ルビコンわくわく傭兵ライフ   作:性癖解放戦線

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13.惑星封鎖機構襲撃(前編)

《レイヴン、オルクスから依頼が来ています》

 

 

ーーーーー

『…やぁ、後輩』

 

『俺の頼れる友人、独立傭兵ケイト・マークソンからの依頼を手伝って貰いたいんだ』

 

『内容は壁内部にいる惑星封鎖機構の襲撃だ』

 

『連中は制圧した壁を補給の中継拠点として利用している』

 

『補給線を潰すことでアイスワームとの決戦に備えようって訳だな』

 

『依頼内容は以上だ。よろしく頼む』

ーーーーー

 

 

《オルクスから依頼を持って来るのは珍しいですね》

 

《HCとの戦闘になります 気を引き締めていきましょう》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  [メインシステム 戦闘モード起動]

 

 目標地点では既にオルクスが待機していた。

 今回はチェーンソーを装備したAC…アンフォラL2を使うらしい。

 

『やぁ後輩、よく来てくれたね。協力に感謝するよ』

 

「いつもたすけられてるからとうぜん」

 

『…ありがとう。この辺りの警備は掃除しておいた」

 

 周囲には大量の残骸が転がっている。ここを惑星封鎖機構が拠点にしているのは確かなようだ。

 

『ケイトが通信を遮断してくれている。内部の連中はまだ状況を理解していない』

 

『あとは突入するだけだ』

 

 

 

 オルクスに先導されて壁内部に突入したが様子がおかしい。

 

《オルクス?誰も…いませんよね?》

 

『………』

 

「オルクス…?」

 

『………』

 

 

 オルクスは何も言わずに進んだ後、わたし達に向き直った。

 

 

『…あらためて、よく来てくれたね』

 

 後ろで隔壁の閉まる音がする。

 

『残念ながら、依頼など最初からない』

 

 

『だまして悪いが、仕事なんだ』

 

 

『死んでもらおう、「レイヴン」』

 

 

「は…え…?オル…クス?」

 

 呆然とするわたしに振り下ろされるチェーンソーを反射的に避ける。

 

『この状況で躱せるとは…やはり飼い主の躾が良いようだな』

 

《オルクス!?どういうつもりですか?》

 

『見せてもらおうか…借り物の翼で どこまで飛べるか』

 

 

 この発言には聞き覚えがある。「前回」の旧宇宙港防衛でわたしに襲い掛かった独立傭兵「レイヴン」のオペレーターが言っていた。

 つまり…

 

『察しはついているようだが自己紹介をしておこう』

『俺は「ブランチ」の今の5人目。「レイヴン」の止まり木のうち一つだ』

 

 彼は、わたしを見極めに来たんだ。

 

 それなら…戦って彼を納得させるしかない。

 彼のハンドガンとバーストマシンガンを避け、両手のショットガンをずらして撃っていく。クイックブーストの連発で掠るだけに終わった。

 

《「ブランチ」について調べました》

《ブランチは入れ替わり続ける「4人」からなるハクティビスト集団…コーラル観測のリークにも関わりがあるそうです》

《しかしオルクスは「今の5人目」と名乗りました。彼はこれまで無かった最も新しいメンバーなのでしょう》

 

『「レイヴン」とは意志の表象』

『相応しいのは選び戦う者だけだ』

 

 彼の双対ミサイルを前方にクイックブーストして回避。回避を狩りに突撃して来た彼にスタンニードルランチャーを撃ち込む。

 

『初めて君に会った時…君からは何かを選び、戦おうとする意志を感じた…』

『だから「レイヴン」のライセンスを預けてみようと思った…』

 

 ショットガンが命中。彼はパルスアーマーを展開して強引に攻めて来る。

 

『だが結局、君は企業の走狗か ハンドラーの猟犬止まりだ』

 

『どちらにせよ もはや羽ばたく事はないだろう』

 

 

 それは違う。わたしは今も戦っている…今度こそあなたを助ける為に…!

 

 パルスブレードで彼のアーマーを剥がそうとするがアラート音とともにACが衝撃限界に達し動きが止まる。彼がチャージされたチェーンソーを振り下ろす。装甲の薄いACであれば即座にスクラップにしてしまう斬撃を…

 

 

 

 

…わたしはターミナルアーマーで耐え切った。

 

  [リペアキット 残数1]

 

 それとほぼ同時に彼のパルスアーマーが消失する。

 今度は私の番だ。

 

 チェーンソーを振り抜いた彼に両手のショットガンを撃ち込む。クイックブーストで後退し、リペアキットを使用した彼に持ち替えたブレードで急速接近。チャージ攻撃を叩き込んで衝撃限界。即座にスタンニードルランチャーを放つ。

 

 吹き飛んだ彼の機体はギリギリ持ち堪えていたのかリペアキットを2つ使用して回復したようだ。

 

《もうやめて下さい!オルクス!》

《このままではあなたもレイヴンも…!》

 

 エアの悲痛な叫びが頭に響く。

 

『訂正しよう…どうやら使われるだけの猟犬ではないらしい』

 

『ならば君は何の為に戦っているんだ?』

 

「わたしは…もううしないたくない…!たいせつなひとたちをまもりたい!」

 

 その大切な人の中には、もちろんあなたも含まれている。

 

『そうか…』

 

 

 

 オルクスは動きを止め、チェーンソーをチャージし始めた。

 

 どうやら彼は一騎打ちを望むらしい。

 

 私も動きを止めて彼を見据える。

 

 

 

 ………!

 

 動き出した彼とほぼ同時にわたしもチャージしたブレードを振るう。

 

 

 …遅かった!

 

 半歩遅れた事を理解した途端、時の流れが緩やかに変わる。

 以前見た悪夢が頭をよぎり、操作が鈍ってしまった。

 

 《ーーーーッ!》

 

 エアが何かを言っているが聞こえてこない。わたしのことを呼んでいるのだろうか。

 

 わたしの機体にチェーンソーが迫り…

 

  [メインシステム 戦闘モード 強制中断]

 

 彼のACに対するターゲットアシストが消え、彼の機体が突如その動きを止める。

 

「え……?」

 

 

 戦闘モードを解除した事でAPが消失した彼の機体にわたしのブレードが直撃した。

 

 

 

『良い…理由じゃないか…』

 

 違う…

 

『応援…するよ…』

 

 だめ…!

 

『ごめ…こんなこと…なって…』

 

 あなたがいないと…!

 

 吹き飛んだ彼の機体が壁に激突する。

 

 意味…ないのに…

 

 

《…オルクスの機体反応が消失……》

《彼は…どうして…こんなことを……?》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女がオルクスに勝ったら認める、という話だったが…まぁいいだろう。こちらキング」

 

「こちらシャルトルーズ。作戦通り目標の排除を開始する」




真タイトル:レイヴン襲撃(前編)





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