熱海の家の隣には素敵なおばあちゃんが暮らしている。片方は、趣味がジャズピアノで毎朝メイクを欠かさない九十四歳のおばあちゃん。片方は、この世のものとは思えない美しい庭園を築くお花が大好きなおばあちゃん。私は、片方を「熱海の宇野千代」と呼び、片方を「熱海のターシャテューダー」と呼び、愛慕している。暮らす場所は選べても、近所の人は選べない。運とハッタリだけで生きてきた私は、四月七日に三十九歳の誕生日を迎える。そこで、この日に熱海の家でサンキューパーティーを開きたいと思った。是非、誰でも遊びに来てください。

競争より競装。競って装う競装社会。あら、いいわねえと言い合う。そんなパーティーにしたい。本でも服でも和菓子でも、あなたが愛してやまないモノを持ってきて欲しい。誰かに会う時、開口一番で愚痴を言う人と、開口一番で愉快な話をする人に二極化する。宇野千代は「陽気は美徳。陰気は悪徳」と断言している。愚痴を吐いたら金が儲かるならいくらでも吐くが、余計に体調が悪くなる。カラ元気上等。悩み相談とかじゃなくて、愛してやまないものを分かち合う時間にしたい。余談だが、最近、私は和装に興味がある。家で着物なり袴を着て過ごしたいのだが、誰か、詳しい人は教えて欲しい。

好きは意外と繊細で、簡単に嫌いに負けてしまう。頭の中を、楽しいことでいっぱいにする。嫌いを反芻するのではなく、好きを反芻する。無茶はするけど無理はしない。一日を二十四時間単位で生きない。生きて寝て生きて生きて生きまくって寝まくる。そしてまた生き直す。夜は平等。何もかも暗くなる。朝は平等。まだ、誰にも汚されていない一日がはじまる。毎晩死んで、毎朝生まれる。過去も未来もない。いま生まれましたと言わんばかりの勢いで生きる。私の体内年齢は驚きの二十歳だが、若さの秘訣はここにある。クヨクヨしない。この一言に尽きる。楽しむ。嫌なことではなく好きを反芻する。家にいると一人で生きている気がするが、外に出ると世界で生きているのだと実感する。

自分を責める暇があったら「私はなぜ最高なのか」を考える。セルフイメージは素戔嗚尊で、やるでやるでやったるでのマインドで生きる。酸いも甘いもかかってこい。全部栄養にしてやる。時間を無為にしている気がする人は楽器をやるといい。中古屋で楽器をジャケ買いして、これを弾けたらかっこいいと思う曲を「これをマスターするまでは死なない」と石に齧りついて反復する。人生は気合いだ。最初は嫌になって全部を投げ出したくなるが、弾けた時の爽快感は格別だ。自分で自分を「かっけー！」と褒めちぎる。自分を褒めることは恥ずかしいことではない。何を恥と思うかに、その人が出る。実は、私は、サンキューパーティーのためにある曲を猪突猛進で大練習している。是非、この曲を聴いて欲しい。そして私に痺れて欲しい。

自分にどのような暗示をかけているかが全てである。不幸だと思えば不幸になるし、幸福だと思えば幸福になる。陽気は美徳。陰気は悪徳。宇野千代は「夢中に生きることが生きる目的である」と言っている。熱海に来れない人は、郵送も受け付けます。当然、お返事を書きます。明日は大阪、明後日は福岡、明明後日は岡山に行く。隙間時間はたらふくあるので、私を祝ってください。当日は、ある筋から仕入れた武夷岩茶（別名ガンギマリ岩茶）を振る舞います。宇野千代の本もご希望される方に無償でお譲りいたしますので、誰でも遊びに来てください。