『アザーズ』解説考察|伏線、グレースの正体、チャールズ帰還の意味、キリスト教と地縛霊についてなど | 映画の解説考察ブログ - Part 2

『アザーズ』解説考察|伏線、グレースの正体、チャールズ帰還の意味、キリスト教と地縛霊についてなど

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アザーズ スリラー
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グレースはなぜ子どもを殺した?

グレースがアンとニコラスを殺してしまったのは簡単に言うと、育児疲れで精神が限界に達してしまったからです。

アンとニコラスは生きていた時は本当に光過敏症で、グレースは2人が間違っても日光に当たってしまわないように常に見張らなければならないし、唯一の希望だった夫は戦争が終わっても帰ってくる気配がなく、ストレスの限界を突破してしまったのでしょう。

家事や掃除は使用人がしていたと思われるのでワンオペ育児までひどくはなかったかもしれませんが、子供が日光に当たらないように、勝手に外に出ないようになどずっと目を光らせているのは相当神経を使います。
恐らくグレースは信頼できるような使用人もおらず、孤独を抱えていたのも悲劇が起きてしまった原因だと思われます。

 

夫チャールズはなぜ帰ってきた?

©2001 SOGECINE Y LAS PRODUCCIONES EL ESCORPION.

グレースは霧の中で夫チャールズと感動の再開を果たします。
チャールズはグレースに連れられて自宅に帰り、子供たちと笑顔で再会した後は抜け殻のようにベッドに横たわります。
チャールズが帰宅した直後、ミルズは「旦那は自分の状況がわかってない」と言っていたので、チャールズは帰宅した時は自分が死んだことには気づいておらず、ただ帰りたいという思いだけでグレースと出会えたのでしょう。

その後、ベッドで寝ている間に何があったのかはわかりませんが、自分が死んでいることに気付き、屋敷を出ることにします。
屋敷を出る理由について、チャールズは「前線に戻らなければ」と言っていましたが、死後も永遠に戦争を続けるのか、本当は家族にお別れが言えて満足して神に召されたのか、どっちだったのかはわかりません。

もし成仏するならグレース、アン、ニコラスも一緒に連れて行けば良いのにとも思いましたが、成仏のタイミングには個人差があり、神様の意思にもよりそうですし、そもそもグレースは死んだことにまだ気づいていなかったのでどうしようも無かったのかもしれません。

それに、グレースは「子殺し」に「自殺」をしていて、キリスト教の教えでは「大罪」に分類される悪行をしていたので、チャールズと一緒にいられないのも、死んだことに気付かないのも、頭痛に悩まされるのも罰の一種だったのかもしれません。




カーテンが急になくなったのはなぜ?

ある朝、家じゅうのカーテンが全て取り払われていて、グレースは慌てます。
カーテンが全部なくなっていたのは、屋敷を買った人物が片付けてしまったからです。

カーテンが無くなる前日、アンが「幽霊がカーテンを取るって言ってた」とグレースに伝えています。

 

キリスト教における地縛霊

キリスト教と地縛霊の関係について調べてみると、キリスト教に対する信仰が強すぎる人々は死後も信仰に心を縛られて地縛霊になってしまい、死後も信仰活動を続けてしまうという説がありました。
本作とかなり共通点を感じたので残しておきます。

信仰が強すぎるというのは、聖書を鵜呑みにし、聖書しか信じておらず、聖書の内容を否定する言動は毛嫌いするような、まさにグレースのような人です。

彼らは『霊的牢獄』に閉じ込められていて、自分たちが生きていた時代の幻想の中に住んでいます。
そんな地縛霊を救うため、彼らを救済する役目を持つ『救済霊』が存在します。
本作に当てはめると、その救済霊だったのが使用人のミルズ、タトル、リディアです。

救済霊は地縛霊を救済するために様々な働きかけをしますが、救済霊による説得が上手くいかないと、次は『生の世界』と『死の世界』を混ぜて生の世界の影響を地縛霊に与えます。
すると地縛霊は自分が死んでいることに気付きやすくなり、死を受け入れて信仰を手放し、地縛状態から脱するという流れが一般的に有効な救済方法とされています。

しかし、グレースは死んだことには気づいたものの自ら地縛霊で居ることを選んだので、なかなか救済が難しい霊になってしまったようです。
せめてアンとニコラスは巻き込まず脱出させてあげてほしいです。

 

トム・クルーズとの関わり

トム・クルーズが製作総指揮に加わっていることがDVDの表紙などにも書かれて宣伝されています。
主演のニコール・キッドマンとトム・クルーズは1990年から2001年まで夫婦関係にあり、この映画が完成して間もなく離婚しています。

製作総指揮という肩書はかなりあいまいで、映画を少しでも話題にするために名前を貸すだけというパターンもよくあるようなので、トム・クルーズがどの程度映画製作に関わったのかはわかりませんし、ネットで調べるだけでは詳しくはわかりませんでした。
この映画は目玉となるキャストがニコール・キッドマンだけなので、トム・クルーズの名前が大事だった可能性はあります。

また、この映画の大枠はトム・クルーズ主演の「バニラ・スカイ」に似ている部分があるのも彼の名前が加わっている理由の1つかもしれません。




その他伏線まとめ

思い当たる限りで物語の伏線になっていた描写や台詞をまとめます。

冒頭のグレースの悲鳴

グレースがベッドで悲鳴を上げながら目覚めたのは悪夢を見ていたからですが、グレースは自殺してから幽霊として目が覚める瞬間、死ぬ直前の行動(子どもを殺してから自殺)を悪夢として見ていたと思われます。

ミルズとタトルの会話

ミルズ、タトル、リディアはグレースの屋敷のドアをノックする前、ミルズとタトルが世間話をしています。
その時のタトルの「そりゃ死んでるだろう」という台詞には結末が暗示されています。

お墓を隠す

ミルズとタトルはグレースに見つからないようにとお墓を隠します。
お墓が誰のものなのかや隠す理由を考えると、ミルズたちかグレースたちのどちらかしかないので、こちらも大きな伏線です。

帰ってきたチャールズ

チャールズは霧の中から突然現れましたし、屋敷でも「食べる」、「眠る」などの人間が生きる上で必要な行動は全くとっていませんでした。
チャールズとの再会そのものがグレースたちも死んでいることを彷彿とさせていますし、夫と再会した時のグレースの喜ぶ姿から、彼女がどれだけ助けを必要としていたかや、昔は今のような性格じゃなかったんだろうなと観客に伝える役目もチャールズにはあったように感じました。

「つまり大変化よ」

アンがグレースに叱られて泣いた時、ミルズはアンに「ビックリするくらい全てが変わる つまり大変化よ」と言います。
この発言は結末のどんでん返しを匂わせる発言です。

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参考サイト様一覧

スピリチュアリズム普及会:地縛霊の救済は、スピリチュアリズムの使命です

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