20.ルビコンの共鳴者
『ハンドラー・ウォルター』
〔どうした オルクス〕
『貴方と、話をしなければなりません』
『コーラルのこと、破綻のこと、ルビコンのこと』
『そして、エアのことを…』
『まずは俺たちの目的について話しましょう』
『オルクス、エア、レイヴン、オールマインド』
『俺たち4人…?は、人とコーラルが共生する可能性を守りたい』
『そして、このルビコンの明日を守りたいのです』
〔それは…俺の仕事の為にも認められない〕
『知っています。この目的は、貴方達オーバーシアーのコーラルを焼き払うという仕事とは相容れない』
『でも、俺たちは…貴方達と敵対したい訳ではない』
『だからこそ、貴方達が納得できるように、破綻を避ける為の計画を立てています』
『まず一度、アーキバス社をコーラル競争の勝者に仕立て上げ、バスキュラープラントの修復を進めさせる』
『その後、完成間近のバスキュラープラントを強奪し、オールマインドが設計したコーラル焼却施設を増設』
『バスキュラープラントを、コーラルを燃やし続ける篝火とする、これによってルビコンを守りつつ破綻を防ぐというものです』
〔それならば…確かに破綻は防がれるか…〕
〔だが、その施設が故障を起こすようなことがあればどうする?〕
[その為に我々、オールマインドがいます]
そこにいたのはAC//トランスクライバー。
ケイト・マークソンもといオールマインドだった。
『来てたのか』
[ええ、私は貴方の頼れる友人ですから]
[我々であればこのルビコンを100年…1000年…永遠に見守ることが可能です]
[我々がコーラル統制システムとして施設の監視、修繕を行うと同時に、コーラル増殖の抑制についても研究を行います]
[最終的には我々すら必要無いような完全な共生を目指しましょう]
〔ふむ…破綻も、停滞もするつもりはないらしい〕
〔そこまでしてコーラルを守ろうとする理由はなんだ?〕
〈それを話す為には、私がウォルターに隠していたことをもう一つ伝えなくてはいけませんね〉
ウォルターがまたなんかあるのかよみたいな顔してる…前回の話は強烈だったからなぁ…
〈私は…Cパルス変異波形のエア〉
〈コーラルの織りなす潮流。私は…そこに生まれたひとつの波形…実体を持たぬルビコニアン〉
〔待て…コーラルに明確な意識や感情があるだと…?〕
〔自称621の姉のような妄言では無いのか…?〕
〈それも妄言ではありませんが…証明にちょうど良いものがありますね〉
そう言うとエアは目を閉じた。
しばらくして、何かがこちらに向かって飛んでくる。
〔アイビスシリーズだと…!621!〕
〈落ち着いて下さいウォルター…私です〉
〔アイビスを…操縦しているというのか…?〕
〈コーラル技術を用いたものであれば私にもある程度動かすことが出来ます〉
エアがどすこいエアちゃん号…じゃなくてSOLを動かし、無人機がやらなそうなポーズを取っている。
〔分かった、お前達の計画につけいる隙は無い。それに…621から友人を奪う訳にはいかない…〕
〔カーラと相談した上で、オーバーシアーの計画を凍結する…〕
説得は、成功だ。
〔コーラルなら621の姉では無いだろう…〕
小さく呟いたのが聞こえてしまった…
俺たちはアイビスシリーズを鹵獲した上でコーラル集積地点を離脱。
カーラも無事に俺たちの計画を認め、焼却設備の設計・建造に向けて手を貸してくれるそうだ。
現在はバスキュラープラント完成を洋上都市ザイレムで待機し、バスキュラープラント奪取に向けた用意を進めている。
『と、いう訳で俺たちに協力してくれそうな仲間を探すぞ』
解放戦線のミドル・フラットウェルにはもう話を通しておいたが、彼らは地上での戦闘を担当している。アーキバス本隊との戦闘を考えるともう少し戦力が欲しい。
「“せんゆう”とか“れっどがんぶたい”のこと?」
『そうそう…そういえばレッドガン部隊は生存状況どうなんだ?』
ヴェスパーの残存戦力も確認しておくべきだよな…
どうやらレッドガンはベイラムを見限って独立したらしい。
◯G1ミシガン
レッドガン部隊迎撃で621が見逃した
◯G2ナイル
捕虜救出で621が見逃した
◯G3五花海
ミシガン健在なのでレッドガンに残留
◯G4ヴォルタ
多重ダム襲撃で病院送りにされ壁越え不参加
・G5イグアス
行方不明、621も会っていない
◯G6レッド
生存
という感じだ。621は俺と協力する前から頑張ってたんだな…
イグアス以外生存か…案外「オールマインドTSイグアス概念」の餌食になって生きてたりするかもな。
一方で、ヴェスパー部隊は普通に戦闘してきたらしい。
◯V.I フロイト
生存
・V.II スネイル
オルクスにより排除済
・V.III オキーフ
リリース計画を辞退し生存、アーキバスも辞めた
・V.IV ラスティ
行方不明(解放戦線に合流)
◯V.V ホーキンス
621が依頼を受けなかった為生存
・V.VI メーテルリンク
集積コーラル到達で死亡
・V.VII スウィンバーン
ヴェスパーVII排除で死亡
◯V.VIII ペイター
おそらくV.IIになった
となっている。かなりボロボロだな…これでベイラムに勝てるんだから流石と言うべきか。
戦力が充実していてフリーのレッドガンは是非勧誘しておきたい。ということでウォルターにアポを取って貰い彼らの拠点に向かう。
「G13!独立傭兵オルクス!よく来たな!椅子に座れ!」
初手ミシガンの出迎えで耳鳴りがしやがる…!
「御託は不要だ!要件だけ話せ!」
『アーキバスへ襲撃!力を借して頂きたい!』
「遠足への招待だな!内容は!」
『ザイレムでカーマンラインを通ってバスキュラープラントへ向かい、ヴェスパーをはじめとしたアーキバスに致命的な打撃を与え、星外へ撤退させます』
『また、地上ではルビコン解放戦線が一斉蜂起を起こし、こちらでもアーキバスを攻撃します』
「良いだろう!役立たずども!意見がある奴は!?」
「ケッ、なんで俺が野良犬の為に戦わねえといけねえんだ」
あれ?イグアスいるじゃ…ん?
オールマインドを幼くしたような見た目のスーツを着崩した目つきの悪い少女…マジでオールマインドTSイグアスじゃねぇか!!
〈可愛らしいですね…〉
エアの目がバキバキなんだけど…こわ
「イグアス、そのからだどうしたの」
「あのクソAIにやられたんだよ!野良犬!」
『大変だね…こんなにちっせえガキになっちゃって』
「てめえ!」
殴りかかろうとするイグアスはヴォルタに抑えられている。多重ダム襲撃で裏切った時といいヴォルタは意外に大人だよね。
裏切られたのに「殺すぞ」とか脅しで済ませてくれるし。
「G5!文句を言っている暇があったら落ちた体力を戻しておけ!」
「…チッ この身体は筋肉とかつかねぇんだよ」
「要件は済んだか?」
『はい。協力感謝します』
ミシガンのおかげでサクサク話が進んだな。
疲れた…けど戦力を確保出来たのはありがたい。
他に使えそうな戦力は…おや?
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〔………話がしたい〕
〔…いつもの拠点で待っている〕
レイヴン先輩から連絡…ブランチの考えが整理出来たらしい。
『後輩、エア。少し寄りたい所が出来た。付き合って貰っても良いか』
「もちろんいいよ」
〈ふふふ…素直にお義姉ちゃんを頼れて偉いですねー〉
………。
「よく来てくれたわね、オルクス、レイヴン」
ブランチの拠点に到着した俺たちはオペレーターに迎えられた。
「所でもう1人はどなたかしら?」
〈私はレイヴンの姉のエアです。いずれオルクスの義姉になります〉
「「「「?」」」」
これにはブランチも困惑。頼むから黙っててくれ…
「…えっと 貴方の話を聞いてレイヴン達と話し合いました」
「貴方の言う通り、私たちは名前を継いでいくことに執着するあまり、ブランチという鳥籠に「レイヴン」を閉じ込めていた…」
「レイヴンが休む為の止まり木としての在り方を見失っていたことに気付けたのは貴方のおかげです」
ちゃんと自分達を見つめ直せたようで良かった。
「レイヴン、貴方には迷惑をおかけしました」
「いいよ、おわびももらったから」
『ブランチに頼みがあります。ルビコンの自由を取り戻す為に俺たちは戦おうとしています』
『力を貸して頂けませんか?』
「…それは、コーラルをリークした私の責任でもある。共に戦わせて欲しい」
『レイヴン先輩…!』
「…責任を持って戦い抜くと誓おう」
1人で旧宇宙港を壊滅させる実力者とアリーナのトップランカー。頼もしいことこの上ないな。
ルビコン解放戦線、オーバーシアー、ブランチ、レッドガン、RaD。
賽は投げられ、役者は揃った。
後は足し算で勝つだけだ。
◯イグアス
地中から脱出しようとした所をアーキバスに見つかり死亡
通りすがりの天才美少女傭兵によって試作の義体に放り込まれミシガンの元に帰された
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