『魔神転生2』が初出。『魔神転生2』では「銃」のカテゴリーに分類されているが「携帯型対空ミサイル第1号」で
、スティンガー(別項目を参照されたし)の先輩(?)にあたる。制式名称「FIM-43」、世界初の「一人で使える」地対空ミサイルとしてその名を轟かせた。『魔神転生2』では銃のカテゴリーは、そのほとんどがミサイルで占められており、スティンガー以上になると航空機搭載ミサイルの見本市になっていき、どうやって射っているのか不思議なラインナップになっていく。三脚に固定したり、野砲のような車輪付きの発射台で運用しているのかもしれない。
レッドアイは世界で初めて実用化された「兵士1人で操作して射てる」携帯型SAM(地対空ミサイル)だが、分類上は「戦術ミサイル」に分類されている。『魔神転生2』に登場する航空機搭載ミサイルや、レッドアイやスティンガーといった「携帯型」地対空ミサイルの他にも、ドラゴンATM(別項目を参照)といった「対戦車ミサイル」等も戦術ミサイルに含まれる。戦術ミサイルとはICBM(別項目を参照)のような敵国内の主要拠点(例えば都市や工場地帯、軍事拠点やミサイル発射基地など)に対して使用される「戦略ミサイル」とは異なり、敵の戦場戦力(艦艇や航空機など)に対して、戦場用に使用するミサイルを指す。戦術ミサイルの分類は基本的に発射プラットフォーム(発射台)とターゲット(目標)の相関関係を示すもので「どこから(何から)(A)発射して、何を(B)目標にするのか」をA対Bミサイルと表現する。レッドアイやスティンガーのような地対空ミサイルならば、地上から発射して空中目標(航空機)を攻撃するミサイルなので[Surface to Air Missile]という組み合わせになり、これらの各々の頭文字を並べてSAMと称する。1文字目が発射プラットフォーム、2文字目がターゲット、3文字目がミサイルのMである。これらからSAMなどが通常そのまま用いられるようになった。アメリカ国防省のミサイルの命名方も当初この方式が使われた(なお、Surfaceは、もちろん“海上”の意味があり“艦”をShipでなくSurfaceで用いることも多い)。 レッドアイの研究・開発はアメリカのジェネラル・ダイナミクス社で1956年に企業ベースで始まったといわれる。最初期の携行型地対空ミサイルであるため、レッドアイはアメリカ軍が1957年に提示した要求仕様に達しない低性能であった。諸々の技術的問題のため年々遅れたが、1965年には製造契約が結ばれ、陸軍と海兵隊に月間1,000基以上が引き渡された。最終的には3,3000基以上が1974年までに製造された。レッドアイは開発時トラブル続きで結局引き渡しまで10年かかってしまった。それでもテストを重ねることで、再設計や改良が進められていった。ソ連(現在のロシア)軍が侵攻したアフガニスタンのゲリラに対し、アメリカ政府(正確にはCIAか)はスティンガー・ミサイルの前にレッドアイ・ミサイルを供与している。 レッドアイのミサイル本体は細長い筒状で、発射チューブに収納された状態で持ち運ぶ。射つ時は肩に乗せるように担ぎ、射手は目標を光学照準装置で狙って誘導システムであるミサイルのIR(赤外線)シーカーを起動させる。準備が整うとブザーが発射可能を伝える。ブースト炸薬がミサイルを発射チューブから押し出し、射手から6メートル離れたところでメインエンジンに点火する。レッドアイは赤外線誘導方式で、航空機のエンジン排気の赤外線を追いかけて飛翔して目標に命中するから、射手がミサイルを誘導してやる必要はない。ある程度の上空は気温が低く、太陽以外には赤外線を発するものが存在しない。ジェット機のエンジンが出す高温排気熱の赤外線は、シーカーから見れば目立つわけである。
ただし、当時の赤外線シーカーの性能では、赤外線がはっきり探知できる敵機の後方からしか攻撃できなかった。有効射程は5,500メートル、有効高度は2,500メートル程度で、飛翔速度が遅いため時速740キロ以下の航空機しか撃墜できなかった。レッドアイは、アメリカ軍では1967年(資料によっては68年とも)から使用され始めたが、翌年にはソ連軍(当時)が、レッドアイとよく似た「9K32 ストレラ携帯型対空ミサイル」を完成させている。
ちなみに「ストレラ」はロシア語で「矢」の意味。西側からは「SA-7 グレイル」のコードネームで呼ばれた。ストレラの外見はアメリカ軍のレッドアイによく似ていた…というか、コピーだったため「レッドアイスキー」などと陰口をいわれたという。
初期の赤外線誘導ミサイルは、赤外線シーカーの技術が未熟だったため、発射しても敵機ではなく、より強い赤外線を発する太陽に向かってしまったり、太陽光の反射先を追いかけてしまう等のトラブルが続出した。また、狙われた航空機は急旋回によってミサイルを回避することができたし、さまざまな欺瞞手段で簡単に騙すことができた。(アレイ) |