反ワクチンというカルト#6
前回は反自粛をテーマに反コロナや陰謀論者へと変わるのか考察しました。新型コロナの流行が始まってから2年が経っており、新生活様式や感染対策という名によって青春が奪われているということは最近問題視されつつあるが、流行当初から自粛に反対している人って子供の青春を守りたいとか我慢はできないなどという欲望に駆られているからではないかなと思います。その欲望がゆえに「ウイルスは存在しない」というデマにまんまと引っかかってしまい、陰謀論にハマっていく… ある意味、マルチ商法やカルト教団にハマっていくかというのを見ているような感じでした。
今回は反自粛とは別の視点で新型コロナやワクチンにちなんだ陰謀論にハマっていくのかいくつかの事例を踏まえて考察したいと思います。
BCG仮説
新型コロナが流行しだした当初、結核のワクチンであるBCGが新型コロナを防ぐことができるという珍説がありました。
ちなみに、この仮説を主張したのはJ.Sato氏らで松本大さんが「BCGがコロナに効く」という情報を得た彼はBCG予防接種マップを見て2020/3当時新型コロナが流行している国はイランを除いてBCG予防接種プログラムがない国であることを発見したのが事の発端でした。
その後、BGCと新型コロナの致死率と相関関係はあるというデータが研究機関などから出されたり、臨床実験も行われましたが、ランダム化比較試験(RCT)の結果、接種後1年間での新型コロナの感染率に有意差なしという結論に至る形で否定されたことになります。
その一方でJ.Sato氏は自ら唱えたBCG仮説のRCTの結果はそっちのけでマクレガー元米陸軍大佐の発言をツイートして「最も英雄的な行動は現実と向き合いウクライナを中立国にすること」などとプーチン擁護に走ったりと陰謀論者に成り果てました。
イベルメクチン神話
現在ではファイザーのニルマトレルビルやメルク社のモルヌピラビルなど新型コロナに特化した治療薬が存在しますが、ここ最近までは新型コロナの治療や予防にイベルメクチンを服用するといったトンデモ治療法が反コロナ・反ワク界隈でもてはやされていました。イベルメクチンとは抗寄生虫薬で北里大の大村智教授が発見した放線菌を元に開発され、主に疥癬の治療薬として用いられています。ところが、試験管レベルの研究で新型コロナウイルスがヒトの細胞内で増殖する際にウイルスのたんぱく質内の核内移行を妨害し、増殖を抑制することが分かり、特効薬として有効とにわか信じる人が出てきたんです。
その後、アメリカで新型コロナの患者に対してイベルメクチンを投与したところ死亡率が約6分の1に低下したという報告があり、治療薬としてイベルメクチンが浮上しだしたのです。(この報告自体は捏造が発覚したために撤回されている。)
イベルメクチンが有効なのか北里大の花木秀明氏のチームをはじめ、世界各国でRCTが新型コロナ患者を対象に行われていたが、2022/3/30のNEJMで新型コロナにおけるイベルメクチンを投与した結果の論文が掲載され、イベルメクチンは有用でなかったと結論付けるとともにイベルメクチン神話はもろくも崩れ去りました。
その後、無効な治療薬の乱用でむしろ新型コロナの致死率が上がるという逆効果のような論文が発表されています。
このようにイベルメクチンは新型コロナの治療薬としては過去の産物となってしまったが、いまだにイベルメクチンの有効性を信じている人がいます。花木秀明氏はその代表例でCOVID-19対策北里プロジェクトにおいてイベルメクチンの医師主導型治験を実施しました。
なお、彼は2021/12の時点で治験は終わっており、第三者による統計解析が行われているとツイートしているが… イベルメクチンの医師主導治験のエントリーは終わりました。今は第三者による統計解析を行っています。
一方で企業主導治験の拠点作りはほぼ出来上がり、治験は開始されました。
治験結果は良し悪しに関わらず必ず公表されます。お待ち下さい。
治験以外は下記本「イベルメクチン」に記載されてます。 pic.twitter.com/goYiqlcRo6
海外のRCTの結果が出た後の2022/4時点においても解析中のままで結果が公表されていません。それどころか、治験結果を出してと言われる始末。 花木氏、まだ諦めていないのか(呆れ)
大規模RCTが3つ、たて続けでイベルメクチンの有効性を否定している状況で、まだ『イベルメクチンは有効だ』と言い張るのは、科学ではなくイベルメクチンを唯一神と崇めるカルト宗教でしかありませんよ。
ビルゲイツの陰謀論をより、北里の治験結果出して…… https://t.co/Xu55Xufx7g
自分の推測だけど、治験結果が目に余るものであったため分析中のままにしているのではないかと思います。というか、海外のRCTで有用でなかったという論文に対して除外が記載していないといちゃもんをつけるなど意地でも自らの非を認めないというようにダニング=クルーガー効果に陥っているのではないかとみられます。 カナダの医師が責任者、イベルメクチンが薬局で自由に入手可能なブラジルと南アフリカで実施。プロトコールにはイベルメクチンを服用した方の除外が記載されていない。プラセボ群がイベルメクチンを服用していない科学的証拠はない。この点は去年から指摘されているが無視。資金提供はビルゲイツ財団。 https://t.co/WJzOAcwHZq
ダニング=クルーガー効果
ところで、ダニング=クルーガー効果って何だろうか?簡単に言ってしまえば能力の低い人が正しく自己評価できず自分の能力を過大評価してしまうという認知バイアスの一種です。
花木氏にはイベルメクチンの効果に対して自信過剰になるなどダニング=クルーガー効果に陥っていましたが、J.Sato氏にも似たようなツイートがあります。 聞いた事例
夏にご家族6人(おじいさん、おばあさん、娘、孫3人)で旅行
おばあさんと娘さんは💉済み。他は未接種
おばあさんと娘さんを含む5人が陽性に
膀胱癌治療の為にこの春にBCG注入したおじいさんだけが陰性。ちなみにこの6人の中で最高齢
このツイートからはコロナワクチンよりもBCGの方が優れていると読み取れるなどBCG仮説に対して自信過剰になっていることが分かりますね。
ダニング=クルーガー効果に陥ってしまうとどんな影響を引き起こすのでしょうか?実は過大評価にとどまらず以下のような影響を受けると言われています。
成長する機会を失ってしまう
問題を他人のせいにする
円滑なコミュニケーションが取れない
人に騙されやすい
そして、反コロナ・反ワク派にもこれに当てはまるといえます。というのも、ダニング=クルーガー効果に陥る要因としてメタ認知ができないことが挙げられます。ちなみに、メタ認知とは自分の認知能力を客観視することでこの能力が高いほど自分自身を見られるようになり、それによって円滑なコミュニケーションが取れたり、改善へとつなげていくといったような感じでしょうか。ちなみに、メタ認知することができない人ほど陰謀論ハマりやすい傾向があるみたいです。 やはり自分を反省的にメタ認知することのできない人が陰謀論にハマりやすいのだろう。そして他人は無知で自分は賢いという虚妄を抱いて、独善的になり誰かに否定されることでそれを加速させていく。相手を受け入れ、自分を理解して話し合うことの大切さがよく分かる。 https://t.co/G3OAoZ4vNt
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