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花巻市東和町の「田瀬ダム」内部にある管理用通路を活用し、地元名産のワインを貯蔵する取り組みが11日から試験的に始まった。温度や湿度が変化しにくいダム内はワインの熟成に適した環境で、10年ほどの時間をかけてまろやかな香りや味わいを引き出すという。
試験貯蔵に参加したのは、地元産のブドウでワインを製造する花巻、遠野両市内の4社。光が当たらず、通年で気温が11~13度、湿度が70~90%程度というダム内の通路「監査廊」で、計約2400本を貯蔵する。
1954年に完成したダムは今年10月で70年を迎え、記念事業の一環として実施が決まった。ダムによってできた「田瀬湖」がまたがる花巻、遠野両市と、国土交通省北上川ダム統合管理事務所の3者が11日に覚書を締結し、両市が4社を選定した。
締結式で同事務所の小田桐淳司所長は、約170戸の立ち退きによってダムが完成した経緯に触れ、「地域の方々の協力に報いる活性化に取り組みたい」とあいさつ。花巻市大迫町の「エーデルワイン」の小田嶋善明社長は「国の施設で貯蔵することは話題性があり、付加価値を高める大きなチャンスになる。味わいの変化を確かめながら進めていきたい」と期待した。