ルビコンわくわく傭兵ライフ   作:性癖解放戦線

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火を点けろ、拾い損ねた伏線に

どうせ本編はハッピーエンドだからIFならどれだけでも曇らせて良い理論




正史.コーラルリリース(ALT)

 

[強化人間 C4-621 レイヴン]

 

[改めてお礼を言わせてください]

 

[コーラルリリースを阻害する要因は排除され]

 

[ハンドラー・ウォルターの画策で生じた

 歪みも修正する目処が立ちました]

 

[残すは 最後の一手]

 

[ともにコーラルリリースを成し遂げましょう]

 

 

 コーラルリリースで行けるという「向こう側」

 そこに辿りつけばオルクスも、ウォルターも、エアも、みんなと一緒に居られる。

 

 ウォルター達もオールマインドによって殺されてしまったし、オールマインドの指示でオルクスを排除しなくてはいけなかったことは辛かったけれど、この道の先でまた会えるはずだからと必死に堪えてここまでやってきた。

 

 

《解き放った「向こう側に」…》

 

《レイヴン 》

 

《そこに待つものを見に行きましょう》

 

 

 もう、戻れない。信じて進むしかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オールマインドとの約束の場所、LOCステーション31に到着した。

 あとはここで、わたしとエアがトリガーを引けば全てが終わるんだ…

 

 

 カーラのフルコースとウォルターのIB-C03:HAL 826の残骸が散らばるステーションに、オールマインドのACが背を向けて立っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …違う。

 

 

 私がオールマインドだと思っていたACは、アイビスSOLに似た銀色の機体を踏みつけている。

 

 

 あの…ACは…!

 

 

 

[我々の…計画が…]

 

[人類と生命の…可能性が…]

 

 

 

 オールマインドのコアと逆足…

 

 

 

《…そのトリガーは》

 

《引かせる訳にはいかない》

 

 

 アンフォラR………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンフォラRが振り向いた。

 機体から、コーラルの気配を感じる。

 

 

《やあ…》

 

《待っていたよ 後輩…》

 

 

 

《見てくれ》

 

《企業が吸い上げたコーラルが共振を始めている》

 

《強化人間 C4-621 レイヴン》

 

《Cパルス変異波形 エア》

 

 

 

《君たちを消すため…

 俺はここに立つ事を決めた》

 

 

 彼の背後にアンフォラL2とM2が現れた。

 3対1の戦いになるようだ。

 

 

《ここで…死んでもらう》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 [メインシステム 戦闘モード起動]

 

 

《オルクス!?なぜ私の事を知っているのですか!?》

 

 エアがオルクスに問いかける。彼はこれまでエアの声が聞こえていなかったはずだ。それとも…聞こえないふりをしていた?

 

 わたしに向かってミサイルと共にブレードで突撃しながら、彼はエアの問いかけに答えた。

 

 

《最初からずっと聞こえていたよ

 

 

 当然のことだろう?だって…

 

 

 俺たちは「同胞」なんだから》

 

 

 

 オルクスが…エアと同胞?でも、オルクスは確かに人間で、身体だって見たことはあって…

 

 

《…!どういう…ことですか?》

 

 

《察していないようだし

 改めて自己紹介をしよう》

 

 

《コーラルの織りなす潮流

 俺は…そこに生まれたひとつの波形…

 実体を持たぬルビコニアン

 そうあるはずだった…》

 

 

《偶然が重なった結果俺は

 ルビコニアンのアクスの身体を乗っ取り

 独立傭兵のオルクスとして生きることになった

 という訳だ》

 

 

《そんな…事が…?》

 

 

 アンフォラの機体性能を思い出す。ミサイルとブレードの中距離型であるR、チェーンソーによる1撃特化型のL2、そして遠距離からレーザーライフルでじわじわと削ってくるM2だ。

 この中で最も脅威なのはL2だろう。あのチェーンソならば他2機の攻撃によるスタッガーからそのままわたしの機体を撃破できる。

 

「まずは脆いやつから潰す…」

 

 チェーンソーを躱してアンフォラL2が隙を晒したところにチャージしたパルスブレード、即座にショットガンを撃ち込む。そしてキックで蹴り飛ばした所にニードルランチャーでトドメだ。

 

 

《君がチェーンソーを警戒するのはわかっていたよ》

 

 

「っ!たーみなるあーまー!」

 

 

 トドメを刺したアンフォラL2のターミナルアーマーアーマーが発動。

 リペアキットによりAPも回復されてしまった。

 

 

「なんで…じゃまするの!」

 

 ターミナルアーマーを使えるのは1度だけ。終了と同時に再び攻撃を仕掛ける。

 

「わたしは…あなたとしあわせになりたいだけなのに!」

 

 ひたすらショットガンを撃ち込んでいく。

 

「みんなと…いっしよにいたいだけなのに!」

 

《………》

 

 彼は何も答えてくれないまま、アンフォラL2が再び衝撃限界。

 

「こたえてよ!オルクス!」

 

 

 今度こそ、スタンニードルランチャーがアンフォラL2を貫き、コーラルジェネレータが爆発を起こす。

 

 

 

 

 

 

《ッ!やってくれる…!》

 

《レイヴン オルクスは苦しそうです…

 このまま続ければ退ける事はできるでしょう》

 

 

 

 次はM2だ。引き撃ちなら距離を詰めて潰す。

 M2のレーザーとRのミサイルによる挟撃を捌きながらアサルトブーストで特攻。

 

 

《コーラルリリース…》

 

 

 M2の元に到着したと同時にチャージしたブレードで斬りかかって間合いを詰め、一閃。

 

《俺たちの同胞は それを受け入れるだろう》

 

 再び距離を取ろうとするM2の背中にショットガンを叩き込む。

 …オルクスにしては単調な動きだ。

 

《…だが 俺は それを認めない!》

 

 スタッガー寸前でパルスアーマーを展開してきたが、即座にアサルトアーマーで引き剥がしてカウンター。アーマーを失い無防備な所にニードルランチャーを撃って2機目も終わりだ。

 

 

 

《コーラルリリースを果たせば

 君たちの望む世界は叶うだろう》

 

 

 ニードルランチャーの反動にアンフォラRのミサイルが殺到。

 衝撃限界だ…!オルクスはブレードで突進し2連撃。のけぞった所に逆脚のキックがクリーンヒットした。

 

 

  [リペアキット残数2]

 

 

《だが 向こう側に待つのは人間世界の悲惨》

 

 リペアキットを使い、反撃を開始。レーザードローンとデトネーティングミサイルを振り切り、パルスミサイルを飛び越えて接近。ブレードを掻い潜りながらショットガンを当てていく。

 

《その先に もはや人間はいない》

 

 衝撃限界、武装全てを叩き込んで終わらせる。

 

 

「なにがいいたいのか…わかんないよ」

 

 

 わたしのパルスブレードが、またオルクスを切り捨てた。

 

 

「なんで…いつもこうなるの…

 なんで…あなたがしなないとすすめないの…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《レイヴン!後ろです!》

 

 エアの言葉に反応して左に飛ぶ。

 

 

 さっきまでわたしがいた場所にチェーンソーが振り下ろされた。

 チェーンソーの刃はコーラルを纏い、回転の火花に引火して小規模な爆発を起こしている。

 

 

《君が…人であるうちに終わらせる》

 

 アンフォラL2が再起動した。

 さっきまでより速い…!

 

《コーラルリリースの為に何人殺した?》

《これから 何人殺すつもりだ…!》

 

 彼らとは…向こう側で会える…から…

 だから…仕方ない…事で…

 

《ウォルター、カーラ、ラスティ、オルクス

 まだ居るだろう?

 …この道を選んで みんな死んだぞ》

 

 彼らは前回も、前々回も死んでしまった…

 だから…これなら助けられると思って…

 

 

 彼の言葉に動揺して思うように動けない。ニードルガンとバーストマシンガンを躱しきれず、双対ミサイルが直撃する。

 

 …衝撃限界。チャージされたチェーンソーを振りかぶるオルクス。

 

 

《レイヴン!》

 

 オルクスの側面にコーラルミサイルが殺到する。

 

《ッ!エアか…!》

 

 流石にまずいと思ったのかオルクスは飛び退いた。

 

《お待たせしました レイヴン

 ようやく…あなたと並んで戦える》

 

《私が…あなたをサポートします レイヴン》

 

 エアが来た事で少し冷静になった。

 どれだけ悔やんだってもう、戻れないんだ…!

 

 

「これが、わたしのせんたくだから」

 

 

《………そうか》

 

 

 エアのコーラルミサイルに追いかけられ、光波によって回避を制限されたオルクスを、ショットガンとブレードでわたしが追い詰めていく。

 

 衝撃限界。

 

《レイヴン…!好機です…!》

 

 ブレードを叩き込み、キックからニードルランチャー。

 エアの光波も直撃し、APを削り取る。

 

 

 

《まだ…終われない…止めてみせる…!》

 

 オルクスはなりふり構わずミサイルを放ち、ニードルガンを連射し、チェーンソーを振り回して私に向かってくる。

 

《レイヴン!あと一歩です…凌いで下さい!》

 

 迫りくるオルクスのチェーンソーが出力に耐えきれず破損、他の武装も同様に爆ぜていく。

 

《ッ!?そんな…!》

 

 狼狽えるオルクスを、パルスブレードが両断した。

 

 

《ジェネレータに引火します…

 離れて下さい》

 

 

 今にも爆発しそうなオルクスに手を伸ばす…

 

 

《結局…ダメだったか…届かないなぁ…》

 

 

 爆ぜたオルクスの機体は、空に手を伸ばしながら墜落していった。

 

 

「……………」

 

 

 バスキュラープラントが潰れていく。

 

 空に黒い孔が開き…

 

 紅い渦として膨張して、全てを呑み込み始めた。

 

 

《…コーラルリリースが始まります》

 

《美しいと…思いませんか?》

 

 確かに美しいけれど、これは…

 オルクスの言うように、酷く恐ろしいものに見えた。

 

 

 膨張した渦が、わたしたちを呑み込んでいく。

 

 視界が、白く染まっていく。

 

 

 

《ありがとう…レイヴン》

 

 

 

 

 暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《…目覚めたのですね レイヴン》

 

 

 ここは…水?

 

 わたしは機体を起こす。

 

 青い空には、星のような紅が煌めいている。

 

 

《コーラルは私たちを乗せ…星々に伝播しました》

 

 

 周囲に転がっていたACが紅く発光し、起き上がっていく。

 

 

《私たちはもう…

 いつでも どこにでもいる》

 

 

《レイヴン》

 

 

《ともに 新たな時代を…》

 

 

 

 

  《メインシステム 戦闘モード起動》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ、たたかわないと。

 こんどこそ、オルクスをまもるために」

 

 

 




◯オルクス(Cパルス変異波形)
コーラル漬けになったアクスの肉体にうっかり入ってしまったCパルス変異波形。
1、2周目では人間とコーラル、どちらの側につけば良いか迷い最終的に621に判断を委ねた。
賽は投げられた√に入るとAMから排除依頼が来て621に殺害される。
621には結構重たい感情を向けており、コーラルリリースで人以外のナニかになる前に自分が殺すという想いで挑んで来た。
戦闘中の暴言はなんとか踏みとどまって欲しいが故に動揺を誘っている。殺し愛。

◯オルクス(憑依転生者)
コーラル漬けになったアクスの肉体にうっかり入ってしまったCパルス変異波形に3周目で憑依した転生者。
自分がCパルス変異波形の自覚は無いためデータ戦には弱いが、AC戦は得意。
621にはかわいいとか幸せになって欲しいとかのふわふわした感情を向けている。

◯621
守りたい人の為に守りたい人を殺すという矛盾を無理矢理納得させて進んできた。
最後の言葉を呟いたのは、果たして青い空の下か、それともいつものガレージの中なのか…

◯コーラルリリース(ALT)
コーラルジェネレータを載せたアンフォラを操作してくるオルクスとの戦闘。
ゲーム的にはリペアキット3積み、コア拡張も装備したAC3体との戦闘になるが、AIの性能が低いためそこまで難しくはない。
3機を倒すと第二形態。最初に倒した機体が再起動。
エアが助けに来る。
AP全回復かつ攻撃がコーラル属性に変化し、ブースト速度も370まで上昇する。
リペアキットは使ってこないが1度倒してもターミナルアーマーで5秒粘ってくる。
ターミナルアーマー中は武器の冷却時間を踏み倒すが、終了後全ての武装をパージする。



次に読みたいのは?

  • V.IXオルクス
  • G8オルクス
  • C4-622ルクス
  • オールクスマインド
  • ランク1 オルクス

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