納品することになっているんですが?」


 第七兵器工場にしてみれば、支払いも渋らずに継続的に購入してくれるリアムは一番のお客様だ。


 今更切れない。


 切ったら、第七兵器工場が終わる。


「――通達が来る前の注文にまで指図されるいわれはないわ」


「でも、今日は一千隻用意しろ、って注文を受けたばかりですよ」


 セドリックのために用意する艦艇だ。


「――軍に送るなら、名義は軍にすれば?」


「いいんですか?」


「良くないわよ。良くないけど、伯爵を切ったら私たちが詰むのよ!」


 ニアスがここまでリアムにこだわるのにはわけがある。


 それは、ニアスが開発を進めている次世代艦にあった。


 趣味全開で試作艦を建造しようとしたら、レアメタルの使用量がとんでもない数字になってしまった。


 それだけのレアメタルを用意できるのは、帝国ではリアムくらいだ。


 レアメタルを保有している貴族は多いが、趣味にそれだけの量を出してくれるのはリアムしかない。


 個人的にも絶対にリアムを切れなかった。


「先輩――自分の戦艦を完成させるために、無茶しすぎですよ」


「私はこの子に人生を賭けているの! 絶対にこの計画は実現してみせるわ!」


 ニアスが開発中の戦艦は、第七兵器工場の技術の粋が集められたものだ。


 絶対に完成させたいと思っている。


「本当にいいんですか?」


「悪いけど、どうしようもないわ。それに、状況だってどうせすぐにコロコロ変わるわよ。毎回真面目に対応していると、馬鹿を見るわよ」


 この広い帝国では、このようなことは珍しくない。


 絶大な権力を持っていたバークリー家だって、あっさりリアムに滅ぼされたのだ。


 状況など簡単に変わってくる。


 すると、ニアスのもとにリアムからの連絡が入ってきた。


「あ、リアム様~」


 猫なで声で通話に出るニアスは、リアムにお願いをするのだった。


「ニアス、レアメタルが欲しいの~」


 そんな先輩の姿を見た後輩は、どこか遠い目をしている。


 画面の向こうにいるリアムも呆れていた。


『この前に送っただろうが』


「追加で欲しいんです! 新しい技術を試したいんですぅ!」


『お前はいつも――まぁ、いい。追加で送ってやる。それより、要塞級の建造はどうなっている?』


「そちらでしたら、既に六割ほどまで完成していますよ。同時に三隻の建造となると、やはり人手が足りませんね」


『こっちも人手不足だ。少し遅れるくらいで丁度良いか』


 リアムはニアスに、アヴィドについて確認するのだ。


『それより、アヴィドの様子はどうだ?』


 マシンハート――それを搭載したアヴィドの精密検査を、第七兵器工場に依頼していた。


 ニアスが真面目な顔になる。


「問題はありませんが、個人的には実に面白い、という評価になりますね」


『面白い?』


「機動騎士として問題なく扱えると思いますが、マシンハートが徐々にアヴィドを侵食しています。いえ、神経を張り巡らせていますね。ゆっくりと融合して、完全に一つになろうとしています」


『大丈夫なのか?』


「問題ありません。性能はむしろ上がっていますよ。今後も上がるでしょうし、成長する機体だと考えてください」


『浪漫だな』


「あ、分かります? そう、浪漫です!」


 二人はアヴィドの話で盛り上がり、そして追加のレアメタルを受け取ることで話がついた。


 会話が終わると、後輩がニアスに問う。


「いいんですか? 伯爵からレアメタルを買っても?」


「あら? 違うわよ。今回のレアメタルはもらうの。つまりはタダよ!」


「――代わりにアヴィドの検査をしたじゃないですか。それにしても、伯爵も凄いものを見つけてきますよね。マシンハートなんて、伝説の代物ですよ」


「そうよね。使う前に教えて欲しかったわ。マシンハート――見たかった。そして、調べたかった。ついでに分解してみたかったのに」


 後輩はそんなニアスに――同意した。


 彼女も同類だった。


「ですよね!」


ブライアン(´;ω;`)ノシ「五章はここまでとなっております。皆様、今章もお付き合いいただきありがとうございました。六章はまだ未定ですが、いつかまたあう日まで」


若木ちゃん( ゜∀゜)「まだよ! 私の活躍はまだ終わらない! 面白かったと思ったら、感想やコメントをお願いね! 評価もよろしく! 苗木ちゃんの活躍をもっとみんなで宣伝して――」


(´;ω;`)r鹵~<≪巛;゜Д゜)ノ ウギャー

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