1日1万歩でなくても健康に効果、座る時間が長めでもOK、研究

いつもより少し多めに歩くだけで心血管疾患と死亡のリスクが改善

2024.04.10
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 ただし、着実に続けることが重要だと、氏は指摘する。特に気をつけたいのは、歩数を測る機器を使い始めたときの新鮮な気持ちが薄れてきた後だ。なぜなら、人は自分が観察されていると意識すると、最初のうちは行動を変える場合が多いからだ。数年にわたって人々の活動を追跡した、未発表の研究からは、週末に運動する習慣を始めた人のうち、数週間後に高い活動レベルを維持できていたのは、約半数にとどまっていたことがわかっている。

 ブリテン氏はまた、1人あたりの観察期間が1週間だった今回の研究によって、歩数を増やせば座りっぱなしの習慣による影響を相殺できるかどうかの議論に決着が着くとは考えていない。

「3〜7日間のモニタリングが、数週間、数カ月、数年にわたるその人の典型的な行動を反映していると考えるのには無理があります」ブリテン氏は言う。「一部の人たちではそうかもしれませんが、それが全員に当てはまるとは思えません」

ギャラリー:消えゆく伝説の茶馬古道を歩く 写真8点(写真クリックでギャラリーページへ)
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かつての交易商のように、四川省甘孜(かんし)で購入した茶を徒歩で運ぶ遊牧民。茶色い包みには、1包につきレンガ状に押し固めた磚茶(たんちゃ)が4個入っていて、重さは9キロ以上。チベット人は1日に40杯もの茶を飲むため、この量では1カ月と持たない。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL YAMASHITA, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

「勇気づけられる結果」

 今回の研究では、英国で現在進行中の大規模研究に参加している10万人以上の成人に、精度の高い加速度計(精密な歩数計のようなもの)を配布し、1日24時間、1週間にわたって手首に装着してもらった。そのうち、加速度計を週末の1日を含めた最低3日間、1日16時間以上(睡眠中を含む)着用した参加者7万2174人のデータを分析した。分析した参加者の平均年齢は61歳。研究者らは平均7年間にわたり、心血管疾患および死亡の状況を追跡した。

 分析では、年齢、性別、民族、教育レベル、喫煙の有無、飲酒量、1日あたりの果物と野菜の摂取量、心血管疾患やがんの家族歴、1日あたりの睡眠時間、(糖尿病用の)インスリンや高コレステロール・高血圧治療薬の使用など、参加者間の違いを考慮に入れて調整した。

「より多くの身体活動をしている人がよりよい結果を出した場合、それが活動が多いせいなのか、それとも心血管疾患のリスクを高める糖尿病、高コレステロール、高血圧などの危険因子が少ないせいなのか、判断が難しいこともあります」とガルシア氏は言う。しかし、この研究ではそうした要素も考慮に入れられている。

 アーメディ氏によると、参加者が数年後に活動レベルを大きく変えた可能性については、考慮に入れられなかったという。ただし、研究チームでは2〜4年後に一部の参加者に再び歩数計を着けてもらい、データを検証している。それによると、人々の活動レベルは以前と変わっていなかったという。

 ブリテン氏は、これは全員の活動レベルが一貫して変わらなかったことを意味するものではないと指摘する。しかし、この研究から得られる最も重要なメッセージについては、アーマディ氏と同じ意見だ。

「この研究の主な教訓は、歩数が多いほどよいということ、また、(効果が望める歩数の)下限は、多くの人が考えているよりも低いということです」とブリテン氏は言う。「これは勇気づけられる結果ではないでしょうか」(参考記事:「1日3回、1~2分間活発に動くだけで死亡リスクが4割減、研究」

文=Tara Haelle/訳=北村京子

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