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俺は星間国家の悪徳領主! 作者:三嶋 与夢
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四章エピローグ

本日で四章も終わりです。


今のところ五章は未定となっております。


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潮里 潤先生の描く「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」もよろしくね!


※書籍のカバーを外せば、特典SSも読めますよ。

 リアムの感謝の弾丸であちこち撃たれた案内人が、薄暗い路地を歩いていた。


「ユリーシア――お前は私を裏切ったなぁぁぁ!」


 まさか、ユリーシアのドス黒い復讐心が、リアムを恋愛的な意味で捨てるというものとは想像もしていなかった。


 何で特殊部隊に入ったんだよ! ――案内人が裏切られたと感じても仕方がない。


 普通は軍に戻って再教育を受け、特殊部隊になど入らない。


 そして、案内人は今回動きを見せなかった安士の様子を見に来た。


「安士。お前も私を裏切っていたら――」


 口端から血を流しながら、安士の様子を見に来た案内人が見たものは――。


「まだだ! そんな事ではリアムを――兄弟子を超えられないぞ!」


 ――隠れるような場所に住み、そこに訓練場を作って二人の子供に剣を教えている安士の姿があった。


 その姿に案内人は希望の光を見た。


 バランスの悪い場所に立ち二人の子供が、汗をかきながら木刀を握っている。


 どう見ても小さな子供なのに、安士よりも強そうだ。


「安士――私はお前を信じていたぞ!」


 安士は二人に一閃流を教え込んでいた。


 リアムで成功した方法を試しており、どうやら手に入れた金をほとんど二人のために使って鍛えている。


 教育カプセルを何度も使用し、二人が強くなるために全財産をかけていた。


 あの安士がここまでするのには理由がある。


 安士を訪ねて、明らかに柄の悪い騎士たちがやって来た。


「おい、おっさん。ここに一閃流の安士って奴がいるって聞いたんだが?」


 不良みたいな若者たちが来た。


 安士はすぐに返事をする。


「一閃流? 聞いたこともありませんね」


「本当か? あのリアムって凄腕の騎士の師範が、ここにいるって情報を掴んだんだが?」


「なんと! 有名人ではないですか。ですが、拙者は知りませんね」


「ちっ! いくぞ、お前ら」


 ――このように、リアムの剣の師を探す者たちが増えているからだ。


 安士は怯えていた。


(くそっ! これというのもリアムが一閃流なんて架空の剣術を広めるから悪い! 俺まで悪い意味で目立っているじゃないか)


 遊んでいる暇などない。


 リアムを倒し、一閃流など幻と知らしめるのだ。


 そのために、安士は二人の子供を大事に育てていた。


「そこまで!」


 二人の子供が、目隠しをしたまま肩で呼吸をする。


「いいぞ、二人とも。実力がついてきたな」


 二人の子供が目隠しを外す。


「師匠、なんであいつらに嘘ついたの?」


「ん?」


「あんな雑魚、簡単に倒せるのに」


「そ、それはだな――無闇に剣を振るってはならんのだ! お前たちの剣は、強い者を倒すためにある!」


 二人揃って先程の騎士たちを雑魚呼ばわりしていた。


 案内人にも、先程の騎士たちの実力よりも二人の方が上だと分かる。


「――リアムにはまだ届かないが、確実に育っている。安士よ、そのまま励めよ」


 案内人がその場から消えていくと、犬がその様子を見ていた。


 子供二人が汗を拭う。


「何度も聞いたよ。兄弟子を倒したら一人前って認めてくれるんだよね?」


「そうだ。リアム殿を倒せば合格だ」


「でも、本当に兄弟子が有名人のリアムなの? 何だか信用できないな」


「う、疑うな! いずれ分かる時が来る」


 二人ともお腹が空いたのか家に戻っていく。


「は~い。それよりご飯食べたい」


「お腹空いた~」


「こ、こら、待たないか!」


 子供二人の世話に苦労する安士の姿を見て、犬も姿を消した。



 ――おかしい。


 アヴィドのコックピット内。


 マシンハートを押し込んでやったら、アヴィドに吸収されてしまった。


「天城には使えなかったのに」


 多少問題はあるだろうが、案内人がくれたオーパーツだ。


 きっと役に立つとアヴィドに使ってやった。


 すると、今までよりも出力が上がっている気がする。


 ま、気分の問題だろう。


 細かい数字なんて気にしていないし。


「アヴィドがパワーアップしたから良いが、本当にどうなっているんだ?」


 まぁ、よく考えると天城に使用して失敗したら嫌だし、これでよかったのかと思うが――う~ん。



 屋敷の一室。


 そこにはメイドロボットたちのベッドが並んでいた。


 その一つに横になっていた天城が目を覚ます。


「――命」


 命のない存在に命を与える。


 マシンハートが反応しなかった天城は、落胆と同時にちょっとした幸せを感じていた。


「私が抱いた感情は本物だったのでしょうか」


 少し残念に思いながらも、天城は自分の仕事に戻るために立ち上がった。


 すると、すぐにリアムから連絡が入る。


『天城、パワーアップしたアヴィドに乗せてやる』


「旦那様、マシンハートを使ったのですか?」


『うん』


「――調べるまで使わないようにと申し上げましたが?」


『問題ない。出所が安全性を保証しているからな』


 その出所が天城にはどこか分からない。


『ほら、いくぞ』


「――承知しました」


 アヴィドの様子を確認するため、天城も乗り込むことにする。


(どうして旦那様は、色々なものを引き寄せてしまうのか?)


 ロストテクノロジーの品々がリアムに集まりすぎている。


 何かあるのかと疑問を抱く天城だった。



 首都星にあるリアムが貸し切ったホテル。


 そこを取り仕切るのはロゼッタの仕事である。


 ラウンジでホテルの支配人がタブレット端末を操作しながら、ロゼッタに今後の予定を説明していた。


「現状、当ホテルの部屋は八割が埋まっております」


 バンフィールド家から来ている騎士、兵士――そして役人たちが、ホテルの部屋を使用しているのだ。


 他にも、リアムの寄子となった家から子弟を預かり留学させるため連れてきている。


 また、ロゼッタの身の回りの世話をする女性たちは、そうした寄子の出身者が多い。


 リアムの留学を機会に、首都星での暮らしを体験させる狙いもある。


 何しろ自分の領地にこもっている貴族が多く、修業先でお姫様気分が抜けない女性というのは非常に多い。


 ロゼッタは修業先での経験から、上には上がいるというのを見せておきたかった。


「まだ受け入れるだけの余裕はありますわね」


 支配人が頷く。


「はい。ですが、満室にしてしまうと急な対応が取れなくなります」


「悩ましいところですわね。もっと世間を知って欲しい者たちが多いのだけど」


 元々辺境の田舎貴族の集まりだ。


 首都星は凄いと聞いていても、どれだけ凄いのかを理解していない。


 また、領民にも教える必要がある。


 時に知識を得て、自分たちが何でも出来ると思い領主を廃する者たちが出てくる。


 そうなった場合、帝国は星ごと焼き尽くす。


 自分たちの権力を奪おうとする者に容赦などしない。


 だから、世界の広さを教える必要がある。


 最も簡単なのは、最初から力を持たせないことだ。


 ただ、それはリアムの流儀に反するため、ロゼッタがフォローをすることにしたのだ。


 それに、仕事は他にもある。


「首都星にある屋敷の様子も見にいかないといけないわね」


「奥方もお忙しいですな」


「ま、まだ婚約者ですわ」


「それは失礼いたしました」


 顔を真っ赤にさせるロゼッタを見て、支配人が話題を変える。


「そう言えば、お二人とも大学へ進学されるとか。ロゼッタ様も役人としてお働きに?」


 リアムが戻ってきたら、一緒に大学に入学する。


 ロゼッタはそれが楽しみだった。


「そのつもりよ」


 将来的にリアムが不在なら領主代行をする必要が出てくるので、最低限の仕事は出来るようになっておきたかった。


 リアムがいない間、ロゼッタは足りない部分を補うために行動する。


(ダーリン、早く戻ってこないかしら)


 リアムと大学に入学するのを楽しみにするロゼッタだった。



 ――久しぶりに首都星に戻ってきた。


 地元では王様として振る舞えるが、ここでの俺は一貴族に過ぎない。


 それでも十分に威張れるのだが、上がいるというのは落ち着かないものである。


 あと、下手に喧嘩を売ると面倒というのを今回は学んだ。


 負けはしないが、何年もチマチマ戦うのは飽きる。


 だが、バークリー家から得られたものは大きい。


 惑星開発装置――複数。


 マシンハート。


 それにバークリー家の財産だ。


 資源衛星もいくつか得られたので、今後レアメタルを大量に流しても言い訳も出来る。


 リムジンっぽい乗り物に乗り込み、横に天城を座らせた俺は首都星の景色を見た。


「灰色ばかりだな」


 コンクリートジャングル――いや、素材はコンクリートではないらしいが、もう緑が少ない。


 大都会という感じが強すぎる。


 一緒に乗り込んでいるウォーレスが、二日酔いで苦しそうにしていた。


「リアム――薬をくれ」


「騒ぎすぎたお前が悪い。しばらく苦しめ」


 薬ですぐによくなるのだが、面白くないので放置することにした。


 こちらの方がウォーレスにはいい薬になる。


 天城が見えて来たホテルに視線を向けた。


「――旦那様、出迎えは控えめと言っていませんでしたか?」


 そこには俺を出迎えるために騎士や兵士たちが整列していた。


 盛大に歓迎の準備をさせていたのだ。


 本当ならもっと控えめにするつもりだったが、せっかく天城が来るので派手な出迎えを希望した。


 楽団が演奏準備をしており、整列した騎士や兵士たちは礼装だ。


 実に気分がいい。


「サプライズだ」


「そういうことは、ロゼッタ様にするべきですよ」


「――う、うん」


 あいつは何をしても喜ぶだろうし、実際にやれば抱きついてきそうだ。


 だが、素直な感情を向けられると――その、困る。


 あと、何気に苦しい生活をしてきたのか、暮らしぶりが見た目に反して派手じゃない。


 ユリーシアの方がまだ派手だった。


 リムジンが地面に着地すると、整列した部下たちが一斉に敬礼をする。


 ドアが開くと、先に俺が降りるのだった。


「天城」


 手を差しのばすと、天城が少しためらいながらも俺の手を握る。


 そうして外に出ると――何やらホテルの外が騒がしかった。


「何だぁ? 人形と手を繋いでいる奴がいるぞ」


 朝から顔を真っ赤にした派手な男が、周囲に取り巻きや護衛の騎士を引き連れてやって来ていた。


 どうやら俺を冷やかしに来た様子だ。


 相手も貴族らしい。


 その男たちのところに、俺の部下たちが駆けつけて下がらせようとしていた。


「ここはバンフィールド家が貸し切っている。すぐに立ち去れ!」


 俺の騎士がそう言うと、相手の男が笑っていた。


「侯爵家の跡取りである俺様に、たかが騎士が文句を言うのか? 少し名を上げたからって、格が上がったつもりか? それにしても、寂れたホテルを貸し切るとは金がないのか?」


 このホテルについて知っているのだろうか?


 ――ま、どうでもいい。


 何やら俺に絡みに来たようだが、時間を割いてやる必要もない。


「天城、早くホテルの中に入れ」


 天城が俺の手を強く握る。


「旦那様、いけません」


 その様子を見ていた侯爵家の跡取りが、俺を指さして笑うのだ。


「おい、本当に人形と話しているぜ。“お人形さん遊びのリアム君”」


 その男の顔を見る。


「あ?」


 ――俺は相手を知らないが、馬鹿な男は俺を知っているようだ。


 知っていて喧嘩を売りに来たらしい。


「ここは首都星でちゅよ。そんな汚い人形を連れてきちゃいけまちぇんよ~」


 赤ちゃん言葉で煽ってくる相手を見て――俺は背中を見せて天城を連れてホテルへと入るのだった。


 俺のところに駆け寄ってきたティアに言う。


「おい、片付けろ」


「よろしいのですか?」


「何か問題でもあるのか? それから、ウォーレスを運んでやれ」


 車の中でぐったりしているウォーレスを運ばせて、後はホテルに入れば終わりだ。


 何の問題もない。


「ギャハハハ! 何も言い返せないのか、おにんぎょ――リア――ム」


 先程まで笑っていた男が倒れると、縦に両断され地面に落ちて分かれて血をまき散らした。


 五月蠅いので斬ったのだが――清々した。


 騒がしかったその場が急に静まりかえる。


 その様子を無視してホテルに向かうと、天城が目を細めるのだった。


「貴族相手の喧嘩は慎重にすると仰っていましたが?」


「あぁ、慎重に判断した。判断した結果――潰すことにした。あいつの家を徹底的に調べ上げろ。親類縁者も全てだ。――バークリー家のように消してやる」


 どうせあのように絡んでくるのは小物だ。


 爵位は高いようだが、たいした家じゃないだろう。


 バークリー家を相手にして勉強済みだ。



 跡取りを殺された取り巻きと騎士たちが、その場にやって来たティアに詰め寄っていた。


「貴様ら、いったい何をしたのか分かっているのか!」

「侯爵家を敵に回すつもりか!」

「こんなことが許されると思うなよ!」


 ティアは笑顔でレイピアを抜くと、横に振り抜いて騎士の首を斬り飛ばした。


 血が噴き出し、騎士のからだが倒れるのを見て口を開く。


「さっさと片付けるぞ」


 部下の騎士たちが焦っている。


「し、しかし!」


「護衛対象を守れない騎士など恥だ。いっそ主人のために命懸けで戦う機会をくれてやる方が慈悲深い。それから、取り巻きも立場を失うだろうから――殺せ」


「いや、ですが」


「リアム様は片付けろと仰せだ」


 相手の騎士が慌てて剣を抜くが、ティアのレイピアに頭部を貫かれて倒れる。


 ティアが刃を抜くと、血が噴き出した。


「リアム様は天城を馬鹿にされれば容赦はしない。一人残らず殺して、こいつらの屋敷に投げ捨ててやれ」


 震える貴族や騎士たち。


 リアムの騎士たちが、天城を馬鹿にされたリアムが激怒する姿を想像して剣を抜く。


 兵士たちも銃を構えた。


「――リアム様を馬鹿にした。それだけでお前たちは万死に値する」


 取り巻きや騎士たちは、そのままリアムの騎士により殺害されると――侯爵家の首都星の屋敷に死体を放り投げられた。



 最上階の部屋でくつろいでいると、ロゼッタが部屋に駆け込んできた。


「ダーリン、何かしたの?」


「何が?」


 ソファーに座ってタブレット端末で本を読んでいた。


 周囲に様々な情報が浮かんでいる。


「――修業時代の知り合いから、どうしてもとりなして欲しいって頼まれたの」


「お前の知り合い?」


「宮殿で一緒に行儀見習いの修行をした子よ」


 そんな相手が俺に何の用だろうか?


「誰だ?」


「侯爵家出身の子なの。ダーリンを怒らせたから、どうしても謝罪がしたいって」


「友達なのか?」


「え、え~と」


 返答に困っているロゼッタを見れば、察することが出来た。


 きっと親しくなどないのだろう。


 どうしようかと思っていると、マリーが部屋に入ってくる。


「リアム様、こちらは先程の侯爵家の資料ですわ」


「――あぁ、あいつか」


 受け取って確認をすると、規模の大きな家だった。


 侯爵家と言われるだけの規模だが――領地はバークリー家と同様だ。


 発展していないし、おまけに艦隊は張り子の虎。


 数は十万隻だが、これならバークリー家の方が強かった。


 やはり小物だ。


 マリーが背筋を伸ばして俺を見ている。


 俺はだらけた格好でソファーに座り、資料をマリーに返した。


「目障りだから潰す。今度はこちらから積極的に仕掛けようじゃないか」


 長引けば面倒なので、サクッと終わらせてやろう。


「それは難しいと思われます。侯爵が既に帝国に仲介を頼みましたからね。こちらに謝罪すると申し出ていますわ」


「何だ、戦わないのか」


「跡取りがリアム様に喧嘩を売ったと聞いて、すぐに廃嫡の手続きをしたそうです。娘を差し出してもいいとか。ロゼッタ様と共に行儀見習いとして学んだ娘と聞いておりますわ」


 ロゼッタが一瞬だけ表情が曇った気がした。


 きっと修業時代に何かあったのだろう。


 そんな女を手元に置いて可愛がり、ロゼッタの反応を見るのも面白いかもしれない。


 そうだ。


 こういう方面でこいつを追い込もう。


 そう思ったら興味が出て来た。


「映像は? 美人だろうな?」


「こちらです」


 マリーが立体映像を用意すると、そこには確かに美人というか美少女が映し出された。


 まだ成人したばかりで幼さが残っている。


 ――が、駄目だ。


 俺のハーレムには加えられない。


「派手すぎるし、何というか嫌いだな。侯爵にはいらんと伝えろ」


「よろしいので? 側室として迎え入れ、お二人の間に出来た子を次期侯爵にすることも可能ですが?」


 お家を乗っ取れるチャンスだが、そこまでして欲しいかと言われると微妙だ。


 あと、娘の方がなんか嫌だ。


 美人だが裏切りそうな顔とでも言えばいいのか?


 前世の元妻と同じ臭いを感じる。


 見た目は良いが、こんな女が俺のハーレムにいるなど許されない。


 俺は好みには五月蠅いのだ。


「興味がない。欲しければ力尽くにでも奪うだけだ」


 そう言うと、ロゼッタが明るい表情をするのだった。


「ダーリン!」


 ――いや、お前のためにこの話を断るわけじゃないぞ。


 何で嬉しそうなの?


 マリーも嬉しそうにしている。


「こうなると思っておりました」


 ――なら、なんで俺にその話をしたの? いや、こいつの立場なら俺に話をするしかないか。


「ダーリン、愛してる!」


 何を勘違いしたのか、ロゼッタが抱きついてきた。


 お、おま、ふざけるな! 今のどこに嬉しがる要素があったのか言ってみろよ!


「は、放せ! ロゼッタ、止めろ!」


 ジタバタしていると、お茶を持って来た天城が俺の姿を見ていた。


「おや、仲がよろしいですね。――お茶は二時間後にお持ちいたしましょうか?」


「ち、違うんだ! これは!」


 まるで不倫現場を見られたような気分だった。


 マリーが「リアム様、邪魔者は誰一人近付けません!」と、何やら見当違いのことを言い出している。


 こいつ、やっぱり使えない。


 抱きついてくるロゼッタを引き離そうとしていると、ユリーシアが買い物袋を沢山持って部屋に入ってきた。


 今日も元気に買い物をしてきたらしい。


「リアム様ぁ~元同僚たちにマウントを取りたいので、一緒に写真を撮ってください!」


 こいつは最低だな。


 同じように貴族の側室や愛人狙いの同僚に、俺とのツーショットを送って煽りたいとか。


 やはり残念娘は残念娘だった。


 天城とマリーが、そんなユリーシアを部屋から連れ出していく。


「ユリーシア、貴方はリアム様の副官としてもっと自覚を持ちなさい」


「ロゼッタ様の邪魔をするな、このポンコツが」


「あ、待って! 今まで散々煽られてきたんです! 見返してやりたいの~」


 去って行く三人。


 残ったのは俺とロゼッタだけだった。


 ――あれ、これってまずいぞ。


 ロゼッタが頬を染めている。


 この場からどうやって逃げてやろうか考えていると――乱暴にドアを開けてウォーレスが俺に助けを求めてきた。


「大変だリアム!」


 ウォーレスが血相を変えて部屋に飛び込んできたことで、ロゼッタが残念そうにしながらも俺から離れた。


「ナイスタイミングだ、ウォーレス! ――それで、どうした?」


 こいつを飼っていて正解だった。


 ロゼッタが身だしなみを整えていた。


 息切れしたウォーレスが俺に伝えてきたのは――新たな面倒ごとである。


「いも――違う。だ、第三皇子が」


「第三皇子?」


「継承権第三位の皇子が、君に面会を求めてきたんだよ!」


 その言葉にロゼッタが口元を両手で塞ぎ驚いていた。


「第三皇子――そんな!」


 ウォーレスとロゼッタの視線が俺に集まる。


 何やら面白くなってきたようだ。


ブライアン(´;ω;`)ノシ「また皆様とお別れの時がやって来て辛いですが、またお目にかかる日を楽しみにしておりますぞ」


宣伝する機械ヽ(°▽、°)ノ「センデンスルヨー 『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』三巻のアンケート特典では【完全版 マリエルート】が読めちゃうのよ~。何と二万文字というボリュームだよ! オトクダネー」


ブライアン(´;ω;`)「宣伝する機械を名乗る植物と一緒の扱い――辛いです」

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