~"離婚を見事に乗り切った女性"の強さを想う 共同親権の難しさとメリット~
神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。
本日は、一人の弁護士として、
"離婚を見事に乗り切った女性"の強さを想う
です。
先日、10年ほど前に離婚事件を受任させていただいていた女性の方と、数年ぶりに電話でお話をする機会がありました。
その方の近況をお伺いしたところ、
すでにお子さんは二人とも大学を卒業されて新たな道に羽ばたいている、
その方は、まもなく定年退職になる
という状況であるとのことでした。
月日の経つのは早いものだと改めて感じましたが、改めて、この女性の強さに、尊敬の念を抱かずにはおられませんでした。
この方は、旦那さんであった元夫から、かなり理不尽な離婚請求をされたため、徹底的に争い、その時点で可能な限りの形を勝ち取った上で、離婚に応じたというケースでした。
それでも、彼女が深く傷ついていたことは想像に難くありませんでした。
彼女が、
元夫には今後一切関わりたくない
子供達を元夫に会わせたくない
元夫に子供と面会なんてさせたくない
と考えても仕方の無いとすら思うケースでした。
共同親権制度の導入に賛成している私でも、彼女のようなケースでは、でっかいため息をついてしまいます。
共同親権制度導入に疑問を感じる方達や反対している方達がいるのは、仕方が無いことだと思うのは、こういうケースのことを考えるときです。
でも、彼女が何より気にしていたのは、将来的な子供達の教育費。
幸か不幸か(複雑ですが、やはり、「幸」なのです)、元夫の男性は、彼女にひどい離婚請求をしてきていたわりには、子供達との面会を希望していました。
子供達がすでに中学生になっていたこともあり、彼女は、子供達が、元夫と面会をすることを、一切妨げませんでした。
その後の経過として、必ずしも順風満帆ではなく、若干揉めたこともありましたが、元夫から、養育費等はしっかり払ってもらえ、さらに、子供達の大学進学の学費も出してもらうこともできました。
その結果、彼女は、お子さん達を、希望の進路の羽ばたかせてあげることができたのです。
苦しかったろうと思います。
でも、彼女の強さは素晴らしい、と感じずにはおられません。
現在、離婚時に約束されているはずの毎月の養育費の未払いが問題となっていますが、子供の将来のことを考えるとき、実際には、約束された毎月の養育費だけでは、十分ではありません。
進学や大きな病気等でも、大きなお金がかかります。
実務では、離婚の際、毎月の養育費以外の将来かかる大きな費用については、
"病気、進学等で必要になった費用については、別途協議する"
という具合に調停条項や公正証書で定められはしますが、その別途協議がスムーズにいって子供の希望どおりに支払われるか、というのも、将来的に大きな問題となってくるのです。
親権者にならなかった配偶者にも、子供の成長をしっかりと見てもらって、進学の時には、
「父さん(母さん)、僕(私)、○○学校に合格したよ。学費なんだけど・・」
と直接言ってもらったほうが、調停などを起こして話し合いをするよりも、ずっとスムーズなのが現実です。
彼女のように強くあることは、誰でもができることではないかもしれません。
ですが、彼女のように強くあることで、子供の未来をより良くできる可能性が高まる、ということは、まず、共有できると良いと想います。
現在、共同親権が議論されています。
実務上、家庭裁判所でも、すでに、子供の面会交流は実施することが原則になっています。
ですが、単に「面会交流」や「共同親権制度」等の制度だけではなく、離婚した両親双方が、より強く前向きになれるようにサポートできる体制も作ることができたら、制度運用の難しさを乗り越え、メリットを最大限に発揮させることができるのではないか、と強く想いました。
(終)
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