ルビコンわくわく傭兵ライフ   作:性癖解放戦線

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ささっと書いたので短めです


執行上尉オルクス√7

ベイラムとアーキバス

二大企業グループの一時共闘により戦況は覆り

惑星封鎖機構は星外への撤退を余儀なくされた

 

決定打となったのは

独立傭兵レイヴンによるHC-Sの撃破と

ベイラム主導によるアイスワーム掃討作戦

 

しかし封鎖機構の執行部隊から主力兵器の鹵獲により

戦力を増強するはずのアーキバスはV.Iを喪失した上

執行部隊の大半は既にルビコンから撤退していた

 

これにより両社のパワーバランスは変わることなく

企業陣営の消耗を見込んでいた

ルビコン解放戦線にとって追い風となる

 

惑星封鎖機構という共通の敵を失い

にわかに再燃した集積コーラル到達競争は

以前にも増して硝煙の匂いを漂わせはじめていた

 

 

 

 

 

 というのがルビコンの現状だ。前回までと比べるとアーキバスが大幅に弱体化している。

 ヒアルマー採掘場でオルクスの呟いた『時間稼ぎくらいにはなっただろう』というのは執行部隊が星外へ脱出する為のことについてだと思う。

 

 「レイヴン」を倒した後のオルクスの口ぶりからして惑星封鎖機構はまだ何かを企んでいる。

 

 結局わたしは、彼のことを何も知ることができなかった。輸送ヘリに揺られながら考え込む。

 

 

〔621 準備はいいか〕

 

 隔壁がゆっくりと開いていく。

 

〔生きて帰る保証もない深い探査となるだろう

 …だが やり遂げられるとすればお前だけだ〕

 

 ウォルターの声を聞きながらリフトまで降下した。

 

〔コーラルに 辿り着いて見せろ〕

 

 

〔ミッション開始だ

 まずはリフトにアクセスして降下しろ〕

 

 リフトはどうせ途中で止まってしまう。柱に隠れて降下した方が早い。

 

 

 

 

 

 …?ネペンテスが起動しない………?

 下を見ても既に破壊されているわけではなさそうだけど…

 

《静かですね…レイヴン》

 

 様子がおかしい…警戒を強めながら降下を続ける。

 

 

 

 

 

 

〔待て 隔壁が作動した〕

 

 こっちはいつも通りに動作しているらしい。それなら次は上から封鎖機構の無人機が…来ない………?

 

 

 

 

〔ただの足止めのようだな…

 隔壁を開く方法を探る 待機しろ 621〕

 

《あちらです マーカー情報を送信しました》

 

 エアに指定された座標を目指して移動する。マーカー対象にアクセスすれば開けられるはずだ。

 

 

 

 

 

《待ってください AC反応…

 あれは…アンダーカバー1!?》

 

 

 エフェメラの脚部パーツが入っていたコンテナの前に、RaD製重量逆関節のACが立っている。エアの言う通りアンダーカバー…オルクスの機体だ…!?

 

 

『やあ…待っていたよ…レイヴン』

 

 オルクスの声と共に、アンダーカバーが振り向く。

 

《執行尉官…オルクス少尉…!?》

 

 

『今はオルクス上尉だ、Cパルス変異波形 エア。一応、世間的には殉職扱いで二階級特進している』

 

《…!?私の交信が…!?》

 

〔Cパルス変異波形…!?実在するのか!?〕

 

[オルクス…その訂正は不要では?]

 

 

 イアと呼ばれていたAIがツッコミを入れているが、そんなことよりオルクスがエアの声を聞いているのはどういうこと…!?

 

 前回までのオルクスはエアの声が聞こえていなかったはず。どうして今になって…

 

 

『…話すと長くなるから簡単に言うと、俺は以前致死量のコーラルに漬かったことがある。恐らくそれが君の声を聞くことのできる原因だろう』

 

 

 わたしと同じような経緯だけど…オルクスは強化人間じゃないはず…

 考えても仕方ない。今はオルクスの目的を探ろう。

 

 

 

 

 

「…あなたは、なにがもくてきなの?」

 

『俺の目的は…オーバーシアーと同じくコーラルの根絶「アイビスの火」の再現だ』

 

〔…ッ!やはり俺たちの存在に勘付いていたのか〕

 

《ウォルターが…私の…同胞を…!?》

 

 

『単刀直入に言う。ハンドラー・ウォルター、アーキバスの依頼を放棄して惑星封鎖機構の支援を受ける気はないか?こちらはアーキバス提示の3倍を出そう』

 

[また 惑星封鎖機構からは強化人間C4-621への再手術の施術と必要に応じて就職先の斡旋も行うことが可能です]

 

 

 なにからなにまで至れり尽せりだ…ウォルターからすれば集積コーラル到達における障害であった惑星封鎖機構を味方につけた上でその先についても援助を得ることができる。

 

 

〔何が目的だ…〕

 

 

『そもそも惑星封鎖機構がルビコンを封鎖しているのは「アイビスの火」の火種となったコーラルを警戒してのことだ。コーラル増殖による破綻の存在を知った以上、このまま封鎖しているだけでは不足…しかし、我々はその事実を知るのが遅すぎた』

 

『よって、貴方達に求めるのは3つ。1つ目はコーラルに関する情報提供、2つ目はコーラル集積地への到達支援、3つ目はIB-C03A:HAL 826の調整。ノウハウの足りない我々に力を貸して頂きたい』

 

 

〔利害の一致というわけか…

 良いだろう その依頼を受ける〕

 

『ありがとうございます…!』

 

 

 無機質だったオルクスの声が明るくなった。裏はなく、本心からの感謝のようだ…

 

 

 前回までの惑星封鎖機構にこんな動きはなかった。あの時ザイレムにいたのも、旧時代データ回収でナガイ教授の口述筆記に反応を示していたのもシステムにコーラルの危険性を進言する為の行動だったんだ…

 

 彼は彼に出来ることをしようとしていた。それなのにわたしは彼を「封鎖機構に言われるがままに職務を果たしていく理由なき強さ」だなんて上から目線に決めつけて…

 

 

 

 

 

『…それと、エア。君にも話がある。』

 

《…どういった用件でしょうか?》

 

『…聞いての通り、俺のやろうとしていることは君の同胞とは相容れないものだ』

 

《…そう、ですね》

 

『…俺には、人とコーラルが共存出来る可能性を見ることができなかった。コーラルを恐れ、排除することしか選べなかった』

 

《………》

 

『人とコーラルでは意思疎通が出来ない。でも、Cパルス変異波形である君とならばそれが出来る』

 

 オルクスからデータが送られてきた。コーラルを動力とした義体らしい。

 

『俺は、君に身体を用意した。惑星封鎖機構の計画を止め同胞達を守る為に戦うのか、レイヴンと共にこれからを生きるかは、君が選んでくれ』

 

 

 

『…こんな手段しか選べなくて、本当にすまない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《私は…レイヴンと居たいです》

 

 長時間悩んだ末に、エアは決断した。

 

 

『すまない…』

 

 

「えらんでくれてありがとう。わたしはエアといられてうれしい」

 




◯オルクス上尉
HC-Sはフライトユニットを破壊されたが、撃破された訳ではないので問題なく生存
621の追撃を避けるために落下し、惑星封鎖機構で死を偽装していた

コーラルの危険性を示す以外に惑星封鎖機構を止める手段を思いつかなかったが、それでもエアを切り捨てられなかった

◯アンダーカバー2

【挿絵表示】

アイビスCELを想定した瞬間火力特化アセン
KRSVはケイト・マークソンからの鹵獲品
コーラルジェネレーターを載せた事で、エアが自分をいつでも殺せるようにしている

◯エア
地獄の選択させて本当に申し訳ない

次に読みたいのは?

  • V.IXオルクス
  • G8オルクス
  • C4-622ルクス
  • オールクスマインド
  • ランク1 オルクス

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