プロローグ
世界は3つの大陸から成っている。
1つ目の大陸には王国が存在し、その名をローランドという。
2つ目の大陸にも王国が存在し、その名をアリステアという。
そして3つ目の無人大陸、ゴンドール。
ゴンドールには、人類と共存できない生物である”ゴンドール”が棲んでいる。
生物の名と大陸の名のどちらが先に名付けられたのかは不明だが、どちらも古くから同じ名で呼ばれている。
ゴンドールは巨大なトカゲのような姿を持ち、4つ足で陸を歩き、海を泳ぐ。その大きさは幼獣で既に、人間の大人の2倍の体長であると言われている。成獣に至っては、その正確な大きさを知る者は居ない。姿を見る時があれば、命は無いと言われているからだ。
ゴンドールの体は剣も火も通さない硬い甲羅のようなもので覆われており、脱皮を繰り返して成長する。弱点は額にある三つ目の目と言われているが、それを狙えるのは幼獣だけであろうと推測される。
成獣は完全な夜行性で、日の高いうちは巣から出てくることはなく、縄張りを大事にするが、それを犯されない限りは人を攻撃することもない。
つまりは夜に大陸へ近づくことさえしなければ、ゴンドールの存在はなんら脅威になることはない。
長い歴史の中、ゴンドールの被害に対して対策を打つべく”ゴンドール狩り”を試みた王も居たが、それを繰り返しながら彼等の習性を理解し、やがては距離をおいて共存する道が自然に選ばれた。
―――そして、今に至る。