▼圓城菫 鬼殺隊入隊直後▼
じいやはのんびりと緑茶をすすっていた。お嬢様も最終選別を無事に終えたらしく、一安心だ。自分もそろそろ日雇いの仕事ではなく、きちんとした仕事を見つけようか…。
「じいや!見てくださいな!」
そして、上機嫌で家に帰ってきた圓城を見てじいやは
「ブーっ!!!!」
とお茶を吹き出した。圓城の隊服は上は普通だった。問題は下のスカートだ。長めのスカートではあるが、横に大きく切れ目(スリット)が入っている。太腿どころか、もう少しで下着も見えそうだ。
「お、お嬢様…」
「素晴らしいでしょう?これで私も鬼殺隊の一員ですわ」
「え、ええ。はい。そうではなくて、いやそうなんですけどーー」
思わずしどろもどろになってしまうじいや。
「?どうかしましたの?」
「お、お嬢様。このじいや、鬼殺隊の服はそんな服じゃなかったと記憶しているんですが…」
「でも、縫製係の隊員さんが、これで完璧だとおっしゃっていたわ」
「……」
圓城菫は、世間知らずで温室育ちで箱入り娘で人を疑うことを知らなかった。
「…お嬢様、そのスカートではお風邪をひいてしまわれます。じいやが直しましょう」
「え、でもいいのかしら、そんな勝手に……」
「心配ならば、私から鬼殺隊の方に言いますゆえ」
「そ、そう…?それなら…」
なんか今日のじいや怖いと思いながら、その気迫に負け、圓城は隊服を脱いでじいやに渡した。
その後、じいやは単身で鬼殺隊の隊服縫製係・前田まさおの元へ乗り込んだ。
「これはどういう事でしょうか?」
「いや、あの新しい隊員の方は下半身の体形が素晴らしかったので、これで完璧なのです」
「……」
「残念ながら、胸部の方は控えめでしたので、こちらの方を強調していただければーー」
シュッ、ボオっ
じいやが無言で隊服を燃やした。
「ああああっ、チクショオぉぉぉ!」
前田の悲しみの悲鳴が響き渡った。その後泣く泣く普通の長めのスカートを用意し、無言で怒りを強調するじいやに手渡した。
▼無限列車直後▼
「…というわけで、以前の隊服もボロボロですし、お嬢様の新しい隊服を作っていただきたいのです。できるだけ義足が目立たないように」
「承知しました」
じいやは前田をジロリと睨む。
「言っておきますが、以前のようなスカートは無しです。普通でお願いしますよ」
「ええ、ええ、もちろん。ドンピシャなのを作らせていただきますよ」
じいやは不安を抱えながら、前田に隊服を依頼した。
その数日後、
「こちらが新しい隊服となります」
「ほお、これはなかなかですね」
じいやは出来映えに満足した。洋袴風の隊服だった。上手い具合に義足も目立たなくしてくれそうだ。
「それでは お包みしますねー」
「…いや、ちょっと待ってください」
前田の顔を見た瞬間、じいやの第六感が警報を鳴らした。
「な、なんです?別に普通でしょう?」
「……もう少し見せてください」
「あ、ちょっ、」
じいやがその隊服をやや強引に手に取る。そして、ペラリと服を裏返したとたん、温和な顔が引きつった。
その隊服は背中が大胆に開いていた。
「……」
「……」
シュッ、ボオっ
「もう少しだったのにぃぃぃっ!」
もちろん、その後にきちんとした隊服を用意させた。