楽しいお話しも沢山載せていきたいと思うこのコーナーですが、はぐくみ塾に来る子どもたちも保護者の方達も、時には「うちの子にはどうして?」「僕は何で?」と言う、とても不思議な事によく出会います。「どうしてなんだろう」「何故なんだろう」と言う疑問符がはぐくみ塾の待合室では時々話題になります。
そんな中で、親子がたくましくなっていく姿を見せていただき、私たちの喜びになっています。
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「ボッチャのメダルを胸に…」(2004.12)
先日、大きな封書が届きました。
今年20歳になった、Hくんからのものです。
幼児期、彼は自力歩行を目指して幼児の訓練施設に通っていました。とてもにこにこした笑顔のかわいい子でした。学童期は、地域の小学校に車椅子で登校を続けました。
中学生の時に再び「はぐくみ」で出会った彼は、ちょっぴり自信のないうつむき加減の男の子になっていました。週一回の関わりの中で、実直なHくんが黙々学習に取り組む姿は、とても印象的でした。
高校入学後、久しぶりにお母さんにお会いした時に、H君が車椅子マラソンの全国大会に出場したことを伺いました。彼は高校で出会った先生の薦めで、車椅子マラソンにエネルギーを注ぎました。それからめきめきと力を発揮し、全国大会に出場し、見事に優勝したとの嬉しいお話でした。
私はお母さんに、「写真が欲しい」とお願いしました。
数日後に送られてきた写真には、沢山の大人に混じって千葉県の代表選手として行進する姿と、マラソンの姿、そしてメダルと共に胸を張ったH君の姿がそこにはありました。
この写真は、しばらくの間「はぐっこターミナル」(塾の掲示ボード)に掲示しました。
今回送られてきた封筒の中には、ボッチャ県大会での優勝と関東大会で2位になったH君が、誇らしげにメダルを掲げている写真がありました。そして、来年の1月に行われる「2005
BOCCIA JAPAN CUP」広島大会への出場エントリーの名簿が入っていました。
彼は仕事の傍ら、毎週スポーツクラブで練習に精を出しています。
ありがとうH君…。君のすがすがしいほどに胸を張った姿は、今「はぐくみ塾」に来ている「どうせ僕はみんなと同じように走れないし、階段も上れない…」ってつらい気持ちになりがちな、小さな後輩たちを元気づけてくれる。もちろんお母さんたちもね。
あの頃いつもうつむいていた君が、私はとても気がかりでした。でもそれは、お節介焼きなおばさんの老婆心に終わったようですね。
今私は、小さな後輩たちに言います。「スポーツマンになりなさい。」「大人になったら車の運転免許も取りなさい。」「車には、お父さんやお母さん…彼女を乗せて走りなさい。」ってね。
素敵なクリスマスプレゼントをありがとう!
H君…Do Your Best!!
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