返信させてもらいましたが、この件も典型的な誤解を含んでいる可能性がありますので、リポストで一般の方にも知っていただけるようにします。
私のプロフィールのはんだ付け接合部の拡大写真をご覧いただいた方は、はんだ付けがスズと銅の合金層で接合されているのは理解いただけたかと思います。
要は、溶接とはんだ付けは接合原理がまったく違うのですが、どちらも金属を融かして固めることでと、見た目に似ていることから混同されがちです。
合金層は、簡単にモデル化するとこのようになっています。
緑色の帯のところが合金層です。スズと銅の互いの原子が移動して(拡散といいます)混ざり合って共有結合することで合金層が形成されて接合されています。
実は常温でも合金層の成長は進み続けます。(絶対零度に対しては、十分に温度が高い状態なので)
原子は、絶対零度でないとエネルギーを持っていて振動しています。
ここへハンダゴテで熱エネルギーを与えると、スズは振動が激しくなりすぎて結合力が緩くなり、液体のようになるわけです。(数秒で合金層が形成されます)
もし、スズと銅のブロックがあって、表面の酸化膜を完全に除去した状態で引っ付いた状態で置いておくと、時間の経過とともに合金層が形成されてはんだ付けされる・・と言われております。(どれくらいの時間が掛かるのかは気温次第ですが、常温でも接合される)
上のモデル図を見ていただくと、原子が移動した後には、原子間空孔という原子の抜けた穴が出来ています。
これがたくさんできると、合金層は脆くなっていきます。
高温の環境下では、たとえはんだが融けなくても、合金層の成長は進んでいく(ニョキニョキと木のように成長します)ため、次第に接合部は原子空孔がたくさん出来て脆くなってしまいます。
完全なはんだ付けでも20年も経つと、たとえ常温の環境下でも、やはり脆くなって外れてしまいます。(電気製品には寿命があります。古い電気製品の修理で再はんだ付けを行うのはこのためです。)
私の記憶では、70~80℃以上の高温環境では、はんだ付けの寿命は著しく短くなり、5年ももたないと学んだように思います。
なので、はんだの融点以下でも高温の環境では、はんだ付けの寿命は短くなってしまうため、接合方法をはんだ付けに頼ってはいけないことになります。
これは、溶接とは大きく異なる点です。
引用
thskk-kuro@outlook.jp
@KuroThskk
返信先: @Godhanda13さん
この件からは外れますが、教えて下さい。はんだの使用温度範囲についてです。はんだ付け強度が維持されると考えられる温度は何℃でしょうか。パワエレでは使用環境が高温になって来ています。融点217℃の鉛フリーはんだは何℃まで使用可能でしょうか。110℃でしょうか。140℃まで行けますか。
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