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「がっかり名所」返上へ――。札幌市時計台(旧札幌農学校演武場)、オランダ坂(長崎市)とともに「日本三大がっかり名所」と呼ばれる高知市のはりまや橋で、観光客を
ツルツルの黒い頭にギョロリとした目、むき出しの歯。「はりまとやばし」の2体が現れたのは1年前の1月2日。当初は気味悪がられ、無視もされたが、SNSなどで「キモカワイイ」と人気が上昇。今では各地のイベントに出演する。
「『もうがっかりと言われるのは嫌だ』と怒って出てきた双子の妖精で、見た目は怖いけど優しい心の持ち主」。経営する同市のカフェで、「はりま」の下尾仁さん(54)は約10年前に描いたというイメージ画を見ながら語った。
下尾さんは劇団でも活躍。店で2か月に1度、イベントも行う。それを知り3年前から訪れるようになったのが「やばし」の介護福祉士・岡上雄也さん(35)。着ぐるみ姿でひたむきな芸を見せる岡上さんを見て、下尾さんは妖精のことを思い出し、相方にと持ちかけ、コスチュームを手作りした。
休みの合う時に橋に行く。昨秋にはご当地キャラのイベントなどに引っ張りだこ。活動費に充てようとキーホルダーなどを作ると、愛知や沖縄からの観光客が購入しに店までやってきた。
「小さな橋からいっぱいの笑顔を届け、面白いスポットに変えていきたい」「もっとパフォーマンスを磨き、地域貢献する」。2人は力を込める。
昨年11月末、高知大学地域協働学部の学生4人が、橋周辺の観光客を「勝手にガイド」した。「中心市街地活性化論」の授業での取り組み。約10組に声をかけ、橋の歴史を説明しながら案内すると、観光客は「印象が変わった」「面白い」と喜んだ。
講師の今城逸雄さん(57)は「がっかりと言いながらも写真を撮っていく観光客は多く、十分にポテンシャルがある。10年ほど前から、何か生かせる方法はないかと考えていた」といい、2年生の学生(20)は「『全然がっかりじゃない』と言ってもらえたのがうれしい」と手応えを感じた。
岡田さんらはJR四国と連携し、はりまや橋周辺の案内を盛り込んだツアーも企画。案内役は「はりまとやばし」にお願いするつもりだ。
下尾さんや今城さんらの10年来の思いが今なぜ、動き出したのか。「妖精」の不思議な力を感じた。(上田昌義)
時代に合わせ姿変化
現在の朱塗りの木製橋は、1998年に周辺の公園整備に伴って造られた。元々は江戸時代、堀川沿いに向かい合う播磨屋と