STAP細胞の特許を調べてみました。
日本の特許出願:特開2015516812号公報
patents.google.com/patent/JP20155
国際特許出願:WO2013163296A1号
patents.google.com/patent/WO20131
発明者は、バカンティ チャールズ エー、バカンティ マーチン ピー、小島宏司、小保方晴子、若山照彦、笹井芳樹、大和雅之の7名(共同発明)です。ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル、国立研究開発法人理化学研究所および東京女子医大の共同出願ですが、現在は特許を受ける権利がブイセルセラピューティックスに承継されています。
ヨーロッパとオーストラリアで特許が成立していますが、日本国を含む他の国では特許は成立していません。特許は存在するが発明の実態が存在しない「有名無実な特許」とはこの事を言うのかもしれません。
特許権は「瑕疵ある権利」と呼ばれ、本来登録されるべきではない特許が誤って登録されることがあります。これを法的に是正するために特許無効審判や特許異議の申立てと言った制度が存在します。
日本では4件のファミリー特許出願が存在し、そのうちの3件は特許法第36条に規定された実施可能要件(第4項第1号)やサポート要件(第6項第1号)に違反するとして拒絶査定が確定しています。特許庁は、STAP細胞の証拠はないので、特許を認めることはできないというスタンスなのでしょう。
驚くべきことに、2022年11月1日に最新の分割出願がなされており、いまだに審査に継続していました。ブイセルセラピューティックスは、2024年3月7日に手続補正書と意見書を提出しており、まだ特許権の取得を諦めていないようです。
最新分割出願:特開2023002805号公報
patents.google.com/patent/JP20230
-以下、参考-
◆実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)
実施可能要件は、他の技術者が特許請求の範囲に記載した事項(STAP細胞の生成方法)を実施することができる程度に、発明の詳細な説明に必要な事項を明確かつ十分に記載しなければならないという規定です。しかし、STAP細胞の証明はないので、実施可能要件をクリアすることはできないのです。
<拒絶査定の一部の記載>
・・・
ここで、細胞の分化・脱分化誘導に関する技術分野においては、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成するには、外来遺伝子導入等が必須と認識されており、そのような処置なしには多能性細胞への脱分化を誘導し得ないことが、本願出願時における当業者の技術常識であったと認められる(例えば参考文献8の第5頁右欄下から2段落目参照)。そして、平成29年2月23日付け起案の拒絶理由通知書の理由3<実施可能要件1-1>に記載したとおり、本願の発明の詳細な説明の実施例において示された内容はNature論文と同内容のものと認められるところ、当該論文取り下げ及び再現実験の結果という事情に鑑みれば、現時点においては、当該論文において確認された現象は、その信憑性については疑義があり、また、再現不可能なものというほかない。つまりこのことは、Nature論文と同内容の実施例を具体的根拠とする、本願の発明の詳細な説明の内容についても妥当するものであり、実施例における記述自体にかかわらず、外来遺伝子の導入等なしに細胞を脱分化させ多能性細胞を生成することや、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成するという発明の技術内容が、発明の詳細な説明において明確かつ十分に記載されているとはいえないことを意味する。
したがって、本願の発明の詳細な説明には、上記補正後の請求項1に係る発明について、外来遺伝子の導入をすることなく多能性幹細胞への脱分化を誘導し得ないという技術常識にもかかわらず、細胞をストレスに供するだけで脱分化させ多能性細胞を生成すること、あるいは、多能性を示す可能性がある細胞としてOct4を発現する細胞を含有する細胞塊を生成することが実施可能である、といえる程度に明確かつ十分には記載されていない。
◆サポート要件(特許法第36条第6項第1号)
サポート要件は、特許請求の範囲に記載した事項(STAP細胞の生成方法)が明細書に記載の技術範囲を超えてはならないという規定です。明細書の記載はSTAP細胞の生成方法を証明していないので、STAP細胞の生成方法について特許を受けようとすると明細書の開示を常に超えてしまうわけです。
<拒絶査定の一部の記載>
・・・
ここで、細胞の分化・脱分化誘導においては、Oct4遺伝子は多能性マーカーの1つではあるものの、当該遺伝子の発現のみをもって多能性細胞が生成したということができないことが本願出願時の技術常識である。さらに、その発現レベルについても、例えば、ES細胞等と比較して生物学的に意義のあるレベルで発現することが請求項に規定されているわけでもなく、その発現レベルにかかわらず単にOct4を発現するという性質を有する細胞を含有する細胞塊を生成したというだけでは、細胞を脱分化させて多能性細胞を生成したこと、すなわち、本願発明の課題を解決したことにならないことは、出願時の技術常識に照らし、明らかである。そうすると、発明の詳細な説明には、Oct4を発現する細胞を含有する細胞塊であれば、本願の上記課題を解決できると当業者に認識できる程度に記載されているとはいえない。・・・
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