企業の情報システム部門(情シス)は、業務を安定して進めるためのパソコン(PC)端末からシステム基盤まで、社内システムの整備・運用を担う部署です。近年ではビジネス環境の変化に伴い、在宅勤務への対応、セキュリティの強化、社内システムのクラウド化、DX・IoT推進などの新しい業務が加わっています。しかし、コストカットや社会的なIT人材不足などの理由から十分な情シスのリソース確保ができず、「ひとり情シス」となってしまっている企業も少なくありません。本記事では、ひとり情シスの問題点、リスクとその解決方法について解説します。
ひとり情シスの原因と課題とは?業務効率化のヒントもあわせて解説
ひとり情シスとは
「ひとり情シス」とは、1~3人程度の極めて少ない人数で、社内システムの運用、管理、ヘルプデスク業務などをこなしている状態のことを指します。
このひとり情シスという運用形態では、担当者の休暇中や、情シス担当の社員が別部署の業務も兼務していて、多忙のために情シスに時間を割けない場合に、実質ゼロ情シスという状況が発生することが多々あります。
ひとり情シスの問題点
ひとり情シスでは、さまざまな問題が起こることが予測されます。ここでは、ひとり情シスで起こり得る主な問題を3点取り上げます。
業務負荷の増加
ひとり情シスでは、ごく限られた人数でDX推進のようなコア業務から社内のヘルプデスクといったノンコア業務まで、すべての業務をこなすことになります。担当者1人当たりの業務量が多くなり、時間外労働をしなければ対応しきれないこともあるでしょう。
多くの業務をこなすためには優先順位をつける必要がありますが、その結果、優先度の低い案件が長時間放置されてしまう可能性があることも問題です。また、忙しさからセキュリティ対策がおろそかになり、情報漏えいなどの重大な問題につながりかねない点にも注意が必要です。
トラブル対応の遅延
ひとり情シスの場合、ほかのシニアエンジニアの知識を頼りにしたり、人海戦術で調査にあたったりすることができないため、1人あるいはごく少人数でトラブルの調査から始めなくてはなりません。そのためトラブルの原因究明までに時間がかかり、解決が遅れてしまうといったことが起こり得ます。
不正アクセスやウイルス感染などのセキュリティに関するトラブルには至急対応しなければならないものの、限られた人数でやれることには限界があるため、迅速な対応が難しいという現状に直面します。
業務の属人化
情シスの業務における「業務の属人化」とは、社内システムの設定、機器の情報などを知っているのが少数の情シス担当者だけで、ほかに分かる人がいないという状況を指します。
このような業務の属人化が発生してしまうと、担当者が不在の際にトラブルが発生した場合、誰も対応できる人がおらず、業務がストップしてしまうといったリスクが考えられます。
また、担当者が日々の業務に追われてマニュアルを作る時間がないと、離職する際の後任への引き継ぎがスムーズにいかず、その後の業務運用が困難になるケースもあります。
ひとり情シスはなぜ発生するのか
ひとり情シスが発生する理由としては、主に「コスト削減」と「IT人材不足」の2つが考えられます。
コスト削減
情シスは、R&Dや製造部門のように収益を直接的に生み出す部署ではないため、情シスへの理解が乏しい経営者からコスト扱いされる場合があります。
その結果コスト削減の対象になり、必要な予算が削減されることで、人材採用や育成が困難になり、最終的には最低限の人員での運用(ひとり情シス)を余儀なくされてしまいます。
IT人材不足
経済産業省が公表したデータによると、2030年には79万人のIT人材が不足すると予測されています。DX、デジタライゼーションなどに取り組む企業が増えたこともあり、IT人材の需要増大に伴う争奪戦が発生しつつあると言えるでしょう。
IT人材にとってはより魅力的な条件を求めて転職するチャンスでもあるため、情シス担当者の退職が頻発する可能性があります。そして、その退職者の穴を埋めるためにIT人材を新たに募集するものの、社会全体でのIT人材不足によりなかなか確保できず、結果としてひとり情シス状態となってしまうケースもあるでしょう。さらに、昨今ではITエンジニアの高齢化も顕著であり、中途採用では企業のニーズにマッチする人材が少ないという問題もあるため、IT人材確保はますます難しくなっています。
※経済産業省|IT分野について(参照:2023年9月14日)
※経済産業省|参考資料(IT人材育成の状況等について)(参照:2023年9月14日)
ひとり情シスの問題点を解決するには
ひとり情シスにより発生する問題点の解決策としては、以下が挙げられます。
業務の効率化や自動化を行うツールの導入
ひとり情シスの状況下においては、業務の効率化や自動化によって業務負担を軽減することが効果的です。
例えばIT資産管理業務は、社内ポリシーの適切な運用や情報漏えい防止のためにも重要な業務であり、常に最新状態に保つための情報のアップデートが欠かせません。しかし、IT資産管理業務には非常に時間がかかるため、すべてのIT資産を一元管理し、可視化するIT資産管理システムを導入するなどして、効率化することが望まれます。IT資産管理ツールで保有資産の情報を一元化して見られるようにしておけば、管理トラブルが発生した際に迅速に登録情報を確認できるため、問題の原因究明が容易になります。
よくある問い合わせを検索できるデータベースの導入
パスワードのセルフリセット方法、業務システム・グループメールなどへのアクセス権の申請方法など、よくある問い合わせをカテゴリーごとにまとめたデータベース型の掲示板を設置し、検索機能を充実させてユーザーの自己解決を促進します。こうすることで、情シスへの問い合わせ件数を減らせます。
ノンコア業務のアウトソーシング
ノンコア業務とは、PCのセットアップ、トラブルシューティング、IT資産管理などの日常的なPCの運用、保守業務などを指します。
こうしたノンコア業務をアウトソーシングすることによって時間に余裕が生まれ、ITシステム企画やセキュリティ対応などのコア業務に注力ができるようになるうえ、業務遂行のマニュアルを作成する工数を確保できるようにもなります。
情シスのアウトソーシングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ひとり情シスにはPCLCMサービス導入も効果的
ノンコア業務のアウトソーシング方法の一つに、PCLCM(PCライフサイクルマネジメント)サービスの導入があります。
PCLCMサービスは、PCの調達、納期調整からキッティング、ヘルプデスク業務、PC故障時の修理対応、データ消去を含む処分など、PCに関する一連のライフサイクル管理を依頼できるサービスです。ひとり情シスで人材リソースが足りない状況をカバーでき、業務負荷の軽減やコア業務への注力が可能になるといったメリットを得られます。
なかでもDRSのPCLCMサービスは、クライアントのニーズに合わせた細やかなオプションの追加やカスタマイズが可能であるという強みを持ち、型にとらわれない柔軟なサポートが可能です。
ひとり情シスの問題解決の一手として、ぜひご検討ください。
ひとり情シスの問題解決には外部サービスの検討を
ひとり情シスの問題点や、その解決方法について解説しました。
ひとり情シスをはじめとしたIT人材不足は、多くの問題につながる可能性があります。例えば、社内システムのアップデートの遅れ、PCトラブル対応の遅れによる重大なセキュリティインシデントの発生などです。また、人材リソース不足でDX推進ができないことや、業務負担が大きくなることによる離職といった問題も深刻です。
経済産業省からも、今後IT人材不足が深刻化することに対して警告が発せられています。このような問題解決の有力な選択肢のひとつとなるのが、ノンコア業務のアウトソーシングです。なかでもDRSのPCLCMサービスは、業務に必須であるPCの管理に関するあらゆるタスクを柔軟にサポートでき、ひとり情シスの問題解決に非常に効果的です。
ひとり情シスにより発生する問題のひとつの解決案として、ぜひDRSのPCLCMサービスをご検討ください。
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