赤羽高校には、大きな桜の木があり、一週間だけ深夜に願い事をすると木に住み着いている妖怪が願いを叶えてくれる話を耳にした。
4月△日
僕は、深夜に家を飛び出していた。 はぁはぁと息が上がる中夜の風を浴びながら校門の前で足を止め柵をよじ登り学校の中に侵入した。心臓の音がうるさい。悪い事を初めてで緊張する。夜の校庭をスマホで照らしながら進んでゆく、 昼間の時とは違い真夜中の学校は、明るい雰囲気はなく代わりに暗黒にぼんやりとしたシルエットと時折くる木が揺れる音を感じなからしばらく進んで、かの学校で一番大きくて綺麗な桜の樹についた。………何にも起きるはずがなかった、所詮噂は、噂だし第一放課後に流れたラジオの噂は、誰かのイタズラに違いない。結局噂は、噂でしかないましてや桜の妖怪なんて昔話でしかない だが彼女はいた。 真っ白和服。長い黒髪は風になびき、片方は、扇を持ちもう片方の白い手が抑えていた。私の持っている弱い光が彼女人の肌を照らしおでこには、鬼のツノが生えていた。 [桜の、妖怪?…] 僕の声に 反応して桜の妖怪がこちらに向いて首を傾げる [ん、学生ちゃん?ってか君が幽霊?]
「もしくは、家出少年?」
そう言って、彼女はからからと独りで笑う。
「私は花見をしていたんだよ。少年もそれで来たんだろう、ほら、おいで」
「そういうわけじゃ……」
「寄っておいでよ、お菓子もあるんだ」
僕は言いたかった言葉を飲み込んで、彼女の中かに座った。病棟から抜け出してきたかのような姿には、不気味さは、あるが、危害を加えてくる人には、思えなかったから。
近くによって、彼女の持ち物が露わになる。彼女が持っていたのは、筒に入ったタイプのポテトチップスと、ギンビスのアスパラガス一袋と、ビスコ、チロルきなこもちの袋だった。
「春華(はるか)」
「え?」
「名前。幽霊ちゃん の名前は?」
「……夜見(やみ)」
名前だけを名乗った。危ない感じはなかったけど、警戒心を全く持たないのもよくないと思った。
風が吹く。自転車を漕いでいたときは暑くて気にも留めなかった、春の夜風はまだ少し肌寒い。
「ほら食べなよ」
チロルきなこもちを一粒貰った。僕はそれを口に含んで、春の妖怪を考えていた。
春の精がいたら、僕は父を殺してもらおうと考えていたのだった。
深夜のお菓子パーティは、一時間もしないうちに終わった。
「そろそろ体も冷えてきたし、帰る」と、千晴が伸びをしながら言ったのだった。
僕たちは連絡先も交換しないで別れた。
また会うことは、ないはずだった。