事実上の大使館である駐日パレスチナ代表部の公式アカウントがツイートしたのは2023年10月末のこと。当時は反発も少なくなかった。
広島に落とされた原子爆弾リトルボーイは、火薬を使った爆弾16,000トン相当の爆発を起こしました。ここ3週間のイスラエル軍によるガザへの空爆は12,000トンを超えています。
そして通信を完全に遮断し、暗闇の中で民間人を殺戮し続けています。
それから1週間ほどだった11月はじめに、イスラエルの閣僚のひとりがインタビューで問われて原爆投下の選択肢を認めて、さすがに閣内でも批判されて更迭された。
ガザに原爆投下「一つの選択肢」 発言のイスラエル閣僚に批判相次ぐ [イスラエル・パレスチナ問題]:朝日新聞デジタル
発言をしたのは、エルサレム問題・遺産相のエリヤフ氏。地元ラジオとのインタビューで、「原爆を落とすべきか」と問われ、「一つの選択肢だ」と述べた。
そして2024年3月末に、米国共和党の下院議員が「戦争」を早く終結させるため長崎や広島のような爆弾を投下するべきと主張して、比喩だったと釈明した。
「長崎や広島のように」 ガザ衝突の「手っ取り早い」終結、米議員が主張 - CNN.co.jp
米共和党のティム・ウォルバーグ下院議員が、パレスチナ自治区ガザ地区の戦争について「手っ取り早く終わらせるため、長崎や広島のような」爆弾を投下すべきだと発言した。本人は比喩だったと主張している。
SNSに投稿された動画には、ウォルバーグ議員の音声が収録されている。米国がガザの人道支援のために仮設の港を建設する理由について質問された同議員は、これ以上のガザ人道支援はすべきではないと述べ、「我々は人道支援にびた一文使うべきではない」と力説。「ナガサキやヒロシマのようにすべきだ。手っ取り早く終わらせよう」と語った。
念のため、どちらも有力な政治家だとしてもイスラエルや米国の政策を左右するほどではないし、さすがにガザ侵攻を肯定する立場からも失言として処理されてはいる。
しかし、規模や無差別性をわかりやすくするためのパレスチナ代表部のツイートが、それこそ比喩ではなく予言になってしまったような事態に暗澹となる。このようなかたちで先見の明が証明されていいはずがない。