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引きこもり、髪を切る(自分で)。

4月に緊急事態宣言が発令されてから、家の外へ出なくなった。ファミレスやスタバで仕事するのがここ数年のルーティンだったので、結構ドラスティックな変化。もしも自分が一人暮らししていたのなら、全然違ったのだけれど、今は年配の両親と一緒に暮らしているので、どうしてもリスクの高いところへは……行くことができない。

家の外へ出るのは、二週間に一度になった。外出の8割は近所のスーパー、ときどきコンビニ。一回だけ、近所で一番好きなラーメン屋からテイクアウトをしたのがいちばんの遠出。街へは一度も出ていない。電車にもバスにも乗っていない。映画館にもTSUTAYAにも行けていない。

それなりに気は沈むけれど、より具体的に困ってしまったのが散髪だった。どれほど換気に気を使って下さっていたとしても、駅ナカのQBハウスは密閉空間だ(1000円カットなの? というツッコミは受け付けない)。あそこへ行くまででもリスクは小さくない。と思って、こういうことも調べ始めていた。

意外とできそうではある。けどマァ、簡単ではないよな……と思っていたら、こんなサイトを見つけた。

http://sirouto.fc2web.com/gutyokipa/004-1.html

「超簡単!ぐーで散髪・超入門散髪」

「これこれ!!こういうの!!!」である。

要は、グーの手で髪を根本から持ち上げて、上にはみ出た部分を切るだけでとりあえず全て同じ長さで切りそろえる事ができるよね! という、クソ単純なメソッドである。わかりやす〜い!! そして確かに、これなら失敗はしない!! しなさそう!! やってみようぞ!!

うおおおおおおお!!!!!!

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おおおおああああああ!!!!!!!

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切れた。

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グーで散髪、アリです。てゆーかもともとの髪型をプロの美容師(QBハウス)さんが作ってくださっているのだから、根本からの長さを同じにして切りさえすれば、そこまでヘンな形になるはずがないのだ。特に前髪はこれだけでカンペキだった。ちょー簡単。ありがとうQBハウス、そしてさようならQBハウス……。
というのはまだ早くて、手こずったのは後ろ髪だった。確かにグーの手で髪は切れたのだが、自分の髪量がもともと多いのか、これだけだと後ろ髪はちっともスッキリしてくれない。なので、そこからはセルフアレンジして、グーの手よりもさらに短く切ってしまうことにした。
まず右手の人差し指と中指で根本を挟み、その上に重ねて左手の人差し指と中指で髪を挟みなおす。そこからハミ出た部分を切ることで、根本からの長さを切り揃えようとしてみた。けれど、これだとグーの手の時よりもなぜか切り残しが多くできてしまって(特に利き手よりも遠い場所が)、結局その部分をまた指でつまんで切り直して……を繰り返す必要があった。グーよりも量をつかめないので、全て切り揃えるには時間がかかる。他にも、耳にかぶる横髪もグーの手だけでは不十分だったので、次第に大胆になった自分はカンも使いながらそのまんまチョキチョキ……でも、そんなに変にはならなかった……はず。

もともと不器用なので、肉眼で見えない場所にグーを作ってハサミを当てようとすると、たびたびグー側の手に刃をぶつけてしまい、左手の指にまあまあの切り傷を作ってしまった(でもそんなに深い傷は負わなかった)。トータルでは1時間以上かかった。わりかしハードワークなので汗もかくし喉も乾いた。とはいえ、風呂場に新聞紙を敷いて切って、終わったら髪を新聞紙にまとめてクルクル丸め、それでも飛び散った髪はシャワーで流して、そのまま風呂洗って入ってしまえば……後片付け自体はラクチン。全部足しても2時間を切るくらいの工程だった。

特に後ろ髪は、よく見ると段々になっちゃってるのが判るので「床屋はもういらない!」とは言わないですが、人と会う予定も見込みもないし、外で誰かとすれ違う分には全くバレないほどには切れたので、セルフカットも結構アリだ、と思えたのでした。

そして自分で髪を切りながら、なんとな〜くこの作業、既視感があるな……と感じ始めたのですが、そうだ。あれだ。頭部の3Dモデリングだ……。



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アニメーション作家・脚本家。どちらかというと物書きです。 詳細はこちら http://yunumata.com/
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