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この作品「新入生」は「イメチェン」「髪フェチ」等のタグがつけられた作品です。
新入生/あひるの小説

新入生

6,692文字13分
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大学生になり、運動系のサークルに参加してみた。高校の時はテニス部にいたがそんなに強いわけではなかったし、部活に入ってガチでやるつもりもなかったのでいろんなスポーツを月一でやるような適当なサークルに入った。ラフなサークルだからか女の子も結構いて初めての彼女を作ろうと意気込んでいた。
同期や先輩は元気でアクティブ、フッ軽な人が多くサークルのイベントに関わらず各々で遊んでいるようだった。そんな雰囲気にちょっと馴染めないままイベントに参加していると自分みたいにあまり馴染めてない雰囲気の同期の女の子を見つけた。雰囲気が似ているからか、新歓時期に部室とかで会ったら話すようになっていった。山下結衣という名前で地方の都市から出てきて一人暮らしをしているらしく、同じく一人暮らしをしている自分の近くに住んでいることがわかった。
「近くのスーパーとかに行ったら山下さんと会っちゃったりして」
「あのスーパーはよく行くから会うかもね。あんまり料理とかしてこなかったから何買ってるのとかみられると恥ずかしいな」
「そんな大丈夫だよ。僕も同じだから。パックの焼きそばばっか食べてる」
こんな他愛のない会話をしていた。山下さんは、友達がやってるような茶髪にするとかそういう高校デビューとか大学デビューみたいなのは恥ずかしくてできなくて、中学の時から変わらず黒髪で胸下まで長く伸ばしてるらしく、よく言えば真面目で清楚、悪く言えば地味って感じだった。山下さんが言うには前髪は作らず伸ばしていて、志望校に合格したら切ると決めていたが、なんだかもったいなくなってそのまま伸ばしているらしい。でも控えめな化粧にもかかわらず二重のぱっちりとした目で可愛い顔なので他にも狙っている人がいるかもしれない。
新歓歓迎会はかなりの人数で、普段のイベントには参加してなくてここで初めて見る先輩も結構いた。こういう飲み会っていうのが初めてで緊張してしまい、繰り返しやらされる自己紹介に疲れてしまった。席は離れていたが、ふと山下さんの方を見ると隣には初めて見るチャラめの先輩が座っていて、歓迎会の進行を無視して楽しげに二人でずっと話していた。
「将斗のやつ1年の女の子に手を出してんのか?」
「まぁあいつこないだ別れたって言ってたし」
「そうだけど…やっぱ将斗は顔もいいからモテモテだな」
「変なとこあるけど普通にいいやつだから困るよなぁ」
少し離れたところに座る先輩が山下さんの方を見て話している。どうやら将斗という先輩らしい。ライバルかもしれないのでよく覚えておいた。将斗は背が高く、先輩たちのいうようにイケメンだった。髪は刈り上げマッシュにしてうっすらと茶髪に染めているようだった。自分は二次会にもついていってみたけど山下さんはいなかった。

だが、歓迎会を境にしてサークルに山下さんが顔を出すことは無くなってしまった。学部が違うから学校でも見かけないし、理由はわからないが別のサークルに入ったのかもしれない。連絡先を聞いておくんだったと後悔したがもう遅い。自分はサークルに顔を出し続けたが梅雨が明けても現れることはなかった。
その日は学校の帰りに買い出しのため近くのスーパーに寄った。図書館で課題をやっていたのだが思ったよりも時間がかかってしまったので惣菜かカップ麺を買おうと思っていた。時間が遅いからか店内にお客さんは少なく、わずかに残った惣菜には半額シールが貼られていた。安くなった弁当を片手にレジに向かうとダボっとしたグレーのジャージにクロックスを履いた人がレジに並んでいて、近づいてからわかったが山下さんだった。黒髪を一つに結いてほとんどすっぴんって感じだ。
「山下さん?久しぶり」
「え?あ、上野くん久しぶりだね」
「山下さんも夕飯の買い出し?」
「そうだね。授業終わってダラダラしてたらこんな時間になっちゃって」
部屋着のような格好の時に声をかけてしまったのでちょっと気まずい。山下さんも恥ずかしそうにしているし、もっと話したかったけどさっさと店を出ることにした。
「じゃあね、僕こっちだから」
「あ、うん。じゃあね」
山下さんには悪いが、普段見ることができないラフな格好をした山下さんを見れて良かった。もっと話したかったけどしょうがない。ちょっと気になったのは山下さんのカゴの中にお弁当が二つにカップ麺も入っていたことだ。明日の朝食の分も買ったのだろうか。

夏休みになった。例年より暑い、というか毎年のように最高気温を更新している気がする。こっちに来てから一回だけ1000円カットに行っただけで、すっかり伸び切ってボサボサになった頭にキャップをかぶって寝癖を抑える。食糧のために自転車に乗ってスーパーに行くくらいで特に予定のない日が続いている。お盆の帰省から帰ったばかりで自炊する気力も湧かない。友達はもっと長い期間実家に帰っているか、別の友達と遊びに行ってるかしてるみたいで暇だ。その日もとりあえずスーパーに向かった。冷食とか出来合いのものをカゴに入れて帰路につくが、スーパーの隣にあるドラッグストアで洗剤を買うため寄り道をすると、見たことある背の高い男が入っていくのを見た。見間違いでなければ将斗とかいう先輩のはずだ。あの人もこの辺に住んでいるのだろうか?なんとなく後をつけずにはいられなかった。
先輩はとある棚の前で立ち止まって迷いなく何個も商品をカゴに入れていったが、何なのかはよく見えなかった。先輩はそれだけ買いに来たみたいで他には何も買わずにレジへ向かい、レジに行ったのを確認してからその棚に近づいた。男向けのワックスとかが置いてある棚を通り過ぎながら全く予想ができなかったが、棚に着くと何を買ったのか明らかだった。というのも、茶とかに染まった髪の見本が並んでいるうちの金髪のところの商品だけ何箱も無くなっていたからだ。ということは髪を金に染めるらしい。少し気になったが、名前しか知らない先輩だし自分の買い物をして家に帰った。
一方自分は、髪が伸びて耳にかかってかなり鬱陶しくなっていたので勇気を出して美容院の予約をした。暑いし夏休みで誰にも会わないし、ということで担当になった美容師に相談して提案されるがままベリーショートにしてしまった。思い切りよく刈り上げられていく自分の頭に失敗したと不安だったが、仕上がってみればかっこよくなった…と思う。初回ということもあり途中までは控えめに切っていたものの、後ろの刈り上げの高さを上げるか聞かれて頷いてしまってから美容師の思い切りが良くなった気がする…。前髪がおでこの上の方で真っ直ぐに切られた時はパッツン具合が恥ずかしかった。帰り道にワックスだかグリースだか慣れない整髪料を買って帰り、数日間は美容師さんがやってくれたのを思い出しつつ動画を見ながら練習した。

結局何もしないまま夏休みが終わってしまう。免許でも取れば良かったが金がないし、バイトすれば良かった。せっかく買った整髪料は埃をかぶり、すっかり伸びてだらしなくなった頭の寝癖はそのままに久々のサークルに顔を出す。馴染みの同期と遊んでいると先輩たちの会話が聞こえてきた。
「そういえば将斗のやつ、前に言ってた女の子と付き合ってたらしいぞ」
「さすがだな、あいつ。ってことはいつものやるのかな?」
「それなんだけど、もうやってもらったって言ってた。それも理想までやってくれたって」
「まじかよ!」
「将斗もビックリしたらしいしめちゃめちゃ感謝してた」
「理解ある彼女すぎない?これまで付き合った女の子は全員やったんだっけ?」
「いや、全員じゃなかったけど…ほら、一人目は変わんなかったじゃん。あと、俺は顔しか知らないけど二人目の彼女も茶髪だったはず」
「そうだったな」
「いつも最後まで行かずに別れてたはず。さすがに無理矢理って訳にはいかないし」
「まぁ茶髪くらいよな、普通。やるにしてもまず茶髪で段階踏むっていうか」
「将斗は普通にいいやつなんだけど…そこだけやばいわ、やっぱ」
何の話かよくわからないが、どうやら先輩は彼女に何かをしてもらったらしい。それも最近新しい彼女ができて、いつも通りその何かを実行したようだ。その後も同期と遊んでいるうちに何だったのか気になることも忘れてしまった。
家への帰り道、いつもと違うルートを通ってスーパーに向かう。通ったことのない道は少し非日常感があって気分転換にはうってつけだ。まだまだ暑くて滲み出る汗を手で拭いながら歩いていると、なんか明るい髪色の女の子が同じ方向に歩いていた。一つ結きの金髪を左右に揺らしていて、丈の短い半袖を着て引き締まった肌の白いウエストを出して横が大きく裂けたデニムパンツを履いている。
(こわぁ…こんなギャルみたいな人…)
なんかの折に目があっても怖いのであんまり見ないように下を向いて歩いているとどこかで曲がったらしくいなくなっていた。ちょっとの間しか見ていないが日に当たって輝く綺麗な金髪と白い肌のコントラストが脳裏に焼きついてしまった。

学校が始まってしまった。相変わらず山下さんとは会えないのに諦めきれない。日々、サークルに顔を出しているし、学校でも普段通らないところを歩いたりしているが見かけることはない。背の高いあの先輩なら見かけることはあったが、全然黒髪だったしあの時大量にブリーチを買い込んでいたのはなんだったのだろうか。
あと、最近気づいたが、近所に前に見かけた金髪の人が住んでいるらしく、たまにスーパーで見かける。視線を感じることがあるが、からまれても嫌なので目を会わせないようにしていた。

シリーズ
#2 -----

コメント

  • sh

    また続きも楽しみにしております。

    2月25日
  • 濃霧

    ここからさらなる変化があるか気になります!

    1月7日
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