「彼女がオルクスに勝ったら認める、という話だったが…まぁいいだろう。こちらキング」
「こちらシャルトルーズ。作戦通り目標への攻撃を開始する」
入って来たのとは反対側の隔壁が開き、2体のACが現れる。
《オルクスが弱らせた所に本命を投入する作戦でしょうか…》
《つまり彼は捨て駒に…?》
思考がまとまらない…オルクスのAC、アンフォラは燃焼型ジェネレーターの爆発により黒煙が出ている。
わたしが…殺した。
戦いの中で友人を殺すなんてラスティ達にもやってきたことだ。
でも…守りたいと思っていた相手を…自分の手で…
《敵機来ます!迎撃を レイヴン!》
シャルトルーズと名乗った傭兵の特殊なタンクACからバズーカ、拡散レーザーキャノン、グレネードキャノン、レーザーライフルが連続で飛んでくる。
空中に逃げてクイックブーストで回避。
回避した先にはホバリングした4脚…確かキングと名乗っていた。彼のACから3連レーザーキャノンが放たれる。
ブーストを切り落下で狙いをずらす。
「裏切られて動揺してるだろうに動きは冷静ね」
「お前がレイヴンか。敵としてその名を再び聞くことになろうとはな」
「かなり消耗しているはずだ、仕掛けるぞ」
「偉そうにしない!」
《敵機について調べました》
《アスタークラウンのパイロット…識別名キングの作戦成功率は89.6%》
《その極めて高い技量から完成された傭兵と称されています》
《一方アンバーオックスのシャルトルーズは正面突破と火力集中では比肩する者無く》
《「見つめ合うと死ぬ」独立傭兵として知られています》
《状況的に彼らがブランチの1人目と2人目なのでしょう》
《挟撃には注意して下さい》
狙うべきはアンバーオックス。どの装備も再使用まで時間がかかるはずだ。
アサルトブーストを発動しアンバーオックスに接近、ブーストで衝撃の増したショットガンを放ち、ブレードを振るう。
タンクの割には安定性に欠けるらしい。キックで衝撃限界に達したアンバーオックスにスタンニードルランチャーを撃ち込む。
「こいつ…普通じゃない」
「第4世代の強化人間なんてアンティークじゃないの…!?」
追撃しようとした所でアラーム音を聞き飛び退く。
アスタークラウンのチャージリニアライフルだ。
「油断するなシャルトルーズ。こいつは既にオルクスを撃墜している」
仕方ない、シャルトルーズへの攻撃を中断して4脚を回転させながらキックして来るキングを迎撃。
3連レーザーキャノンを上昇で躱し上からブレードを叩きつける。ショットガンに持ち替えて接射していく。キックで飛ばした後さらにチャージしたブレードで接近。ショットガンを撃ち込んだ。
パルススクトゥムの防御は強固だが、安易に受ければ本来当たらないはずの散弾まで余分に喰らってしまう。衝撃限界に対して先程同様、スタンニードルランチャーを打ち込んだ。
「この圧力…あいつを相手した時以来か…!」
またしてもアラートにより追撃を中断させられる。今度はアンバーオックスに横槍を入れられた。爆風を躱し切れない。
「しぶといね あんた。これまでのレイヴンも大体そうだったけど」
「偶然では無さそうだ…まるで手負いの獣だな」
まだ致命的な攻撃は受けていない…しかしリペアキットは残り1つ、ショットガンの弾数も心許ない上にターミナルアーマーも消費している。
いずれ「レイヴン」本人が来る可能性もある。
やはり頭数を減らすべきだ。
再びアンバーオックスに突撃。今度は横槍を防ぐためわたしとアスタークラウンの間にアンバーオックスが来るように立ち回れば…ッ!?
突如横からグレネードによる攻撃を受ける。
〔「レイヴン」、通信は聞こえてる…?〕
〔彼に勝利した上であのふたりを同時に相手するなんて…あなたの偽者は相当やるようね〕
〔見せてもらいましょう〕
〔借り物の翼でどこまで飛べるか〕
目の前に「レイヴン」が降り立つ。
3人に囲まれてしまった。
〔強化人間C4-621 「レイヴン」の名を返せとは言いません〕
〔ただ…あなたにその資格があるか試させて貰います〕
〔…ふたりとも お待たせしました〕
「遅かったな ここまでやるのは気が進まないが」
「必要なんでしょ?やるだけよ」
〔レイヴンとは何者にも縛られない意志の表象〕
〔彼の死に縛られているようでは羽ばたけないでしょう〕
《あなたのライセンス…その本来の持ち主ということでしょう》
《やはり 全て仕組まれていたようです》
《消耗した状態で3対1だなんて…先程から隔壁にアクセスしていますが開けられそうにありません》
《厳しい状況ですが戦闘に集中を…!》
先程のように2人を潰そうにも「レイヴン」が張り付いてきて迎撃しなくてはならない。
「レイヴン」の相手をしていては2人の攻撃に対処が出来ない。
これの繰り返しにより私は防戦一方のジリ貧に追い込まれた。
「にしても ここまでやるとはね…」
「これだけやっても倒れないとは…この強さ、ブランチに召集がかかるわけだ」
《…!まだです レイヴン あなたはまだ戦える》
《あともう少し堪えてください》
エアは何かに気がついたようだ。
その言葉を信じて自分を奮い立たせる。
[ジェネレーターの換装を確認]
[AP再充填完了]
[メインシステム 戦闘モード再起動]
「っ!?なんで…!?」
突如、アンバーオックスが撃破され地面に叩き落とされる。
一体何が…?
『脱出レバーを引いて下さい。シャルト姉さん』
『命を奪うつもりはありません』
〔オルクス…!なぜ機体が動いて…!?〕
『はぁ…残念です。やっぱり約束を守る気は無かったんですね。先輩』
『実を言うと、俺もあなた達を出し抜くつもりだったんです』
『俺の目的を果たす為に、俺の後輩を殺させる訳にはいきませんから』
そこに居たのはオルクス…機体の損傷部から紅いスパークを放つアンフォラだった。
◯オルクス
621が自分に勝てば彼女をレイヴンに相応しいと認める事を条件に作戦に参加した
◯キング・シャルトルーズ・オペレーター
レイヴンが彼女を認めていないならそれに従う
◯真レイヴン
レイヴンの名前がどうとかは関係ない
人の男に手出しやがって■犬
■すぞ
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