~離婚後の「共同親権」導入されるか~ 法務省が法制審議会に提案~
神奈川県横浜市戸塚区の女性ライダー弁護士西村紀子です。
一人の弁護士として、一人のライダーとして、そして、一人の人間として、日々感じたり観察したりしたことで、皆様のお役に立つと思えることを、つぶやき発信していきます。
本日のブログは、一人の弁護士として、離婚後の共同親権について。
夫婦の離婚後の「共同親権」が話題になっています。
2022年6月21日付日本経済新聞朝刊では、
「離婚後の共同親権を提案へ 法務省、法制審に」
という記事が掲載されました。
記事によると、
「法務省は離婚した父母の双方が親権を持ち続けることを可能にする法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に提案する。法制審が8月をメドにまとめる中間試案に盛り込む見通し」
であるとのこと。
長い間の議論の末に、遂に、法務省が動くのか、という感じがします。
多くの方がご存知のとおり、日本では、子供のある夫婦の婚姻中は共同親権なのですが、離婚後は、単独親権となり、親権者が子供を監護養育するのが通常です。
親権を持たない親は、養育費の支払義務を負い、また、法制度上、面会交流が認められるのですが、親権はありません。
それでも、離婚後、養育費が支払われ、面会交流も行われるならば良いのですが、実際には、なかなかそのようにはいっていないのが現状のようです。
養育費を支払ってもらえない、或いは、支払ってもらえなくなった、という相談は、本当にたくさんあります。
他方で、面会交流が実施されていない問題も深刻であると感じずにはおられません。それどころか、男女問わず(といっても男性からの相談が多いですが)、一方配偶者が子供を連れて家を出て行ってしまった後、残された配偶者から、子供がどこにいるのかわからない、会わせて貰えない、といった悲痛な相談が多数あるのです。残された配偶者を襲うこの親子関係断絶の苦しみは、人間を壊してしまう深刻なものだ、と感じざるを得ません。
会うこともなく、養育費も支払われず。
率直なところ、負のスパイラルです。
この点、子供との面会交流と養育費の支払義務とは別だ、という議論もあります。
ですが、実際のところ、親権者にならなかった親にとって、ただでさえ自分一人の生活も楽ではないときに、ろくに顔を見ることもできない子供のために養育費を支払い続けるというのは、法律の義務付けはあれども、人間の自然な気持ちとして、モチベーションを維持することが困難になってしまうことは、想像に難くないところです。
このような状況を改善する方法の一つが、共同親権の導入であろうとおもわれます。
日本の上記のような、親と子供との関係が断絶する弊害については、大きく非難を浴びています。
他方で、深刻なDV被害から避難するケースについての議論と適切な制度設計も必要です。
丁寧な議論を経て、より良い新制度導入となるように、見守りたいと想います。
(終)
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