検証!“UFOの里” 福島市飯野町
- 2023年05月10日
これは日が落ちた山あいの地区を写した画像です。赤い丸で囲まれた中央の上の方に白く見えるのは、福島市飯野町で撮影されたUFOとされるものです。UFO=未確認飛行物体とは、上空で目撃される正体不明の飛行物体を指しますが、飯野町では目撃談が後を絶ちません。
今回の「しらべてmeet!」は、福島最大の謎の1つ、飯野町のUFOに挑みました。飯野町でUFOを見ることができるのか?!藤ノ木記者が調査しました。
目撃者は突然に
福島市南東部にある飯野町は、5000人ほどが暮らす山あいの地区。この地区でUFOを見たという証言は千貫森と呼ばれる山の付近に集中しています。UFOを見たことがある人がいないか探してみると…。
20歳のころにUFOを見たという三浦宏二さん(66)に会うことができました。目撃したというのは、昭和52年10月。帰宅途中、千貫森近くを通りかかると、オレンジ色の円盤が編隊組んで出てきたというのです。
三浦さん
「稲刈りやって家に帰る途中に千貫森をたまたま見たら、そこからオレンジ色の円盤が20から30機編隊組んで出てきました。見たのも初めてだったんで、何が何だかわかりませんでした。ただオレンジ色の円盤だってことはわかったんです。ふつうはヘリコプターの音とかバタバタするじゃないですか。それも全然なくて、これはもうUFOは存在するって思いました」
UFOを撮った人も!
さらに取材を進めると、UFOを撮影したという人を見つけました。飯野町に住む阿曽ルミさんと、その友人です。2人は散歩中に、夜空に光る物体を発見。思わず撮影したといいます。
こちらがその時の画像。おととし8月の午後8時半ごろ撮影しました。画面右上の上空に、発光する物体が写っているといいます。飛び方や光り方が、飛行機やヘリコプター、ドローンなどわたしたちの知りうる飛行物体とは明らかに違っていたというのです。
目で見たときは、緑色に光っていたという物体。およそ30分かけて、北東方向から北へゆっくりと水平に移動し、南の空に消えたといいます。飛行機のように音もなく、夜間、緑色に光る飛行物体は見たこともないため、これはUFOではないかという阿曽さん。しかし、さらに話を聞いてみると、UFOを見たのはこれが初めてではないとのこと。
阿曽さん
「よく見てみようと思って拡大したら三角形に写ってて、UFOしかないかなと。結構、近所の人も見てらっしゃいますし、家族も見てますし。飯野町にいると日常なのかな」
UFOの聖地
さらに取材を進めましたが、結局、飯野町でUFOを見ることができるのか、その結論にたどり着くことは出来ませんでした。しかし、目撃者は一定数いることがわかりました。地元の人によると4、5人に1人くらいは見ているのではないかとのこと。これには驚きました。
実は飯野町は、UFOを売りにした観光を進めています。次に、私はその起源に迫る取材をすることにしました。こちらはUFO観光の拠点施設、「UFOふれあい館」です。30年あまり前に当時の町や地元の商工会が作りました。世界中から集めたUFOの目撃情報や、関連資料など約4000点があります。入館者数も年々増え続け、昨年度(R4)訪れた人は、人口の4倍に匹敵する2万人あまりにのぼりました。
そして去年、UFOふれあい館30周年を記念したUFOフェスティバルを開催すると、なんと全国からおよそ2000人が集まったといいます。
なぜUFOをまちおこしに?
多くの人に受けているUFOを使った観光戦略。しかし、なぜUFOを観光に利用しようとしたのでしょうか。UFOを観光に利用することを決めた当時の商工会のメンバー、髙槻秀夫さんに話を聞くことができました。
髙槻さんはUFO観光に取り組みはじめた40年ほど前、当時盛んだった養蚕業が昭和40年代から
50年代にかけて衰退。その代わりに当時、地元で目撃情報が相次いだUFOを選んだといいます。
高槻さん
「目に見える特産品や観光地開発よりも、正体がわからないミステリアスなUFOなら、ロマンを追い続けられて、息の長い取り組みになると考えた」
“UFO観光” 専門家の評価は?
観光学が専門の近畿大学の岡本健准教授は、飯野町のUFOを使った観光戦略について、観光の本質を捉えた面白い取り組みだとして、一定の評価をしています。
岡本准教授
「実は観光で大切なことって差異なんです。どこにでもあることをPRしても、どこにでもあるからそれは意味がないという話になる。でもここでしか楽しめないということが非常に重要になるので、UFOでのまちおこしって、ほかではあまりやってないことですよね。さらに好きな方は世界中にいらっしゃったりするので、そういう方たちの聖地になっていくということも考えられますから、とてもいいところを狙われた。工夫と知恵と創造性、想像力によってたくさんの人が来ているという状況だと思うので、そういう意味では大成功なんじゃないか」
一風変わった観光戦略も、ちゃんと合理的な理由があったんですね。ますますUFO、そして、飯野町が気になってきました。今後も、UFOの里の動向に注目していきたいと思います。