2008年7月13日(日)06:01
(スポーツニッポン)
【聖望学園8―9大井】今春のセンバツ準V校・聖望学園が南埼玉大会初戦で散った。最大6点差をひっくり返され、まさかの延長10回サヨナラ負け。7回2/3で自責点8と大きく崩れたエース大塚は「甲子園は大きな目標だった。もう一度、(センバツ決勝で敗れた)沖縄尚学とやりたかった」と目を腫らした。
センバツのマウンドで躍動した大塚の姿は最後まで見られなかった。初回に打線から4点のリードをもらったが、生命線のカットボールの制球が乱れた。カウントを取りにいった直球を狙われ、4回までに6失点。継投で相手の反撃を食い止め、同点の8回途中からこの試合3度目のマウンドへ上がったが、10回1死一塁から左翼線を破るサヨナラ打を浴びてセンバツ準V右腕の早すぎる夏が終わった。
今後については「プロでやりたい気持ちもあるけど、今は考えられない」と話すにとどめた。だが「これからは勝つピッチングを身に付けたい」とさらなる高みを目指す姿勢は忘れていない。このあくなき向上心がある限り、夢が現実となる日は近い。
2008年7月13日(日)06:01
(サンケイスポーツ)
52地区で熱戦が繰り広げられ、南埼玉大会では今春のセンバツ準優勝の聖望学園が、初戦の2回戦で大井に延長十回8-9でサヨナラ負けする波乱が起きた。
渾身(こんしん)の力を込めて投げた白球は、頭上を大きく越えていった。延長十回一死一塁、大井の砂永に適時二塁打を浴びてサヨナラ負け。それを見届けると、大塚椋司投手(3年)はグラウンドでひざから崩れ落ちた。
今春のセンバツでは沖縄尚学に0-9で敗れて準優勝。「沖尚にリベンジしたい」を合言葉に大会に臨んだが、昨夏に続き初戦で敗退…。
一回、大塚が適時三塁打を放つなど、一挙4得点。ところが、マウンドでは二回からストライクが入らない。大塚の母、成美さん(45)は「朝だけで3回もトイレに行ったみたい」と息子の緊張を肌で感じていたという。勝たなければならないという重圧があったのか、本来のピッチングとはほど遠く、四回以降はマウンドと一塁を2往復。点差はみるみるうちに縮まり、七回についに同点とされた。
八回一死二塁で再びマウンドに上がったが、最後まで自分らしい投球を見せられなかった。「自分のピッチングができなかった。最高のチームだったのに」。大粒の涙がほおを伝った。
試合終了後、「ごめんな。ごめんな」とおえつを漏らしながら選手一人一人に謝った。そんな大塚の肩をたたいて慰めたのは、グラウンドで泣き崩れたエースに手を差し伸べた原茂走捕手(3年)だった。小学生からバッテリーを組んできた二人の、あまりにも短い高校3年の夏が終わった。
| 2008年7月13日(日) |
強い心で大金星 大井―聖望学園 高校野球南北埼玉大会・第4日 |
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大井 9―8 聖望学園 失うものは何もなかった。エース伝法谷を除いた先発メンバーは全員2年生。若さあふれるチームが最大6点差をひっくり返し、選抜大会準優勝の聖望学園に延長十回サヨナラ勝ち。夏の舞台で伸び伸び野球を貫いた。主将の滝沢は「楽しくやろうと言っていた。最後まであきらめなかったのが勝因」と胸を張った。 試合前、丸山監督は「センバツ準優勝校とやれるのはいい経験。思い切りやってこい」と言って送り出した。その言葉をナインは物の見事に実践してみせた。全国屈指の投手の球を打てる―。狙い球は直球。最速146キロの球を打つため、チームは事前に打撃投手を3、4メートル手前に置いて打ち込む大塚対策に心血を注いでいた。 その努力がこの日結実。6点を追う四回二死から5連打で4得点。一気に流れを引き寄せた。その後は左腕伝法谷が無失点に封じ、勝利への足場をつくった。 そして8―8で迎えた延長十回一死一塁。打席に立った砂永は思い出していた。あの悔しさを。秋春ともに地区大会で延長の末に敗れた。「今度こそ」。その思いは強かった。カウント0―2。3球目の内角直球を振り抜き、打球は三塁手の頭を越え大金星を手にした。「自分がヒーローじゃなくてみんながつないでくれたから」と砂永は笑う。 伝法谷は「苦しい状況でも笑顔でやれれば何とかなると思っていた。この流れで次もいきたい」と力強い。勢いに乗った若いチームから目が離せなくなってきた。 想定外の展開に弱さ 「ワンマンチームの弱さが出た」。聖望学園の岡本監督は力なくこうつぶやいた。春は大塚で勝ち、夏は大塚で負けた。この日は序盤に大量点を奪った。必勝パターンのはずだった。だが頼みのエースは10安打を浴び8失点。甘く入った直球を狙い打ちされ、最大6点差のリードを守り切れなかった。指揮官は「大塚があそこまで崩れるとは思わなかった」と想定外の展開に首をかしげるしかなかった。 大黒柱の不調は明らかにチームに波及し、焦りへとつながった。四回までに9安打を放ったチームは五回以降、散発4安打。好機に一本が出ず、一度失った流れが戻ることはなかった。 岡本監督は試合前に言っていた。「春、初めてセンバツという扉を開けたら、また次の扉があった。その扉を開ける挑戦をしないといけない」と。だが、その扉はあまりに大きく、重かった。
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